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~失敗作には御用心?~


「あのー。これ…」


1

何でこうなったんだろう。

まぁ。思考していてもろくなこと思い出さないから思い出さないことにするけど。


「そもそもこんなことに関わらなければ…」


2

隣で駆け出し冒険者と士官学校の生徒が弱音を吐いている。ついでに言うと私も吐きたい。


「ホホホホホホホ!いやぁ~、珍しく新作は失敗ですねぇ!」


「このすっとんきょうのスットコドッコイ!ろくでなしのバカ店長(ピエロ)!」


3

今回のお話の犯人は、私の知り合いである。






こんにちは。もしかしたらなら「こんばんは」

今回は私。レイス=スノウリッタよ。


「もぉぉぉ!」


「どうやって出るんだ…?これ…。」


後ろでは二人がピエロ(主人公)を拳で叩きながら騒いでいる。


「…………ふぅ。」


辺りを見る。


周りには白い壁。天井も同様。床もまた同じ。

そう。此処はブラックボックスならぬホワイトボックスの中。クロウの作った試作品の帽子。「のっぺら帽」の中である。


もっとも。


「んー。いてっ。いて。お二人とも落ち着いてくれませんかねぇ。元々今回の帽子は私も上手くいくとかそんなもの考えずに適当に作って、で。もしかしたらなーんか起こるかなぁ~?なんて気まぐれに使ってみただけなんですから。対処とかどーにもなりませんし。効果時間一杯まで待つしかありゃーせーん!はははは!」


「しれっと言うことですか!」


「呪ってやる~!」


さて。

「のっぺら帽」の試作品で起きた出来事を説明しましょう。


(それは20分程前に遡ります)


ーバンッ!ー


帽子の希望屋。その店内。

勢いよく作業場のドアが開く。乱暴に内側から叩きつけられるような力加減で。


「おっはよーっごっぜぇーまぁーす!」


「…自分の店なんですからもう少し優しく出来ないんですか。そのうち壊れちゃいますよ?」


「あ、おはようございます。」


開いたドアから出てきたピエロを前に、学生服のレイカさん。そして回転したばかりの店内をふらふらと歩いていた転生者の駆け出し冒険者。ロイドさんが返事を返す。


「おんやぁ~?なぁーぜかメスのゴリラまで居るようですが。駄目じゃないですかレイカさん。お店にそんなもの入れては。」


「……(ブチッ)」


私はと言うと。

朝に宿屋から出た際、ロイドさんと会った為、彼が店に行く際の付き添いに出たと言うだけだ。


別に「クロウが普段何してるのかが気になる」とかそんなベタな理由ではない。


「さぁて。皆さん今日は良いものをご用意しております。」


「良いもの?なんですかそれ。」


「私が言う良いものなんて"あれ"に決まっているでしょう?」


「あ、俺分かりました。帽子。」


「いえーす!新しくこの「のっぺら帽」が出来まして?今回はこれを試してみようかなぁー!と!」


クロウが高いテンションで取り出したのは真っ白な丸帽子だった。それにはなんの装飾は無く。ひたすら真っ白な無地の帽子だった。


クロウは続ける。


「この「のっぺら帽」は名前の通りのっぺらぼうと言う妖怪を参考としてつくっておりまして。被った時に被った者の顔のパーツが全部消えてしまうと言う仮装にピッタリな帽子となっております。」


「恐ろしく下らない代物ね。クロウ。何だってそんな変な帽子を作ったのかしら。」


「趣味ですから。ホハーホホホ!」


「はぁ…。どうしてこんなピエロになったのかしら…。不思議だわ…。」


そして


「試してみたい人~?」


クロウが帽子を高々と上げ、その場に居る私やレイカさん。ロイドさんに目配せをしながら声を上げた。


「仮装かぁ…。季節はとっくに過ぎちゃってるけど気にはなるかな?」


ロイドさんは手を上げた。


「わ、私は…パスで。」


レイカさんは苦笑いをしながらパス。


「別に被らなくてもいいわよ。実用性が無いし。」


当然私もパスを選ぶ。


「ほっほーう?では決まりですかねぇー?」


ロイドさんに帽子が渡った。


「いきまーす」


さらりと受け取った彼はのっぺら帽を被った。

これで彼の顔はのっぺらぼうになる…と思いきや突如店内の内装や置かれていた品達が消えていく。


「おんやぁ?」


「えっ?何かドアとか消えてってません?」


「周りの色も抜けていってますがクロウ!話が違いますよ!」


「え?え?」


その場に居た4人。全員が呆気に取られている間。みるみる内に店内は白い空間とかしてしまった。


窓やドアも、棚も無く。

その場が"のっぺらぼう"になってしまった。


そして今。



「この壁…剣とかで殴ってもびくともしませんよ!」


「ロイドさん!なら今度は魔法辺りいきましょう!何とかなるかも知れませんし!」


「はて。作った時に何かギミックに手違いでもあったんでしょうか。」


「はぁ…。最悪…。」


こうして全員此処に閉じ込められてしまった。

と言うわけだ。


「ショック・ザ・ウィンド!」


ロイドさんが壁に向けて中級の風魔法を放つ。


「…駄目だぁ」


しかし変化無し。穴が開くどころか傷一つ着かない。


「魔法も駄目。剣はそもそも通らず。となると特技系も駄目になりますよね。」


レイカさんがその様子を見て苦笑している。


結局。


「手詰まり。ですか。」


「はい…。此処に居る人で剣と魔法以外の手段を持っていると言う方は居ませんし。」


今のメンバーで壁を破壊して突破する。と言う手は無理だと言うことが分かった。まぁ、まだクラス(職業)が決まっていない者二人に魔法騎士の私。剣と魔法を試されて効果が無いとなるとどうにもならない。


唯一何かあるかも。と言うならば


今は何なのかが分からないクロウ。

レイカさん達の助太刀をした時は当時の姿…。つまりかつての魔剣士の姿だった…が。今はピエロの姿をしていてどんな状態で居るのかはハッキリしない。


「どうするんですか!ホープさん!俺このままとかマジ勘弁ですよ!」


「クロウ。今の貴方は何なの?」


「はへ?私が何?ですか?」


騒ぐロイドさんをよそに、私は彼に聞いた。


「クラスよ。クラス。」


「ああ、今もそれですが?」


「あー。そう。そうなのね。期待して損したわ。」


予想してたより最悪の返事が来た。

手詰まりが確定した上にふざけた格好で魔剣士のクラスだった。


「ついでに言うと剣は作業部屋に置いてありまして。手元にはありません。」


「………」


「まぁまぁ!店内で帯剣してる店主が何処に居るんだって話でしょう?そんな怖い顔しないでくれません?」


「はぁ。分かった。それじゃあ話を変えるけど、さっき効果時間がどうとか言ってなかった?」


「ええ?言いましたが。それが?」


「具体的にはどのくらいなのかしら。」


「あぁ…。なるほど。待つ選択肢ですか。でしたら…この帽子の元々の効果はハロウィン用でしたし、効果時間はその日1日終わる程度で良いかなー。と思ってその様にセットしてますが。」


「長いわね。被っている間とかでも良かったと思うのだけど?」


「あ。」


「いや、あ。じゃなくて。」


こうして私とクロウが話をしている中。

後ろでは他の二人が途方に暮れているらしく、何度も大きな溜め息を吐いている。それと同時に


「あー!明日は学校なのに!」


「俺はーっ…何もないか。けど1日何も無しとかそれはそれで辛いーっ!」


「「あーーーーーーー!」」


…騒いでいる。

うっかり帽子を被る事にしたロイドさんはただの災難だし、レイカさんに関しては巻き込まれもいいところ。


不幸だ。


まぁ、私もそれに含まれているのだけど。


「はぁ。仕方ないわね。あの子達があのままなのはかわいそうだし、効果が切れるまで待つのは選択肢から外しましょう。」


「そうですねぇ。このままなのはいけませんし?此処は我々二人で解決するとしましょうか。」


レイカさん達二人の行動で無駄だと先に分かっているものの、レベルに差がある我々がやれば。と、淡い希望を胸に私達は事を始める。


上位魔法。合体技。手持ちの攻撃系アイテム。


私達も色々試した。


が。


(4時間後)



「フーーーーー。」


「駄目ですねぇ。さすが私の作品。」


びくともせず。効果無し。

さんざんやれることをやって駄目だった。


「お二人でも駄目って…はぁぁぁ。」


「俺…お腹減りました…。」


先達らしく、やってはみたが返って様子を見ていた後ろの二人により濃い絶望を突き付けてしまった。


ーぐぎゅぅぅぅー


ロイドさんの腹の虫が虚しく響く。


「では、ご飯にしますか。」


ひょこりと立ち上がり、クロウが口を開く。


「どうやって?皆こうなるなんて思ってないから食べ物なんて持ってきてないわよ?」


「あっはぁ。楽勝ですよ。すぐに用意しますから。」


彼の発言に私は首を傾げる。

そんな私に対して、一瞬。彼は"イヤな笑顔"を送る。


「"ダンジョンエスケープ"!」


「!?」


突如私の前からクロウが消えた。


そして


「おっまたせしましたー!」


戻ってきた。色々食べ物を持ってきながら。


「クロウ。まさか貴方…。」


「ええ。元々こんな状況になったならこれが手っ取り早いですから。」


ああ…"ダンジョンからの脱出魔法"。そう言うことか。と、私は頭を抱える。


そもそもダンジョンと言うのは一概に洞窟とか砦とかだけではない。


"家や店"もその部類に入ることもある。


ましてやこの空間は「店の中」なのだ。

この魔法が効かない訳がない。


「あと、一つ。」


クロウが続ける。それも腹立つ顔で。


「私の帽子…いえ。それだけではありませんが。」


ービリィ!ー


クロウは帽子に両手をかけて真っ二つに破った。

すると何と言うことか。あの白い空間は消え、店内は元に戻ったではないか!


「こ、これはっ…」


「アイテムによる効果ならその効果の根元。つまり"そのアイテム自体を壊してしまう"事で大抵解決します。」


「…成る程。って、貴方まさか最初から…!」


「いやぁ、まーさかのっぺら帽の失敗は驚きましたが?」


「そうじゃなくて!最初から対処について知ってたのかって言ってるのよ!」


「はい。その通りですが?」


「その通りって…。」


「いや。最初はさっさと終わらせようとしたんですよ?けど…あのレイカさん達お二人の反応とか。貴女の行動とか…っ。面白くて…っ。プフッ!」


「.........」


あまりの事に目を丸くして立ち尽くす私。


「と言うか、10年も私と居ときながら…っ!こんな常識思い出せないとか…っ!本当にゴリラ並みの脳ミソですよねぇっ!ぶはははは!」


「…このっ」


「いやぁ、面白かった!本当にー


調子に乗ってゲラゲラと私をバカにするクソ店主。しかし、調子に乗っていられたのはここまで。


今さっきまで沈黙していた"二人"を彼は忘れていた。


「「死ねぇェェェェェ!」」


「ギャァァァァァァァァ!」


そう。レイカさんとロイドさん。

遊ばれていたことに余程腹が立ったのか、獣のように吠えた後、クロウに鬼のような形相で襲いかかっていった。店内を散らかしながら鈍く、乾いた音やー


ーボキッ!ー


…何か折れる音が響く。



「はぁ…。」


私は窓を見た。

外は夕焼け。店内に射し込んでいる光は橙で、見える外は夕日に照らされていた。


「まっ。待ってお二ぶほっ!?ちょっ、あ。剣はヤバイですよ!?ヤバァァァ!」


ーブシャァァァァ!ー


店内に鮮血が飛び散る。まるで血祭だ。



私は店内で始まった血祭に苦笑いを添え、それを見届ける。


こうして今日も1日が終わる。




「二人とも!私も混ぜてくれるかしら!」


「「いいですとも!」」


「はぁっへっ!?ちょー


ぎぃいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」



ついでに、血祭には参加した。



…続く

RPGによくあること。

アイテムは壊せば対処とか出来るし、店とかでも魔法で出るとか。そう言うのありますよね。最近のは無いっぽいですが。


皆さんも魔法とかアイテムの取り扱いには気を付けましょう。


え。リアルでは無い?


ひーん!

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