~闇夜の咆哮、無理は禁物~
(午後9時)
「まさか、帰りがこんなに辛くなるとは…」
「そうですね…。比較的人とモンスターの交流もあるくらい平和なこのオルレニアも夜道は危険だなんて私も意外でした。」
「な、何て言ってる内にまた来ましたよ!視認、計10体!」
「またですか!あー!しつこいグールラッドめ!」
こんばんは。レイカです。
現在、渡り風の丘からいつもの街へ帰る途中なのですが…。
「「ヂュチュー!」」
帰路の中、夜を迎えて凶暴化したモンスターに何度も襲われている状態になっています。
「ギュゥゥゥ!」
「小型モンスターとは言え、やっぱ10体ずつの連続遭遇は疲れますねっ…うおっ!」
ロイドさんはそう言いながら、襲い来るグールラッドを何とか躱してその横腹にパンチを入れる。
「ギュギャァァァギャッ!」
「ゴメンよ!けど自己防衛だから!」
「気を遣ってる場合ですか!?ほら次スケルトン4体!」
「うっそ!今グールラッド倒したばっかですよ!?ぬぉぉぉっ!来たぁ!」
驚きつつも素早く迎撃・攻勢に出るロイドさん。
その同時。私もスケルトンの剣を受け止める。
剣を受け止めると、ギリギリと金属が擦れて火花が散る。
「……」
勿論。なんて事はない。
私はそれを流すようにして返す。
「……ふっ!」
「ァァァァァ」
"そのまま流した力を利用して斬る"
私はスケルトンの攻撃を弾いた時の力の方向に合わせて身を動かす。
「次!」
もっと簡単に説明すると
「→」の方向に攻撃が来るならそれを受け止め「→」の方向へ体を回転。次の攻撃で相手を叩くと言ったものだ。
要するに、「受け」の剣だ。
自慢になるが、これを実行するにはそれなりの速度と技術を要する。
「せいっ!」
「オオオオオオオ…」
2体目のスケルトンの頭蓋。これも同様の手で砕く。
「セイハッ!」
「ガァァァァァ…」
同じくしてロイドさんも2体のスケルトンを撃破。
それにしても数が多い。8時くらいからこうして進む度魔物に遭遇。戦闘、撃破を繰り返している。
鍛練には良いけど、疲れる…
何て思ったり言ったりしてる間も無く次が来る。
スケルトン。グールラッド。シャドウバッド。ゴブリン。レッドキャップ。ウェアウルフ。アンデッドナイト。種類は殆どが夜行性の魔物。此方の戦力、実力的には何ら問題は無い。数を組まれたとしても数をこなすだけに変わりはない。
順調に魔物を倒しながら私達は進んでいく。
(午後11時)
「はぁぁぁ…。」
「……キツイ。」
「無理。」
「死ぬ…。」
思い思いに愚痴を出す。
疲労困憊。クタクタになった状態になったが、だが街に着くまではまだ2時間弱もある。
辛い…。
「いくら夜に活発になるモンスターが居るとは言え、やっぱ数おかしくないですか?」
ロイドさんが言葉を漏らす。
まぁ、確かにそうだ。
夜道は危険と相場が知れてるとは言えやはり異常だ。襲ってくる魔物の数がやけに多い。
「そうですね。幾らなんでも多すぎますよね…。これ。」
「単に夜の出歩きに慣れてない俺達が知らないだけかもしれないですけどね。ははは!」
「かもですね。さっ、早く帰らないともっとひどいことになるかもですし。急ぎましょう!」
「はい!」
その時だった。
ーグオオォォォォオオオン!!ー
夜空に響く、大きな声。
「何っ!?」
「うおおぉっ!?何ですかこれ!」
続いて夜道を照らしていた月の光が雲に隠されたように消える。更にそれに続けと言わんばかりに背後から強風が吹き抜けていく。
月の光が遮られた時。上を見上げていたロイドは目を丸くしてその場で硬直する。そして震えながら上のそれを指で指し示しながら口を開く。
「あ、あれ!上!上!レイカさん!」
「えっ…なっ!?」
言われて上を見上げたレイカ。
その視界には王城と比べても負けず劣らず、いや、更に頭一つ大きな竜が大翼を広げて飛んでいく姿があった。
「す、すご…」
「凄い」とレイカは口にしようとする。
が、
それは喉まで来て止まる。
何故か、その理由は
「「オオオオォォォ…」」
巨大な竜にまるで取り巻くように。付け狙うようにしている魔物達の姿が目に止まったからである。
「レイカさん!あのドラゴン、何か襲われてませんかっ!?」
「ええ!でもあれは"スカルグライダー"と"スカルワイバーン"!この国にはまず存在していない魔物です!」
「はあっ!?ってことは別の国からーって、マズッ!?何体かこっち来た!」
「迎撃しましょう。このままだとどちらにせよ帰るに帰れません!」
「了解!」
ロイドさんと私はそれぞれ構えを取る。
ロイドさんの方にはスカルグライダー。
私の方はスカルワイバーンを中心に引き受ける。
しかし、お互いに魔物を相手取るに決めたは良いものの、相性がかなり悪い。
「ゴギャァァァァァ!」
「ぐっ!」
地に足立てて戦う私は常に飛行しているタイプの敵には攻撃を届かせにくい。
「「ソードウィンド!」おりゃっ!」
ロイドさんは少し前に私との鍛練で中距離の技を幾つか得ている為、それで迎撃をしている。
…少し羨ましい。
私の場合は近接攻撃のみ。ひたすら受けて斬る。これだけである。
「……「ワルツカウンター」!」
なのでこうして何とかカウンターで仕留めていく。
二人で魔物を倒していく。
しかし、同胞が倒れたことに気付いた魔物が竜を襲うことを辞め、後に続いてやってくる。
キリがない!
ましてやこの魔物はこの国出身ではない。
私はまずとして、ロイドさんも有効打を有しているだけでコイツらとの実戦経験が無いのだ。
「クソッ!レイカさん!これジリ貧もいいとこですよ!ましてや帰り道から少しずつ離れてますよ!」
「分かってます!でもあのドラゴンをそのままにするなんて出来ません!」
「まぁ、見るからに襲われてますもんね!デカいとは言えコイツらにチクチクされてるの、何か見てらんないし!」
互いに会話。徐々に追い込まれている現状を誤魔化す。でも現実は悲しいことにそれを無視して上から潰してくる。
「はぁっ…ってて…ヤバイな…ちょい…」
「あっはは…同様…私も腕痛くなってきました…」
二人で何体倒しただろう。
絶え間無く戦って痛む体を動かして、襲われている竜を追ってやって来た道を振り返る。
骨。骨。骨。
その先には道を成すように転がり散らばる骨。
「我ながら…かなり倒したもんですよね…」
「同意…多分200は超えましたか?」
「二人で、よくやった…。けどまだ多い!見る限りまだ軽く500は居そうですよ…ひー。」
まだ来る。自分達から首を突っ込んだとは言えしつこすぎる。なんだってあの竜に付きまとうんだこの魔物達は!
「がっ!」
「くはっ!?」
少しずつ。少しずつ。私達は追い込まれていく。
もうダメかな。
脳裏に浮かぶ弱音。
…あ。そうだ。今何時だっけ。
傷付き、疲弊しきった頭は霞む視界の中で、私はそんなことを考えた。
迫り来る魔物達の狂声。
(あー。目覚めたら教会(蘇生施設)とか…勘弁だなぁ…)
……
「全く。遅いと思ったらこう言うことでしたか。」
聞き覚えのある声。
「この魔物達。普段はセレストの山岳地帯に生息しているものなんですけど~。何故この様な所まで…?」
続けて聞き覚えのある女性の声。
更に
「クロウ。急に呼んで来たかと思ったらこの事態は一体何なんですか!それにセレスが来ているなんて聞いてませんよ私!」
3人…目。スノウさん…かな。
あ。ダメだ。疲れて意識…
…続く
最近風邪気味で頭痛い。熱下がらん。
今回は中編。すみません。体力無いです。
勘弁。




