↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

壊れかけの断章

おだやかな、ありふれた

作者: 石見の人
掲載日:2022/07/18

「こんなところにいた。」


おや、久しぶり。

この時間は後輩たちの指導じゃなかったっけ?


「もう終わったわよ。

 調べものをしていたら見つかったから、来てみたの。」


そうなんだ、お疲れ様。

私はここ最近忙しかったから、少し景色を楽しんでいたところ。

戴冠式も半年後に迫ってきているから、こんな時間も最後かもね。


「そうね、次代の聖女様。

 しばらく会ってなかったけど、思ったよりは余裕があったのね。

 昔を思えば、変わってなくて安心したわ。」


それはお互い様。

出会い頭からのあれこれは、今も鮮明に思い出せるよ。

これから先のことは分からないけど・・・忘れたくないなぁ。


「ねぇ、本当に良かったの?

 役割は逆でも成り立っていたのでしょう?」


今更だよ。

それにこれは、私と貴女で決めたこと。

あと私の性格では、貴族の子女もいる候補生の中での立ち回りは無理。

貴女も知っているでしょうに。


「わかっているわよ。

 単なる確認。

 それと、「御子守りの樹」は「石の根」ともつながり、「星の調べ」が生育を促しているみたい。

 「椅子」だけじゃなく、こんなものを作り出しているなんて。」


久しぶりにみるね、その表情。

大丈夫だと思うけど、気をつけなよ。

誰だか知らないけど、本当に厄介なものを。


「まったくね。

 あのとき話し合った通り、貴女は内側から。私は外側から。

 どれほど掛かるかわからないけど、いつか必ず。」


うん。

貴女と出会えて本当に良かった。

どうか元気で。


「なに言ってるの。

 そんなにかからず会えると思うわよ。」


うん?


「私は元筆頭候補よ。

 「石の根」行きは確実でしょう。

 そっちへ行くまでに状況を整えておいて頂戴ね。」


ちょ、ちょっと待ってよ。

貴女は貴族でしょう?


「聖女選定に敗れた、ね。

 扱いに困る子には「名誉ある役職」をというやつ。

 という訳で、あちらに着いたらよろしくね。」


・・・また騒がしい毎日?


「変わらない日常、でしょう?

 出来る限りのことをしておくから、土産話を楽しみにしてなさいな。

 あいつらが気づいたら度肝を抜くようなことをしておくから。」


貴女の口から下町言葉が出てくると、凄い違和感。

ついぞ身につかなかったけど、あの上品な嫌味の応酬の仕方、今度教えてよ。


「いいわよ。

 楽しみが増えたわ。

 ・・・ここまでみたいね。」



「ああ、聖女様。こちらにいらっしゃいましたか。」


「司祭様。ごきげんよう。」


「おや、貴女もこちらに?」


「はい。何事もないとは思いますが、大事を控えた時期です。

 御側に控えておりました。」


「良い心掛けかと。

 半年後まで気が抜けません。

 皆で無事に戴冠式を迎えましょう。」


「はい。司祭様。

 聖女様はどちらまで?」


「大聖堂までお願いできますか?

 そこからは案内の者が引き継ぎますので。」


「承知いたしました。

 では聖女様、こちらへ。」



また面倒くさいご高説かなぁ。

それにしても、これだけ「聖女化」が進んでいるのに、なんで貴女にだけ私の声が聞こえているのだろうね?


「波長があったんじゃない?

 細かいこと気にしていると禿げるわよ。」


女の子に向けてなんてこと言うのさ。

はぁ、早く日常に戻りたい。


「そのためのこれから、でしょう?

 二人でやるのだから、文句言わないの。」


うん。ありがとう。


「どういたしまして。

 あと、私からもありがとう。」


え?


「ほら、もう大聖堂だからここまでよ。

 ・・・司祭様からのご依頼で、聖女様をお連れいたしました。

 お取り次ぎ願います。」


「ありがとうございます。

 それではここからは私が引き継ぎます。

 ご苦労様でした。」


「よろしくお願いします。

 それでは聖女様、いってらっしゃいませ。

 私もお勤めを果たしに行ってまいります。

 また後ほど。」


いってらっしゃい。

私も頑張ってくるから。

また後でね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。