ナウ大森林討伐団
書きたくなってしまいました。
中央ノア大陸
その大陸に唯一ある国、ファルリア王国。
その王都ファルリアから直線距離にして800キロ程離れた東ファルリア地方には、『ナウ大森林』と呼ばれる地があった。
そこには希少な植物や鉱石があり、生物全てが巨大化しているという、特殊な地域でもあった。
そしてそんな場所にも関わらず、極たまにナウ大森林に訪れるのは依頼斡旋組合から派遣されたベテランの依頼請負人か、一攫千金を狙う名の知れた依頼代理人くらいだった。
なぜか。
ナウ大森林には非常に好戦的で巨大化した生物が多数存在する。その種類や数は未だに謎に包まれており、少し歩けば新種の『何か』が見つかるほど、人の手が及んでいない森。
『ナウ大森林に足を踏み入れるときには、遺書を残していけ』と、言われるほどに、その森は死と隣り合わせといわれる場所だ。
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そんなナウ大森林のとある場所。
俺は時測計を手に、とある土壁の前に立っている。
作戦開始は14:00・・・あと、62秒。
額のゴーグルを目元へと付け替える。
俺の後ろにいる2人も、俺と同じようにゴーグルを目元へと装備する。
「忘れ物はない?」
俺の問いに2人はまるでなんともないように「問題ない」と、答える。
話をしながらも秒数を頭の隅で勝手にカウントしていく。
これは俺達が新人の頃から鍛えられた能力。
よし、14:00
上の方からガタガタっと物音。
よし、予定通り作戦は始まった。
俺達がこの土壁の中に入るのは120秒後。
「そろそろ土壁を開けるぞ。」
工具を手に取り、土壁に刃を突きつけている仲間が、俺にそう話しかける。
「よろしく。」
音を立てないように、土壁に人一人が通れる位の穴が開けられる。
俺達が動き始めるのは14:02から。
・・・・よし。
「入るぞ。」
「忘れるな。10分だからな。」
穴を開けた仲間、今日の門番からそう言われて、俺は頷く。
切り取られた土壁の穴の中へ、俺を先頭に残りの2人がついて入る。
この穴の先はどこかだって?
この穴の先には、俺達ナウ大森林討伐団が長年・・・正確には30年間も戦い続けている生物、その元凶がいる場所へと続いている。
生物の名はフォレストアント。
この場所はそのフォレストアント巨大巣の一番奥。
俺達討伐団が、ずっとずっと長年に倒さんとしてきた『フォレストアントクイーン』の部屋・・・それが今、俺達が入った場所だ。
お読みいただき、ありがとうございます。