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お茶会のテーブル

「ロロ、待っていたわ!」


 お茶会の主催者フィオナはお茶会の会場であるグラフィス家自慢の花園にて先にきていた学園のクラスメイト達の相手をしていた。

 ドラフォンにエスコートされてきたロロを見ると顔をほころばせる。

「どう、ドラフォンのエスコート?」

「ええ、とても素敵。さすが公爵家ね」

「あら、違うわよ。ドラフォンったら、ロロが来るって決まった途端慌てて練習してたんだから。わたしを練習台にして。もうわたし、飽き飽きするくらい付き合わされたのよ」

 あっさりと予行演習していたことをばらされたドラフォンは慌てる。

「おい、フィオナ、余計なこと言うな」

 そう言ってフィオナの赤髪を引っ張る。

「痛い! ルシファー兄さま!」

 悲鳴をあげるフィオナ。のんびりと花園に現れたルシファーが慌ててドラフォンの手からフィオナの赤髪を離させる。

「ドラフォン、やんちゃが過ぎる。言われたくなかったのはわかるが、そんあことしちゃ駄目だ」

「ルシファー兄さま~」

 フィオナはわざと甘えた声を出してルシファーの腰に抱きつく。

 そんなフィオナの頭に優しくキスをし、自分と同じ赤髪を撫でる。

 ドラフォンは不満そうだが、それ以上は何も言わず、黙ってロロを席に案内する。

 

「まあ、生徒会長のルシファー様だわ」

「生徒会書記のユーリ様もいる」

 お茶会に先に参加していた少女から歓喜の声が上がる。

 初等部の彼女らはなかなか高等部の生徒会メンバーを目にすることがない。

 

 ルシファーに至ってはこの国で3つしかない公爵家の跡取りである。

 赤髪青い瞳で堂々とした態度は人々の羨望を集める。

 しかも、彼の双子の兄弟の面倒見の良さは有名で、そんなところも人気だ。

 今もフィオナとドラフォンのケンカを慣れた様子で仲裁する姿には、少女たちはうっとりと見つめるのであった。


 また、ユーリもある意味目立つ存在である。

 平民でありながら魔力ランクSの魔力持ちなのだ。この国では魔法が当たり前に存在する。魔力持ちは貴族から出るのが普通なのだが、彼は平民なのだ。

 しかも、高位貴族ばかりの生徒会に高等部1年のころから書記としてメンバー入りしている。ユーリが優秀だからだ。

 見た目も美しい。存在感溢れるルシファーのような強さはないが、女性にも間違われそうな綺麗な顔立ち、細い身体は一部の女性からは熱狂的に支持を集める。


 普段目にすることのない年上の美男子二人の登場に喜ぶ少女たちにルシファーとユーリは囲まれた。

「一緒にお茶会に参加してください」

「たくさんお菓子がありましてよ」

「ささ、ルシファー様はここにお座りになって?」

「紅茶をこちらに」

 次々を話しかけられる。

 ユーリは目を白黒させて困っている。普段ロロの相手をしているが、こんなにもたくさんの少女に囲まれることには慣れていないのだろう。

 対してルシファーは手慣れたものだ。昔から母親のお茶会にも参加しているし、双子の友達の相手も1度や2度ではない。

 あれやこれや話しかけてくる少女の相手をしながら、ロロとドラフォンの様子を伺う。


(…よし、教えたとおりにすこし離れた場所に座ったな)


 少女達に囲まれるのは計算済みだ。事前にルシファーはドラフォンにロロを少し離れた場所にエスコートするのを言い含めていた。

 そこで、ユーリが少し離れた場所に座る二人が見えなくなるようにフィオナが視界を遮る場所に座る。もちろんこれも事前に打ち合わせ済みである。

 今日はルシファーとフィオナは協力してロロとドラフォンを二人にしようと話している。

「ユーリ様、紅茶のカップはこの柄でいいかしら?」

 ユーリに隙を与えないよう、フィオナはせっせとユーリに話しかけている。


(…がんばれ、弟!)

 

 弟も妹も溺愛するルシファーは邪魔者ユーリを引き離す作戦を頭の中で練っていた。

兄弟想いのルシファーです。グラフィス家はお母さま以外は当主、子供全員燃えるような赤髪に青い瞳です。

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