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5弾:登録と強化






 ラスターと別れた後、超一流の【心刃ブレイブ】を見たせいか興奮が冷めやらぬまま、ブレイバーズギルドへ登録をしにやってきた。


 この最果ての村の中では教会と並び、もっとも立派な建物でなんと二階建てである。


 扉をくぐり、建物へ入れば中はガランとしており、『心刃使ブレイバーい』は誰一人と見当たらない。


 それもそのはず、最果ての村とも呼ばれるこの村には未だ魔族の影響はなく、腕に自信のある『心刃使ブレイバーい』は名を挙げようとこぞって、最前線辺りの魔族の被害にあっている街へと出ている。

 そのため、新たに【心刃ブレイブ】を授かった者達も登録だけしたら違う街へとさっさと旅立ってしまう。


「あら?アレクやっと来たのね」


 カウンターから顔を出して、声を掛けてきたのはこのギルドで唯一の受付嬢である年上のリコット。


「ジンバ達ならとっくに登録を済まして朝早く旅立ったのにアレクはなかなか来ないから、てっきり『心刃使ブレイバーい』になるのを諦めたかと思ってたわ」


 彼女なりに俺の事を気にかけてくれていたようで優しい笑顔を向けてくる。


「ちょっと、用事があって遅れただけだよ」


「そう、ならいいけど。アレクはランクGなんだから無理しないようにね」


 そう言いながらも俺が来ると信じていたのか登録手続きがほとんど終わり、後は名前を書くだけの用紙を渡してくる。


「アレクはもう知ってると思うけど、私の数少ない仕事だし、義務でもあるから説明しておくわね」


 前世の記憶を持つ俺は情報の重要さをわかっていた為、これまでに何度もギルドへと足を運び、『心刃使ブレイバーい』の事などをリコットにウザがれる程度には色々と聞き込みをしていたのですでに説明は不要なのだが聞くだけ聞いておく。

 登録用紙に名前を書き終わるなり、手早く処理を済ませてリコットはブレイバーズカードを取り出すと説明を始める。


「カードはねぇ。え~と、ローストビーフだっけ?」


 きっと、ロストテクノロジーと言いたいのだろうがリコットはよくこういった間違いをして、いちいち訂正するのは面倒なのでスルーする。


「倒した魔族を記録することが出来て、それを元に報酬を支払うので絶対になくさないようにね。もし、なくしたらすっごくお金を取るからね!それとそこに表示されているブレイバーランクは倒した魔族によって勝手にランクが上がっていくからね」


 義務と言いつつもなんだか大雑把ではあったが簡潔で言っている事も間違っていなかったので良しとする。

 カードを手渡され、やっと手に入れたカードを穴が空くほど確認する。


 カードは金属の素材で出来ており、角は丸く優しい造りだ。

 書いてある内容は名前にブレイバーとしてのランクのみ。当然、俺のブレイバーランクはもっとも低い1ランクからスタートだ。


「これでアレクも歴とした『心刃使ブレイバーい』ね。おめでとう」


「ありがとう」


「それでこれからどうするの?」


 リコットのどうするとはいつ、この村から旅立つのかということだろうが俺はラスターに【心刃ブレイブ】の強化ツリーを教えられてからやることを決めていた。


「当分はこの村にいるよ」


「えっ!?」


 そんなに驚かなくてもいいだろうに。


「とりあえず、スライム狩りから始めるよ。だって、俺ランクGだし」


 ポカーンとした顔のリコットを尻目に俺はギルドを出ると村外を目指した。




 村の南、ほとんど人の手が入っていない森に着くと【心刃ブレイブ】を発現し、もう一度能力を確認する。


心双刃銃ブレイブガンズL・R】

《ランクG》

威力:50

射程:10

連射:1

弾倉:3

再充填:500秒


 2丁の銃の弾丸は両手合わせて、6発。1発の再充填に9分弱のインターバルが発生する。使い切ってしまえば、フル充填に50分を要する。戦いにおいては長すぎる時間だ。


 有効射程は10メートル。初心者には無難な距離だ。


 俺はまず、この【心刃ブレイブ】のもっともネックとなっている弾数の少なさ、継戦能力を引き上げる為にも弾数を増やすのが先決だと思っている。


 倒木や深く積もった落ち葉を踏みつけ、慣れない森の中を進む。


 目当ては宣言通り、スライムだ。






 探しまわること3分。


 お目当てのスライムを見つけた。

 この世界のスライムの見た目はと言うと張りがなく、丸くなく、べちゃっとしていて陸に打ち上げられたアメーバのようだ。見たことはないが。


 リコットから仕入れた情報だと動きは遅く、こちらから手を出さない限り、攻撃してこないらしい。


 なのでゆっくりと近付き、至近距離から【心刃ブレイブ】を構えて、スライムの核を狙い、トリガーを引く。


タァッン!


 思っていた衝撃はなく、音も想像とは違ったがそれなりの音量を森に響かせ、スライムを粉砕。射撃の反動がなかったことに嬉々とする。


 弾丸の威力に危うくスライムのネバネバが飛び散り、足に付くところだったので次からはもう少し距離を取ろうと思う。


 飛び散ったスライムの残骸を確認し、ついでに着弾点も確認。しかし、弾丸は見当たらない。

 どうやら鉛の玉が発射されるわけではないようだ。

 【心刃ブレイブ】だけに弾丸は心弾とでも名付けておこう。


 ではお待ちかねの強化といこう。

 スライムはGランクの魔獣なのでラスターの言うことが本当なら問題なく強化出来るはずだ。

 プロパティを開き、強化ツリーを確認すると1ポイント取得していた。


 さっそく、弾倉に1ポイントを振ってみる。



┏威力

┃┗威力Lv:0/50

┃ ┗威力2Lv:0/40

┃  ┗威力3Lv:0/30

┣射程

┃┗射程Lv:0/5

┃ ┗射程2Lv:0/5

┃  ┗射程3Lv:0/5

┣連射

┃┗連射Lv:0/3

┃ ┗連射2Lv:0/3

┃  ┗連射3Lv:0/3

┣弾倉

┃┗弾倉Lv:1/10

┃ ┗弾倉2Lv:0/10

┃  ┗弾倉3Lv:0/10

┣再充填

┃┗再充填Lv:0/30

┃ ┗再充填2Lv:0/30

┃  ┗再充填3Lv:0/30

┗???



 はたしてこれでどうなったか。【心刃ブレイブ】を確認。



心双刃銃ブレイブガンズL・R】

《ランクG》

威力:50

射程:10

連射:1

弾倉:3(4)

再充填:500秒



 無事に弾倉が増えたようだ。


 この調子で強化を繰り返し、【心刃ブレイブ】のランクがFになるまで続ける予定だ。


 個人的にこういった地味な作業は嫌いではないので楽しんで行える。


 再度、気合いを入れると俺は森を徘徊し始めた。






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