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1弾:前世の記憶






 いつの頃だったろうか・・・。




 自分には前世の記憶があるということに気付いたのは・・・。



 日に日に鮮明に浮かび上がる記憶は日常のちょっとした切っ掛けで不意に甦る。



 初めは睡眠中、夢の中で起こった。

 見たこともない道具の数々に囲まれ見慣れない違う世界、戸惑いながらもどこか見慣れた夢の中の自分に懐かしいと感じる不思議な夢。


 その程度だった・・・。


 次に記憶が甦ったのは村の同世代の子供と話した時だったか、前世での幼い頃の記憶と重なり、相手の名前を呼び間違えた。

 次は母親と共に食事をしていた時だったか温かく優しい料理が心に響き、涙が流れた。その後はよく覚えていない。


 しかし、何年も続いた不思議な追憶は次第に俺へと強く影響を与えていった。

 今では前世の記憶だと断言出来る程、知識や経験が蓄積されて性格は前世寄りになってしまったと思う。よわい14才で性格が形成された感がある。




 まあ、なんにしても俺はどうやら異世界に転生したようだ。




 前世の記憶を取り戻してからというもの俺は将来を見据えて真剣に身体を鍛え始めた。


 何故なら俺が転生した世界には魔獣という人類にとって害獣が跋扈ばっこし、魔人という人類の天敵が存在し、魔王という災害が人類をおびやかしているのだ。


 俺はそれらを打倒する人類の希望でもあり救世主でもある、『心刃使ブレイバーい』になって活躍すべく努力を積み重ねている。


 この世界では15歳で成人として迎えられ、成人となった者は教会へおもむき、成人の儀式を受けて神の祝福を得る。

 その際に神様から、【心刃ブレイブ】を授かるのだが俺はどんな【心刃ブレイブ】を授かるのか、今から楽しみで仕方がない。


 ただ、心残りは『心刃使ブレイバーい』になると母親を一人にしてしまうことか。


 『心刃使ブレイバーい』は文字通り自身の心を刃に変えて戦う戦士のことを言い、個人によって授かる【心刃ブレイブ】は唯一つと言って、同じ物はないという。


 『心刃使ブレイバーい』の扱う【心刃ブレイブ】こそがもっとも魔族(魔獣・魔人・魔王)に有効であり、対抗するために神が人類に与えた奇跡とも言われている。


 『心刃使ブレイバーい』になるのは簡単で成人になり、【心刃ブレイブ】を授かっている状態(成人)でブレイバーズギルドに登録するだけだ。


 早く15歳にならないかな。






◇◇◇






 月日は経ち、成人の儀式を明日に控えた俺は前世の記憶を取り戻したせいで価値観や物事の捉え方がやはり変わってしまっていた。

 その影響で前世の感覚で発言しては突飛な発言と捉えられ、村人や同世代の子供達からは距離を取られているのが現状だ。

 母親からは変な息子と思われているかもしれない。


 それでも明日には『心刃使ブレイバーい』の資格を得られるのでこの居心地のあまり良くない村生活ともおさらば出来る。


「よう!アレク」


 今後のブレイバー生活を妄想しかけた時、不意に声を掛けられ後ろを振り向く。


 この村で村八分とは言わないが避けられている俺へ珍しいことに声を掛けてきたのはこの村の村長の息子で同世代のガキ供をまとめるガキ大将のジンバだ。


「明日はついに待ちに待った成人の儀式だな!」


 普通に聞けば、仲の良い友人同士が【心刃ブレイブ】を授かるのが待ちきれなくて仕方がないような会話だが実際にはそうではない。


「明日の儀式で俺は必ずお前よりも高ランクの【心刃ブレイブ】を手に入れてやるからな!」


 ジンバは同世代の子供の中でも一際大きな体を持ち、その体格を生かして力でガキ大将の地位に立っている。

 ただし、俺以外のガキ供のと注釈はつくが。


「せいぜい、でかい顔が出来るのも今日までだ!」


 言いたいことは言ったのだろう。鼻息も荒いまま、立ち去っていった。


 いつものことなので気にもならないが相変わらず、俺からしたら面倒なヤツである。

 そもそもの切っ掛けは村で浮き始めていた俺を力ずくで言うことを聞かせようと挑んできたことだった気がする。


 だが残念なことに明確な目標の為に身体を鍛えていた俺に逆にボコボコにされてからは殴り合いの喧嘩はなくなったが何かあれば目の敵にしてくるようになった。


 前世の記憶を上乗せしているせいか他の同世代よりも成熟してしまった性格の為、まったく腹は立たないどころか微笑ましく思っている俺の態度に一層怒りをつのらせているのが手に取るようにわかってしまう。

 前世での思春期だった頃の俺もあんな感じだったかもしれない。


 わかってて直さない俺の性格は意外と幼いのかもしれないが・・・。


 それでもジンバとの交流も明日までだろうし、どうでもいいかと俺もかかとを返して家に戻る。


 何もしていないと待ち遠しくて時間が経つのが遅く感じるので母親の手伝いでもして、気をまぎらわすとしよう。




 あまり乗り気はしないが無難に手伝いをこなした俺はいつもよりも早い就寝についた。


 この時はまだ明日の儀式で起こる衝撃的な出来事を予期することなど、当然出来てなどいなかった。






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