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機動機兵ブレリア「戦場の絆」  作者: キジ白のやまちゃん
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第096話 「四神騎士」

 ラッハ中曹の設定を間違えていたので修正しています。ラッハ中曹、既婚者でした…


 独身はリジル中尉の方でした…

 勘違いしてました(T ^ T)

MUC212.7.15


 7月10日の撤退期限を過ぎたが、未だに両軍共に撤退していない。


 7月12日には、クレタ公国の軍司令官がテレビに出て訴えていた。


「撤退期限を過ぎても両軍ともクレタの地から撤退する意思が無いと感じる。7月15日を過ぎても撤退の意思が無いと判断した場合、クレタ公国軍は残っている部隊に対して攻撃をする可能性がある。」と…


 その放送により、素早く反応したのはミノア帝国だった。


「我々は、クレタ公国の独立を全面的に支援する。7月15日を過ぎてもトロイア軍がクレタ半島に残っているなら、クレタ公国軍と協力して攻撃をしかける。」と主張したのだ。


 トロイアはトロイアで、「クレタ公国が永世中立国として独立するなら、両軍共に撤退しなければならない。ミノア帝国の主張は容認できず、ミノア帝国軍は速やかにクレタ半島から撤退せよ。」と言っている。


 つまり、卵が先か?鶏が先か?状態である。結局はどちらかが先に引かなければならないのに…


 クレタ公国軍の司令官はアロン大佐ではなかった。大将をミノア帝国から連れてきたのか?


 いや…少将か中将あたりをスカウトして大将にしたのか?




 そして今日は…士官候補生二次試験の合格発表の日であった。


 俺は、整備特技者として二次試験を受験したのだが、何故かABLMパイロット士官として合格していたのだ。


 隊長もクーナさんも納得していないらしく、中央司令部に電話をしていた。


 軍の思惑もあるのだろう。入校はどうするのかとの話になったが、パイロット課程で入校するよう言われたらしい。


 そこでクーナさんが「教官は可哀想よね。自分達よりもABLMの操縦が上手く、更にABLMの戦闘戦術に於いても教官より詳しい人間に何を教えるの?これだけ多大な戦果を上げている教え子にどうやって教育するのかしら?」


 と嫌味をタラタラと言ったら、「その件に関しては、後日、改めて回答します。」と言われたとの事だった。


 隊長も電話したら、クーナさんの電話で中央司令部の人事部もかなり揉めたらしい。


 後日、回答が来たが、結局は特例として入校無しの士官任官となった。軍司令官の鶴の一声である。


 条件として、ABLMパイロット教官と戦術教官の資格のあるクーナさんの元でしっかり勉強し、認められたらとの条件であった。


 クーナさんが知り合いの教官に電話したら、やはり俺の教官は誰もやりたく無いと言っていたらしい…司令部からも電話が来て、そう回答したとの事だった。


 整備特技者として、ABLM整備の教育を受けたかったなぁ…


 俺、特例ばかりだけど…ハッキリ言って、特例のせいで迷惑かかってるんだよね…





MUC212.7.20


 クレタ公国軍が本格的に攻撃を開始したようだ。残存のトロイア共和国軍に対して攻撃を仕掛けてきた。


 首都のクレタ市は、半島の中央のやや西側にあり、そこの防衛は強固である。


 我々トロイア軍は、クレタ半島の南側1/3程度を掌握している状態だ。東側のラング州と西側のサンガ州である。


 サンガ州は、六聖剣が戦死した事になってる「サンガール地方の戦い」で有名だ。


 他の基地はクレタ軍に明け渡したが、ラング基地とサンガ基地は明け渡していない。

 

 敵は、最初にラング州から攻めてきた。


 敵と表現しているが、はっきりとクレタ公国軍なのかミノア帝国軍なのか判別できないのだ。


 一応、トロイア軍としてはクレタ公国軍とは極力交戦しないようにと通達されているが、どちらも同じ装備品であり判別できない。



 ラング基地正面が押されてきたため、ラング基地を放棄してサンガ州に部隊を撤退させる事になったようだった。


 まぁ、トロイア軍も7月10日までにはある程度は部隊を撤退させてたから、残っていたのは2個方面軍だけだったのだが。


 2個方面軍では、防衛するには広すぎる正面幅だから、基地を中心に防衛していた。


 やはり無理が生じて防衛しきれない。2個方面軍でサンガ州で防衛すると方針を固めた。



 ここで問題が生じた。ラング基地守備部隊の撤退援護をする部隊がいなかったのだ。


 サンガ基地の防衛部隊を出して撤退援護をさせる案もあったが、そうするとサンガ基地の防衛が手薄になり、攻め込まれたら一網打尽となる可能性がある。


 撤退援護部隊を急遽派遣する事になり、我々第11独立実験隊も参加する事になった。


 本日、港から船に乗り、サンガ州に到着するのは2日後だ。


 船の中で作戦会議が行われる。


「今回の任務は、サンガ基地守備部隊である第2方面軍の撤退援護よ。私達は、第3師団の増援として参加する。」


「えっ?3師団?それじゃ、33機兵連隊も来るの?」と俺が質問した。基地では、33機兵連隊は出発準備をしている気配がなかったからだ。


「来るわよ。ただし、今来てるのは4大隊だけね。明日以降、主力が出発するらしいから。」


「3師団、結構使われてるね…」


「仕方ないわよ。クレタ半島に近い師団だもん。」


「まぁ、細部は現地に行かなきゃ分からないんでしょ?」


「まぁ、そうね。とりあえず、サンガ基地に到着後に体勢を整えてからね出発になるわ。その間に作戦の細部を確認してくるから。」


「実働試験任務の内容を聞いていませんが…」とダーイン中曹が質問する。


「あっ!そっちの説明の為に集まってもらったのよね。今回はブレリアじゃなくてⅢ型を持ってきてるわ。全ての関節のモーターと油圧の実用耐久試験よ。モーターと油圧シリンダーが試作品になってるから。」



「まぁ、普通に戦えば良いって事ですかね?」とリジル中尉が呟く…



「そう。普通に戦って。ただし、試作段階だから不具合が出る可能性があるわ。不具合が出たら、無理せずに退却してね。」


「よし!ノーマルカラーのⅢ型で戦うか!」と俺が張り切る。蒼い死神は封印なのだ!


「俺もパーソナルカラーのしがらみから解放されるよ!」とダーイン中曹も開放感を感じている。


 なんだかんだ言って、パーソナルカラーや通り名があると、それがプレッシャーになる時もある。



 俺達は最近「四神騎士」と呼ばれていた。


 そのパーソナルカラーから、中国の神話、天の四方の方角を司る霊獣を連想させたようだ。


東の青龍「青→クロノス」通り名:蒼い死神

南の朱雀「赤→ダーイン」通り名:火の鳥

西の白虎「白→ラッハ」 通り名:戦場の白い虎

北の玄武「黒→リジル」 通り名:黒い武神

である。


 俺の通り名だけ…四神が全く関係ない…


 ダーイン中曹、カッコいいな…フェニックスだもんな…ラッハ中曹もホワイトタイガーだし。


 しかし…リジル中尉の「武神」って凄いな…あの元旦のTV番組からかな?あれでリジル中尉は有名になったもんな…



 クーナさんが続けて説明する。


「それと、今回は中隊長機をレイア軍曹に使わせて同行させるわ。しっかりフォローしてあげて頂戴ね。」



「えぇぇぇぇ〜!」と小隊全員でハモる…



「皆さん、宜しくお願いします!」とレイア軍曹が挨拶した。


「戦場を体験してもらうだけだから、スナイパーのリジル中尉の近くにいるようにね。」



 みんなでヒソヒソ話をする…

「リジル中尉、しっかり面倒見て下さいね!」

「クロ!そりゃないだろう…お前が面倒を見てくれよ…」

「いや…前線にいるから無理ですよ。下がって良いなら面倒を見ますけど…」

「俺が面倒を見ようか?クロとラッハで前線維持してくれ。俺はリジル中尉の横で見てるから。」

「それなら俺がやりますよ!」



「あのぉ…迷惑かけないように頑張りますので…」とレイア軍曹が申し訳なさそうに言った。


 なかなか可愛い…リジル中尉がポーっとしていたけど…まさか…



 解散後、リジル中尉が俺にボソッと言った。


「今まで意識してなかったけど…レイア軍曹って健康的で可愛いよな…」


「はい。性格も良いですし、少しお喋りなだけで凄く良い子ですよ。」


「だよな…」


 確かにリジル中尉は独身だし…ダーイン軍曹と同期だから31歳か?レイア軍曹は24歳…


「レイア軍曹の事、少しクーナさんに聞いてみましょうか?彼氏はいないはずですよ。」


「頼むよ。この事は内緒だぞ!」



 リジル中尉、本気なのかなぁ…




 さぁ、明後日の朝には下船だ!その後はサンガ基地に行き、そして戦場に…また戦場に行くのか…



 


 前回、士官候補生二次試験の受験から合格のすったもんだが消えてしまったために、その件に関しては端折っています。

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