表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
機動機兵ブレリア「戦場の絆」  作者: キジ白のやまちゃん
94/105

第094話 「士官候補生試験」

MUC212.4.27(月)


 昨日のクーナさんとのデートは楽しかったなぁ…本当にクーナさんって良い子だよな。優しいし、俺は歳下なのに男を立ててくれるし…


 本当に俺は良い女性(ひと)と付き合う事ができて幸せだよ…


 なんて浮ついた事を考えながら朝礼に参加中である。前に立つクーナさんを見て、また浮ついた事を考える。


『戦闘服姿のクーナさんも可愛いなぁ…』などと思っていると、突然、クーナさんから名前を呼ばれたのだった。


「この度、ソハヤ中曹が士官候補生の一次試験に合格しました。はい!みんな拍手ぅ〜!」


 パチパチパチ!と拍手をされた…


「えっ?えぇぇぇぇ〜!」



 士官候補生の試験は、軍曹昇任後4年を経過すると受験資格ができる。俺はまだ軍曹昇任から2年程度しか経っていないが、受験資格に落とし穴が…


「35歳以下の軍曹昇任後4年を経過した軍曹又は中曹」と書いてあったのだ。


 俺は中曹になった為、受験資格が出来てしまっていた。4月の上旬に仕方なく、しかも適当に受けた筆記試験に合格しただと?


「中隊長!これは軍の陰謀が見え隠れしている…」


「そんなのどうでも良いわよ。とりあえず、二次試験を頑張ってね♡」


 どうでも良いって…何で俺が合格する訳?おかしいだろ!


 ハッキリ言って、俺は士官なんかになりたくないのだ…


 何故って?自分の事で手一杯だからである。大勢の部下の面倒は見れないのだ!



 朝礼が終わり、クーナさんに中隊長室に呼ばれた。


 2人きりの中隊長室…クーナさんを見ると…相変わらず可愛い!ムラムラする気分を抑え、クーナさんにハッキリと言った。


「俺、幹部になる気なんて全くないよ?」


「私もそう思って、二次試験を辞退できるか確認したの。そしたら、それは出来ないって念を押されたわ。」


「えっ?マジで?どうしよう…」


「このままだと、軍はクロを士官にするわね。落とす理由がないもの。だって、トロイア共和国の英雄よ。」


「それは作られた英雄だよ?だいたいにして、一次試験、本当に回答は適当だったんだよ。それでも合格させたってのが強引だよね。」


「二次試験は、面接と特技の実技試験だからね。つまり、面接はどうにでもなるし、実技試験はクロなら落ちるはずがない。完全に仕組まれてるわね…」


 クーナさん…どうしよう…


「まぁ、良いじゃない!クロが士官になっても、どの道ABLMのパイロットのままなんだし。」


「整備兵に戻りたい…」


「もう無理よ…あれだけ軍の広報に使われたら…パイロットを引退する年までは…」


「だよね…まぁ、とりあえず、二次試験は受けなきゃならないんだね?受験日は?」


「まだ6月の中旬から下旬ってしか聞いてない。決まったら言うわ。」


 中隊長室を出てから憂鬱な気分になる。何でだぁー!


 と思っていると、リジル中尉、ダーイン中曹、ラッハ中曹が来た。


「クロ、凄いじゃないか!士官候補生の一次試験に合格なんてさぁ。」とラッハ中曹が言う。


「俺も軍曹からの叩き上げだ。分からない事があったらアドバイスはできると思うよ。」とリジル中尉が言ってくれた。


「しかしリジル中尉、合格したら今後はどうなるんだい?」とダーイン中曹が聴いてくれた。俺も興味がある。


「6月に二次試験を受けて、7月中旬が合格発表かな?合格したら、8月1日に准尉に昇任するよ。准尉自体が、ほぼ士官候補生の階級みたいなもんだからね。そして、次の年の4月から1年間、士官学校に入校するんだ。入校中の8月1日に少尉になるよ。」


「軍が1年間もクロを入校させておくか?まぁ、戦争が終わったら入校させるだろうけど…」


「しかし、クロが少尉になったら、リジル中尉は要らなくなるんじゃ…」とラッハ中曹が呟いた。


「ラッハ!何で事を言うんだ!そういのは、思ってても言わないもんだぞ!」とダーイン中曹が笑いながら言っている。


「何て事だ…クロ、頑張るなよ!」とリジル中尉が士官らしくない事を言っていた…


「いや、真面目な話、士官大学出と変わらない出世スピードだよな…」


「クロは今、21歳だろ?22歳で少尉だったら…」


「いや、23歳でかな?士官大学出の奴らと同じスピードだな。こんなのは聞いた事がないな…」


「なりたくてなる訳じゃないですよ…」



「まぁ、リジル中尉は新編される2小隊に異動って事で!」とラッハ中曹が締めくくった。



 周りで聞いていた中隊の隊員みんなで笑っていたが、俺は笑える状況では無かった。



 もう、軍の思惑にすっかり嵌められている気がするんだよな…軍の掌で踊らされたているように思えて、なんだか嫌な気分になった。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ