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機動機兵ブレリア「戦場の絆」  作者: キジ白のやまちゃん
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第093話 「新兵器開発」


 今回、イシュタ少尉は、アロン大佐の秘書のような形で同行していた。車の運転は、別の男性下士官が行なっている。



「イシュタ、基地には戻らず、このまま研究本部に行ってくれ。そこで模擬戦をやるから。」


「えっ?確か大佐のABLMを預けてましたよね。何か取り付けてもらってたんですか?」


「まぁ、色々と悪さをしてもらってる。模擬戦が楽しみだよ。」


「もう、午後の予定は全てキャンセルしますね…」


 

 アロンに研究本部から、クロノス対策の腕の試作品が完成したとの連絡が来たのだ。アロンにとって、青い死神対策は最優先事項である。



 アロン達が研究本部のABLM整備工場に到着した。


 アロンのABLMを見てイシュタが叫んだ。


「何これ…カッコ悪ぅ〜い!」


「そうか?俺は好きだぜ、こう言うの。」


 普通のABLMよりも腕が長く、太いのだ。


「ゴリラみたい…」とイシュタが呟く…


「蛇腹複合型関節… Bellows compound jointを略して、我々は『ベローズCJ機構』と呼んでいます。腕は伸縮するんですよ。今は説明のために伸ばした状態ですが、もっと短くもなります。」と開発者が説明した。


「まぁ、使わせてもらうよ。マニュピレータではなく、鍵爪3本になっているが…これはそのまま格闘に使えるのか?」


「はい。爪そのものが剣と同様です。それと、中心からはマシンガンが撃てるようになっています。腕に弾丸や隠し剣などを格納するため、ベローズCJ機構は肘から肩にかけてのみとしました。これで大佐が求める物となれているかは分かりませんが…テストしてみて下さい。」


「イシュタ用のABLMを貸してもらえるか?模擬戦をしたいんだ。」


「分かりました。準備します。」



 アロンは直ぐにABLMに乗り込み動かしてみる。使用方法の説明を受け、動かしてみた。


「二の腕からとは言え、結構気持ち悪く曲がるな…腕を縮めても、普通のABLMよりは腕は長いな。」


「この構造を生かそうとすると、どうしても長く作らざるを得なくなります。短いと曲がらなくなりますから。」


「まぁ、形はどうあれ、鞭の様にしなやかに攻撃できる。これは有効かもな…」


「大佐、お待たせしました。」とイシュタ少尉がABLMに乗って現れた。



「よし!訓練場に行って模擬戦だ!」


「そのゴリラと戦うんですか?」


「ゴリラって言うな!ゴリラだって強いんだぞ!」


「実際のゴリラは強いんでしょうけど…」


「まぁ、やってみれば分かるさ。」



 アロン大佐がそう言い、模擬戦も開始された。


「イシュタ、この攻撃は避けれるかな?」アロンは、腕を鞭の様に振った。


「何です?その気持ち悪い動き…」イシュタはそう言いながら回避する。


「それならこれは?」と言って、もう一度腕を鞭の様に振る。今度は途中で軌道を変えた。


「えっ?何っ?」イシュタがそう言うと同時に、アロンの腕がイシュタにヒットした。


「次は両腕で行くぞ!」


「大佐、ちょっと待って!軌道が読めないのよ。」


「待たないよ!行くぞ!」そう言って、アロンは左腕をバックブローのように振った。


 途中で軌道を変え、横からの攻撃のはずが、斜め上からの攻撃となる。


 なす術なくヒットし、体勢を崩したイシュタにアロンの右腕の爪が襲う。


 ガシャン!と音がして、イシュタの機体が吹き飛んだ。


「これは…予想以上の効果だな…」とアロンが驚いていた。イシュタの実力は、アロン大佐よりも遥かに上だったからだ。


 イシュタも、基本的にはクロノス達同様の先読みにより回避していた。イシュタは更に感が鋭く、第六感と先読みを併用した回避であったのだが…


 しかし、あの腕の前では、なす術なく倒されたのだ。



「大佐、攻撃の軌道が読めません…避ける事は困難ですね。」


「もう少し続けよう!」アロンはそう言って模擬戦を続けた。




 模擬戦を終え、アロンとイシュタが整備工場に到着する。2人ともABLMから降り、イシュタの第一声は「もぉ〜!ボコボコにやられましたよ!」と、少し怒り気味であった…


「けど、何回か回避してたじゃないか。あれはどうやって回避したんだ?対策を取らないといけないからな。」


「あんなのマグレですよ!適当にやったら躱せただけで、同じ事は2度とできません。か弱い乙女を虐めるなんて…」


「イシュタは攻撃して来なかったが、どうして攻撃して来なかったんだ?」


「最初に攻撃を受けて警戒したんです。攻撃しようにも、同時に攻撃されたらこちらは回避できませんから。」


「ほう…攻撃が最大の防御になってる訳か…」



「使ってみて、何か意見はありませんか?」と開発者がアロンに聞いた。


「爪を使う機会が少ないな。鞭の様にしならせて腕を振る場合、腕の横の部分での攻撃となる。そこにダメージを大きくできる何かを取り付けて欲しい。トゲでも良い。」


「成る程…あと、腕の横からは隠し剣が飛び出すようになっています。大佐は使用しませんでしたが、今回の模擬戦のデータを元に、最適な位置へと変更します。」


「あぁ…忘れてたよ…」


「あと、リーチを最大限に活用するためには、当たる前に鍵爪を広げて、鍵爪で攻撃する様にしてはどうでしょう?鍵爪は両刃の剣と同様ですから。」


「それなら隠し剣は要らないな。そのかわり、爪の数を増やしてくれ。4〜5本にしてくれ。」


「分かりました。」


「あと、射撃武器が持てない。マシンガンのみでは不安だな…」


「それでは、マシンガンタイプはそのままで、無反動砲タイプも作成します。ただし、弾数は3〜5発と少なくなります。外付けマガジンはお勧めできませんから。


「無反動砲タイプはそれで良い。是非作ってくれ。」



『これは青い死神にも有効かもな…』



 アロン大佐はニヤリと笑った。あの青い死神に勝つ事ができれば…そう思うと笑いが込み上げてくるのだった。

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