第082話 「新たなメンバー」
執筆が終わりました!まだ平和な感じが続くかも…
リジル中尉は、思いのほか有名人だった。
年末の取材の時の番組が正月に放送されたらしく、その時の戦闘映像が映されたのだが…
年末のドゥルガー島での、あの戦闘(第074話)…クーナさん、俺とダーイン中曹がリジル中尉の戦いを見ていた時の映像だ。
リジル中尉のコックピットからの映像と、クーナさんと俺、ダーイン中曹の機体の映像を編集して、とてもカッコいい映像になっていたらしい。
しかも相手は敵エース…
3小隊の戦いの映像も流れたらしいが、あっさり撃破してしまったから面白味に欠けていたようだ…
あの緊迫した戦いがカッコ良かったので、リジル中尉は人気者になったようで、街に行っても声を掛けられるくらいになったらしい。
最後の映像は、ラッハ中曹が足を損傷したボルグ大尉の機体に肩をかして本部に帰ってくるシーンで、それもまたカッコ良かったみたいだ。
正月の戦争トピック映像は大反響だったみたいだ。
隊旗授与式も終わり、中隊旗も授与した。本当に新しい中隊なんだな…
MUC212.2.1(土)
隊長の着任式が行われた。俺達の中隊は17名だったが、研究支援中隊は凄い人数だった。150人はいたんじゃないか?
同じ中隊と言う単位なのに、着任式で並んでる人の差があって、なんか寂しい感じだ…
その後に中隊どうしでの顔合わせをしたが、相手中隊の人数が多すぎて分からないよ…
リジル中尉…だけではなかったが、特にリジル中尉が人気者であった。
まぁ、俺達も知られていたが…
色々な行事が終わり、中隊事務室に戻った。
「しかし…リジル中尉、凄え人気者だったな。」とラッハ中曹が悔しそうにしていた。
「けど、最後のボルグ大尉に肩を貸して帰ってきた映像もカッコ良かったぞ!」と指揮班長のホーク中尉が言うが…
「あれ、俺だって分からないじゃないですか…」とラッハ中曹が嘆いていた。
「しかし俺、その映像を見た事ないんですよ。」
「俺、録画してるから貸そうか?」と先任のブラン曹長が言ってくれた。
「それじゃ、明日はみんなでその映像を見ましょうか?中隊の精神教育として。」とクーナさんが言うが…
「明日の中隊長の精神教育の時間に見るんですか?」
「うん。1時間の番組だっけ?少し長くなるけど、先任、良いなか?」
「了解しました。準備は任せて下さい。」
次の日となり、中隊みんなで例の番組を見たが…
「これ…カッコ良すぎませんか…」俺は絶句した。
この番組、リジル特集と言っても良いくらいカッコ良いのだ…
「この接戦が見る人を魅了したんだな…」とダーイン中曹が分析するが…
「俺達の活躍が小さいぞ!あれだけ活躍したのに!」
とラッハ中曹が騒いでいた。
「良いじゃないですか。リジル中尉が有名になったら、リジル中尉が狙われるようになって俺達の負担がへりますよ!」とラッハ中曹をなだめた…
「俺達は、すぐに敵を撃破しちゃったからTVでの見栄えも悪いしなぁ…」とダーイン中曹が言うと
「すみませんねぇ!てこずっちゃって!」
「リジル中尉が弱い訳じゃないよ。俺達が…強すぎるのさ!なんちゃって!」
「ダーイン…お前…。まぁ、実際強いからな…」
何でダーイン中曹がいつもリジル中尉と仲が良いんだ?と思ったら、新隊員の同期らしい。
リジル中尉も2等兵からの叩き上げなんだ…若く見えたから知らなかった…
「今気付いたけど…この中隊、兵の階級がいませんよね…」と今更気付いた…
「補充中なんだ。けど、来ても8人だよ。各パイロットに1名ずつと、中隊本部に2名、指揮班に2名しか来ない。」と先任のブラン曹長が教えてくれた。
「各パイロットに1名?普通の中隊ではそんな事しませんよね?」
「この部隊は特別編成なんだ。本当なら小隊本部があるべきなんだろうが、本部管理中隊もないため、輸送も補給も全て研究支援中隊がやってくれる。パイロットを優遇するためにも、「伝令」と言う名の付人を1人ずつ付けるのさ。」
「この人達の特技はなんですか?」
「大抵はパイロット志願者だな。今、募集してるんだが…。あっ!中隊長の伝令は軍曹だよ。」と先任が更に説明してくれた。
「先任、私の伝令、女性にしてもらえないかしら?クロが焼きもちを焼くでしょ?」とクーナさんが笑いながら言っていた…
「なっ!焼きもちなんか…焼くかも…」
「あっ!今、女性で調整してます。しかし、本当に中隊長とソハヤ軍曹は交際してるんですね…噂レベルでしか聞いていませんでしたが…」
「はい。本当ですよ!」とクーナさんが得意げに言っているが…自慢する所じゃないよな…
「先任、大変ですよ…。中隊長が狙撃された時は、クロがブチ切れて、敵のスーパーエースをボコボコにするし、クロが危なくなった時は、中隊長がブチ切れて、敵の戦車小隊とABLM数機を1人で撃破しちゃうし…」ダーイン中曹…すんません…
「それは…大変だな…」と中隊のみんなが引いていた…
「この2人、暴走したら止まらないんですよ…」とラッハ中曹が付け加える…
「クロがブチ切れると、普通のABLM連隊なんか1人で潰しちゃいますからね…」とダーイン中曹も更に付け加えていた。
「補充はいつ来るんですか?」と俺が話を変える。
これ以上話されると…困る。それにナハス軍曹の事も思い出してしまうから…
「本当なら、補充はもう来てる筈なんだよ。ただ、人事調整が難航してね…。戦争に行ってる部隊もあるし、そうでなくても人が足りない。出してくれる部隊が無いんだ。中隊長の伝令だけで、君達は新隊員が入るまでは1人でやってもらう事になると思う。」
「今迄1人でやってたから、別に要らないですよ。ただ、中隊本部には人員が欲しいですよね。」俺は1人でいいんだよな…
「まぁ、そうだな。困ったら研究支援中隊の人が色々とやってくれるし。大丈夫だよ。編成も含めて、これから試行錯誤して行くようになるからな。」
けど、伝令は少し欲しいかも…
この部隊、優遇されてるなぁ…と思いながら話をしていた。
MUC212.2.6(木)
今日、中隊長の伝令が着任すると言う。先任に聞くと、どこも調整がつかず急ぎの補充のため、第33機兵連隊の隊員で調整したとの事であった。
知ってる人かなぁ…けど、33機兵連隊に、パイロット志望の女性なんていたか?
事務室に行くと、レイア軍曹が居た。
「あれ?レイア軍曹どうしたの?整備支援?」と聞くと
「何言ってんの?聞いてないの?今日から、この中隊の隊員なんだけど。」
「へっ?中隊長の伝令ってレイア軍曹なの?」
「そうよ。女性のパイロット志望者も居ないし、女性のABLM整備士も居ない…。火器整備の隊員で良いから転属できないか?って言われて。」
「そうなの?良く来たね!宜しく。」
「該当者が私しか居なかっただけよ…まさか私までココに来るとは…。もう、パイロット試験を受けようかな?」
「おっ!レイア軍曹なら運動神経良さそうだし、大丈夫じゃない?」
「よし!もう軍曹になってるけど、今から本気でパイロット目指してみるよ!」
まさかレイア軍曹が中隊にくるとは…
どうなるんだろう…




