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機動機兵ブレリア「戦場の絆」  作者: キジ白のやまちゃん
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第078話 「教導隊との模擬戦②」

 今度はクーナさんが模擬戦をやる番か…


 俺が5機相手しちゃったから、残りは1機しかいないもんな。


 クーナさんがブレリアに乗って騒いでいる…


「操縦感覚が違いすぎるわ!使い易いのか使い難いのか分からない!」


 結構、俺達が使っているブレリアとは操縦感覚が違うからなぁ…



無責任に「クーちゃん、頑張ってね〜!」と言って送り出した。



 クーナさんを送り出すと、3人の男が俺の方に向かって歩いてきた。


「本当に3機相手に勝つとはな…俺はゴーン・グロスター少尉、さっき最初にやられた男だよ!」と挨拶してきた。


「あっ!宜しくお願いします。」と俺も返事をした。


「俺は最後にやられたホーカー・フューリー曹長だ。なんか、無線の言動とは違って普通のやつじゃないか。」


 やっぱり、さっきまでの言動は生意気だったのか?


「いや…アラド中曹って人が煽ってくるから言い返しただけですよ。」


「デカい口叩いて、君に瞬殺されてたからな!アイツも反省するだろ?凄い落ち込んでたぜ!あっ、俺は2番目に撃破されたマーチン・ベイカー上曹だ。宜しくな!」


「アイツ、自分が強いって勘違いしてたからな。いい薬になっただろうよ。」とフューリー曹長が付け加える。


「えっ?アラド中曹、あまり好かれて無いような気が…」と俺が言うと、グロスター少尉が


「1小隊の隊員は、小隊長をはじめ気性の荒いのが多いからな。あまり良くは思われてないかな?まぁ、腕は良いんだが…」


「それでも君には瞬殺だったな…。1機目と2機目は1小隊の隊員だったんだよ。」


「しかも、『全開にできるほど強く無い』とか君に言われちゃってだからな!ハハッ!」とベイカー上曹が笑う。


「君の小隊は、本当にそんなに強い小隊なのか?まぁ、君の強さを見ていたら納得できるような気もするが…」とグロスター少尉に聞かれた。


「強さ的に言うならば、今戦うクルタナ大尉よりも少し落ちるくらいです。2人はクルタナ大尉と同じくらいと言って良いですね。」


「君とクルタナ大尉は?どちらが強いんだ?」


「1対1なら俺が勝つと思います。ただ、彼女は部隊運用も凄いんですよ。ウチの中隊、どんなに劣勢な戦力でもパイロットの死者は出てませんから。戦場全般の状況把握と判断能力はずば抜けてます。」


「へぇ…あんなに可愛いくても、そんなに凄い人なんだな。」


「個人の戦闘能力は、今から見れば分かるとおもいます。まぁ、自分の機体じゃないから手こずっているようですが…」


「ああ、見せてもらうよ。」



 そんな会話をしているうちに、クーナさんの模擬戦が始まったのだった。


 「始め!」の合図と同時に相手がクーナさんに斬り込んできた。


「初めの3分は攻撃をしないで受けるだけにしておくね。」そう言って相手の攻撃を全て受け流す。


「凄いな…彼女、ブロッシュを軽くあしらってるぞ…」とグロスター少尉が唖然としている。


「ええ…ブロッシュ中曹、ウチで1番なんですけどね…本当に乗り慣れてない機体なのかよ…」とフューリー曹長も驚く。



 そこで、俺がクーナさんのお父さんの真似をして無線で叫んだ。


「クルタナ!まだブレリアの性能の60%しか出してないぞ!もっと力を解放するんだ!」


「クロ…似てないんだけど…」とダメ出しを食らった。


「いや、クルタナは90%くらい出しているよ。グラフを見ると瞬間的に出しているね。クロ君は先読みの能力が高いから3機相手でも80%で対応できたんだと思う。」とお父さんが分析する。



「クルタナぁ〜!ブレリアの性能を解放だぁ〜!」


「クロ、うるさい!似てないから!集中できないでしょ!」と、ふざけている間にも戦闘は続く。



 クーナさんは、3分間相手の攻撃を全て躱した。


「3分経ったから、私からも攻撃するわよ!」


 そう言ってクーナさんから攻撃を仕掛けた。


 上から振り下ろした剣を相手は剣を横にして受け止めた。その瞬間、相手の胴体に蹴りを入れて突き放し、剣でコックピットを突き刺した。


 破壊判定となり、あっさりとクーナさんが勝ってしまった。



「彼女レベルの人間が集まっている小隊…化物集団だな…」


 教導隊も、もはや沈黙しかない。


 

 シュケルト大尉がこちらに近づいてきて俺に話しかける。


「凄いな君達は…教導隊の猛者が子供扱いだ。」



 クーナさんがブレリアから降りてきた時、シュケルト大尉がお礼を言った。


「クルタナ大尉、お疲れのところをありがとうございました。隊員も、とても勉強になったと思います。」


「こちらこそ、大変勉強になりました。ありがとうございました。」とクルタナが言うと


「いや…クルタナ大尉、何も勉強にはならなかったでしょうに…。本当に、こちらが胸を借りた感じですから。」


「いえ、勉強になりましたよ。中隊の隊員には、謙虚にしないと恥をかく場合があるぞって教育しますので!なーんて。嘘です。」と言って、クーナさんがケラケラと笑っていた…


 クーナさん…冗談がキツくない?


「これは一本取られましたな!ところで、ソハヤ軍曹とクルタナ大尉は戦った事がありますか?」


「ありますよー!競技会の決勝戦で戦いました!」


「ほう…結果は?」と興味深々で皆んなが聞き耳をたてている。クーナさんは


「私が負けましたよ。しかも、手加減されたのに、あっさり負けました!」


「はぁ?クルタナ大尉を相手に手加減して?本当ですか?いや…3機を相手に何の苦労もなく勝てるようなパイロットだ…ありえるか…」とシュケルト大尉だけではなく、周りで聞いていた人達も驚いていた…



「私、手加減されて負けたよね〜!クロ?」


 クーナさん、まだ根に持ってたのかよ…


「そっ…そんな事ないよ!全力だったよ!」


「ふぅ〜ん…」


「君達、交際してるんだろ?喧嘩しないでくれよ?」と、シュケルト大尉が慌てていた。


「大丈夫です。俺達、何故か大きな喧嘩した事はないんですよね。」


「しかし、ソハヤ軍曹は凄いな…。今まで聞いたこともないパイロットだと思っていたが…」


「だって俺、戦争が始まってからパイロットになりましたから。開戦時は整備兵です。」


「整備兵が何故パイロットに?凄い稀だな…」


「まぁ、色々とありまして…」




 本当に色々とあった…


 苦しい時もあった…悲しい時もあった…しかし、戦争という絶望の中にも確かにあったんだ。希望と言う名の生きる目的が。



 ナハス軍曹の事を思い出して、俺は無意識に涙を流していた…

 

「ああ…すまん…思い出したくない出来事だったんだな…。」とシュケルト大尉が謝罪してくれた。



「いえ…大丈夫です…」そう答えるのでいっぱいだった。


 今の俺には、愛する彼女がいる。この人と戦争を乗り越えて幸せになりたい。


 例え戦争で何人殺す事になろうが…


 

「ソハヤ軍曹、ウチの中隊のみんなにアドバイスをしてくれないかな?少しだけでいいんだが。」


「分かりました。アドバイスと言うより、質問してもらったら答えます。」


 と言う事で、俺とクーナさんへの質問コーナーとなった。



 色々な質問を受けたが、やはり、1番興味深々で聞いていた質問は『どうすればあれ程剣をかわせるのか』であった。


 俺は3中隊の人達に教えたように説明した。


 相手の機体をしっかり見る事。特に各関節の向きや予備動作を含めた全体を見ると、太刀筋は限定されていく。


 これは、攻撃や射撃の防御にも応用できると。


 射撃の防御と言われて、みんながピンときていなかったため、急遽、実演することになった。


 教導隊の3人からの射撃を躱す実演だ。


 左腕のキャノン砲を、剣で(ことごと)く斬り払った、みんな唖然としていた。


 3連隊は、競技会に小隊用訓練装置を応用して防御の練習をしている事を伝えると、採用してみようと言っていた。


 尽きることのない質問コーナーも、シュケルト大尉が打ち切ってくれたので助かった。


 この調子では年を越してしまうってくらいの勢いだったからだ。



 最後に教導隊のみんなにお礼を言われ、訓練場を後にした。


 研究所に到着して荷物を卸す。そのあとに会議室に連れて行かれてクーナさんのお父さんと話をしたんだが…


 最初は先程の戦闘データについての話を聞いていたんだが、最後に言われた事に衝撃を受けた…



「クルタナ、クロ君…転属してウチのパイロットにならないか?」




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