表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
機動機兵ブレリア「戦場の絆」  作者: キジ白のやまちゃん
72/105

第072話 「エース部隊との戦闘①」

 中隊長(クーナさん)の号令で前進を開始した。

 

 徐々に敵に近づく。



 敵は防御しているABLM1個中隊に1個砲兵中隊及び1個戦車小隊が増強されていると見積もられる。


 我々の隊形は、いつもと同じく3小隊が先頭で1・2小隊が後ろに控えている。


 1・2小隊の真ん中には中隊長がおり、中隊を中央から指揮するとともに、不利な小隊の方に中隊長が増援にいける隊形だ。3中隊独自の隊形だろう。


 普通は2個小隊を前に出して正面押ししていくので、本当に特殊な隊形だと思う。3小隊ありきの隊形なのだ。


 近づくと、敵砲兵の射撃を受けた。敵は射撃してくるが、我々が下手にキャノン砲とかで射撃をすると、ドゥルガー大橋を破壊してしまう恐れがあるため、状況を見ないと射撃できないのだ。


「好き勝手に射撃してきやがって…」と、ラッハ軍曹が呟いていた。



「中隊長、敵部隊は、ABLM中隊基幹と戦車小隊はいますね。砲兵は確認できません。」とラッハ軍曹が報告した。


 キャノン砲のスコープを使用して確認したのだ。


「ABLM中隊の機体色は確認できる?」とクーナさんが質問する。


「右側の敵小隊は、赤、黒とノーマルカラーが2機で、左側の小隊は、黄色…水色かな?あとはノーマルカラーが1機確認できます。奥の小隊は、赤と…赤?ワインレッドか?の2機の他、ノーマルカラーが2機ですね。残り1機と中隊長機は確認できません。」


 少なくとも、6機はエースって事か…


「紫は無しか…アロン中佐達は居ないみたいね。赤いのはティル少佐の可能性はあるかな?」


「いや、ティル少佐とは配色が違いますね。ティル少佐は赤黒でしたから。」


「アロン中佐達の小隊が帝国では1番強かったんでしょ?それよりは敵は劣るはずだわ。大丈夫よ。」とクーナさんは相変わらず楽観的だ…


 敵の砲兵射撃の他、戦車小隊からも射撃を受ける距離まで近づいてきた。



「みんな、敵の位置を常に頭に入れておいて!迂闊に射線に機体を晒さないように。3小隊は、敵の射線を切りつつ前進して接近して。ルートは任せる。ルートが決まったらデータを送って頂戴ね!」


 3小隊の接近経路をボルグ中尉が送った。


「3小隊、このルートで行くぞ!道が狭いので、1列で迂回して行く。行進順序は、クロ、ダーイン、俺、最後はラッハだ。」


 クーナさんがみんなに命令する。


「1・2小隊は停止!射撃支援の準備にかかれ。3小隊が接近するまで待機よ。もう少しで激しい戦闘が始まるわ。みんな、死なないでね!」



 3小隊は、敵の射線から隠れて接近して行く。敵の右小隊の手前500mの付近まで近づけた。


 敵もレーダーで見えているだろうが、この先は開豁しているために迂闊に3小隊を射撃できる位置まで移動できないのだろう。


 砲兵の射撃もされてはいるが、前に小高い山があるために山に砲弾が落下している。


 開豁した地域への出口の手前で、俺はボルグ中尉に意見具申した。


「ボルグ中尉、出口から出たら、3機並列で突撃しませんか?敵も前面に3機いますので、同時に制圧したいです。」


「同時に行くか…分かった。俺は右の敵に行く。クロが中央でダーインが左側だ。敵もエース級だ、気を付けろよ!ラッハは後方から支援射撃と敵スナイパーの牽制を頼む。中隊長に意見具申するよ。」


 と言って、ボルグ中尉が中隊長に無線で意見具申した。



「了解。3小隊のルートだと、敵の右小隊に攻撃をするで良いのかしら?」


「はい。敵の右小隊に3機同時に突撃します。」


「分かったわ。突撃のタイミングは私が統制する。1・2小隊はスモークを準備!3小隊が突撃する前に、後方の戦車小隊の前にスモークを射撃するわよ!2弾目もスモークね。2弾目の目標は、1小隊は右ABLM小隊と後方のABLM小隊の間、2小隊は左右の小隊の間ね。1弾目は私が射撃の統制をするけど、2弾目は各小隊長が統制して!」


 と、クーナさんは直ぐに作戦の変更を達した。頭良いなぁ…。柔軟性があると言うか…



「3小隊、突撃準備が完了したら報告してね!」


 とクーナさんからの無線に、ボルグ中尉が「準備良し!」と答える。



「了解!3小隊はスモーク射撃の弾着10秒後に突撃!突撃の号令は中隊長が掛ける!」


 スモークが弾着してから煙の効果が出始めるのが、約10秒後なのだ。


「1・2小隊、目標正面の敵戦車小隊手前50m、スモーク、射撃準備良ければ報告!」


「1小隊、準備良し!」

「2小隊、準備良し!」


「射撃用意…撃て!」


「1・2小隊、2弾目を速やかに射撃せよ。3小隊、突撃5秒前…3、2、1、突撃!」



 クーナさんの号令で突撃した。ラッハ軍曹から連絡が来る。


「ダーイン軍曹の敵は黒い機体だ!クロの相手は赤で、小隊長の相手はノーマルカラーです!」


 それぞれが了解し、接敵行動をとりながら接近する。スモークのおかげで、敵の支援射撃は無い。


 

「敵を撃破した者は、隣の支援に行くか敵スナイパーの撃破に行け!その時の状況を見て、俺が判断するからな!」


 そうボルグ中尉が伝えた後、各々は自分の正面の相手と対戦することとなった。




************************



 中隊長の号令により、クロノスが先頭で飛び出して行った。敵小隊のヘイトがクロノスに一瞬だけ集中する。


 その後、ダーイン、ボルグ、ラッハと飛び出して行く。敵は困惑し、自分の正面に向かってくる敵に集中する。


 ラッハが射撃支援基盤に到着した頃、クロノスは敵の赤いABLMに接近していた。


 クロノスは左腕のマシンガンで牽制しようと思ったが、敵は障害物を利用して射線を切る。剣を構えてそのまま接近して行くと、敵がバズーカを構えているのがチラッと見えた。


「射線から飛び出した瞬間に射撃するつもりか?好都合だ!」そう言って、クロノスは敢えて射線に飛び出す。


 予想通りにバズーカを撃って来たので、それを剣で弾いて更に接近する。相手もバズーカを捨てて剣を構えた。


「赤いABLM…潔いな…構えにも隙が無い。」クロノスから斬りかかるのは止めておいた。相手の剣を全て受け、クロノスには勝てないと理解させてから撃破するのだ。


 殺しはしない。共和国の『蒼い死神』には勝てないと理解させれば、今後も無用な戦いをしなくても良くなるのでは?と考えたからだ。


 そして、薄いオレンジ色の『戦場の女神』も同等だと思わせれば、クルタナも戦闘に巻き込まれる事が少なくなるのではないか?と思ったのだ。


 敵の赤いABLMが斬り込んできた。なかなか鋭い斬り込みだが、クロノスが捌けない速度ではない。フェイントも交えて攻撃して来たが、全て受け流す。


 帝国のABLMも、左腕に固定武装のミサイルか?を付けている。


 それを足元に向けて発射されたが、共和国のABLMの無反動砲より初速が遅いし発射のタイミングも予測できたため、近距離とはいえクロノスは回避した。


 またクロノスに接近し、剣で斬りかかる。敵に好き放題攻撃させた。連撃を全て受け流すと、赤いABLMは距離を少し取った。


「そろそろ攻撃するか…」クロノスがそう呟いた時に、赤いABLMが後方に逃げて行ってしまった…


「何だ?こいつ…。勝てないと思って逃げた?なら追いかける!」


 クロノスが追いかける。速度はブレリアの方が速い。敵はレーダーで追いつかれると悟ったのか、機体を反転させて身構えた。


 いつもより少し遅い速度で剣を振る。右から左へと横に振った剣を敵が受け止めた。


 その瞬間、クロノスは最速で剣を引き、敵の左脚を突いて破壊した。


 そのまま振りかぶって左肩に剣を入れて左腕を切り落とした。


 すぐさま下から上へと切り返して右腕を切り落とし、コックピット付近に蹴りを入れて仰向けに転倒させた。


 残った右足に剣を刺し「ボルグ中尉、敵を撃破しました。次の目標を指示して下さい。」と報告し、戦闘終了となった。


 クロノスが周りの様子を見ると、ボルグ中尉の戦闘も少し遅れて終わったようであったし、ダーインも撃破していた…


「残り1機か…」クロノスがそう呟くと


「ダーイン、大丈夫か?」とボルグが聞いていた。


「こちらも撃破した。小隊長は?」


「こっちも片付いた。俺とラッハは後方の砲兵部隊をやりに行く。ダーインとクロは、敵スナイパーを撃破後、敵戦車小隊を撃破に行け!」


「砲兵部隊って少し遠いですよ?射点予測では2kmくらいありますが…」


「砲兵が2kmの距離なら近い方さ!1・2小隊が砲兵に射撃され始めたから、叩かないと脅威になる。」と言った後、ボルグは中隊長に無線で伝える。


「中隊長、3小隊は敵小隊正面の3機を撃破。ダーインとクロで、後方の戦車小隊を撃破させ、俺とラッハで敵砲兵の位置に前進して撃破したい。」


「クロとダーイン軍曹は大丈夫?2機で戦車4両を相手できる?砲兵はウザかったからボルグ中尉の方はお願いしたいけど…」


「大丈夫です。なぁ、クロ!」とダーインが張り切って言った。


「クーナさん、俺達は大丈夫。敵戦車の位置まで分かってるから。戦車撃破後は、後方にいる小隊に攻撃をします。」とクロノスも伝えた。


「了解!3小隊、頼んだわよ!」


 中隊長にそう言われ、俺達はそれぞれの目標に前進した。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ