第069話 「愛の誓い」
少し短いけど…執筆が終わりました。
ダーイン家での宴会?ではないな…
ナハス軍曹をしのぶ会から、一転して俺の誕生会となってしまった。
「ところでクロくんは、なんで整備士からパイロットになったの?」とナハス軍曹の奥さんが聞いた。
「いや…ナハス軍曹の話しの続きになるんですが…俺、ナハス軍曹が目の前であんな事になって、ブチ切れちゃったんです…。それで、1人で敵がたくさん居る所に突っ込んで行ったんですよ…」
「えぇ〜!大丈夫だったの?って、大丈夫だからここに居るのよね…」と奥さん2人が驚いた。
ダーイン軍曹が続きを話す。
「大変だったんだぜ?ボルグ中尉もクルタナさんも無線で止めたけど、言う事を聞かないで突っ込んで行ってさぁ…」
「敵はどのくらいだったの?たくさんいたんでしょ?」とダーイン軍曹の奥さんが聞いていた。
「だいたい70機くらいいたんじゃないか?」とダーイン軍曹が言うと
「えっ?そんな中に1人で?」と奥さん2人が更に驚いていた。
「よ…良く生きて帰って来れたわね…。これからは、自分の命を大切にしてね?」とナハス軍曹の奥さんに叱られた…
「ブチ切れたクロが凄いのなんの…唖然としたね。『俺はもう、愛する人を失いたくない!』とか言って突っ込んで行って、そのまま敵を殲滅させちゃったんだよ…確か56機撃破だったか?」
「ナハス軍曹の事もあったけど、ダーイン軍曹が攻撃を受けて損傷してたんです。それを見て『兄と夫を同時に失ったら、ナハス軍曹の奥さんが立ち直れないだろう』って考えちゃって…。ダーイン軍曹の援護をするために飛び出してしまいました…」
「えっ?1人で?1人でやったの?」
「はい…もう、頭が真っ白になってしまって…。後から冷静に考えたら、俺が殺してしまった人達にも家族が居ただろうと思って…そう思うと…帰ってきた時にクーナさんの前で泣いてしまいました…。俺はなんて事をしたんだって…」
「それがTVで言ってた『1個連隊を1人で撃破した事件』の真相だよ…」とダーイン軍曹が付け加えた。
「あの時は『この敵を殲滅しなければ、クーナさんや仲良くなった3小隊の人達まで死んでしまう』って思って、見える敵を片っ端から撃破してしまって…」
「話しを聞くと、TVでやってた事って実話なんだなって思っちゃうんだけど…」
「少し話は盛ってる所はありますよ。例えば『蒼い死神は、現在まで100機以上を撃破している』って言ってましたが、100機も撃破してません。多分70機くらいだと思います。」
『マスターの現在までの撃破数は72機です。』とガイアが言った。警戒任務時やその他の小競り合いを入れるとそんなになるのか…
「俺も13機撃破のエースなんだがな…クロの数字を見ると霞んでしまうんだよ…」とダーイン軍曹が嘆いていた…
今日はダーイン軍曹の家に泊まる事になった。ナハス軍曹の奥さんも。
ダーイン軍曹がとことん呑みたい!と言っていたため、流れ的にそうなってしまったのだ…
涙あり、笑いありの数時間を過ごして就寝した。
朝からダーイン家の近くのショッピングモールに行った。クーナさんが「誕生日プレゼントを買ってあげるよ!」って言ってくれたので、2人で選んでいた。
「クーちゃん、お揃いの指輪を買おうか?」と俺が提案した。指輪代は俺が支払う。
そんなに高価な指輪では無いが、内側に名前とかを掘り込めるようだ。
「クロ、なんて掘ってもらう?」とクーナさんに聞かれたので、俺は即答した。
「『MUC211.10.21 ナハス・エデンよ、安らかに』と掘ってもらいたい。」
「そう…私も同じく掘って貰うわ!」そう言って、2人で注文し、買い物を続けた。
指輪は3時間程度で出来るとの事だったので、買い物を済ませて昼食後に受け取りに行った。
安い指輪なのに、箱は高そうに見える。指輪のデザインもシンプルだ。
ショッピングモールからクーナさんのアパートに向かった。
途中、クーナさんに電話が来ていた。何でも、11日にTVの取材が来るから対応して欲しいとの事。
「休暇中に?大変だね…」と言うと
「3中隊全員よ。」と言われた…
「遠くの実家に帰っている人もいるんじゃないの?」
「とりあえず、来れる人だけ集めるわ。」と言って、先任曹長に電話していた。みんな来るのかな…?
クーナさんのアパートに到着し、部屋に入った。
なかなか豪華な指輪の箱を開け、指輪を手にする。
「クロ…なんか緊張するね!」とクーナさんが言う。お互いの左手薬指に指輪を付け合った。
「クーナさん…俺達、幸せになろう…」
「うん…」
俺達は幸せになる。例え戦争で何人も殺す事になろうとも…。その事により苦しむかも知れない。
それでも…それでも乗り越えていきたい。
いや、乗り越えていく…
そう思いなが指輪をはめ合い、2人で愛を誓った。




