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機動機兵ブレリア「戦場の絆」  作者: キジ白のやまちゃん
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第062話 「凶 弾」

 3機がそれぞれの敵と対峙する。最初に火蓋を切ったのは、ダーイン軍曹対バルム大尉だ。


 ダーインが84mm無反動砲で牽制する。バルムは牽制と分かっていたかのように全く回避行動をせずに突進して来た。


 剣と剣が交差する。鍔迫り合いとなり、2人は一旦距離を取った。


「俺と似たタイプか?よし…」と言った直後、ダーインが無線で提案する。



「バルム大尉だっけ?剣のみで勝負しないか?提案に乗るなら、そちらの支援機を含めて、誰にも邪魔をさせないように徹底してくれ!」


「バルム大尉だ。1対1の剣のみ…邪魔をさせないようにか。アロン中佐!受けたいのですが。」


「よかろう。良い余興にしてくれよ!アスカ、バルムの戦いには手を出すなよ!」


「了解!ってか、発煙弾(スモーク)を前面に落とされて、全く支援できないよ…」



「アロン中佐、ありがとうございます!」


「どうでも良いけど、負けたらカッコ悪いぜ?」とアロンが言うが…


 そりゃあそうだ。敵の提案に乗っかって負けるなんて、確かにカッコ悪い。



「ありがたい!これでアンタに集中できる!」


 ダーインはそう言ってバルムに切り掛かった。




「大丈夫、俺は強くなった!強くなったんだ!」



 ダーインは自分に言い聞かせる。競技会で優勝してからも奢る事なく努力をした。中隊長(クルタナ)とは何度も模擬戦をしてきたし、クロノスにも頼んで模擬戦を繰り返した。


 身近にレベルの高い2人がいたおかげで、以前にも増して強くなったと実感している。



「大丈夫!クロよりも遅い!中隊長(クルタナ)よりも技量は低い!」


 相手の連撃を捌く。なかなか激しい斬り合いとなってきた。側から見ると良い勝負に見えるだろう。しかし、バルム本人は分かっていた。



「コイツ…何故だ?全て躱される…捌ききれん!」


 バルムがそう叫んだ次の瞬間、ダーインが縦に振った剣が黒いABLM(エーブラム)の肩口に入り、剣が垂直に走る。


 ガシャン!と言う大きな音と共に、黒いABLM(エーブラム)の左腕が地面に落ちた。


 バルムの左腕を犠牲にしながら放った剣は、無情にも空を斬る。バルムの左腕を落とした直後、ダーインは冷静に回避行動を取ったのだ。



「あり得ん!貴様ぁ!許さんぞ。」


 バルムが激昂し、フェイントを入れつつ斬りかかる。しかし、全てを見切ったダーインの前に、剣はまたもや空を斬った。


 ダーインが左上から右下へ振った剣は、バルムの剣を弾いて地面に落下させる。


 ダーインは、そのまま時計回りに回転しながら、回る瞬間に蹲み込んで少し低い位置を切りつけた。


 遠心力により勢いをつけたその剣は、凄まじい破壊力となって黒い機体の右膝部分を切断する。


 勢い余りそのまま左足までも切断したダーインは、倒れた黒いABLMを仰向けにして、背中のコックピットの扉から脱出できないようにし、右肩に剣を刺して右腕も切り離した。


 

 その瞬間、3中隊の無線系に歓喜の声が飛び交った。そして、ダーインが勝鬨を上げた。


「勝ったぞ〜!先ずは1機!」



 サイクロプス小隊の全員が驚愕した。撃破されたバルム本人もだ。


「おい…マジかよ…」とアロンは言葉を失った。



「俺も続くぞ!」とボルグが気合いを入れたが、こちらの方は形勢不利であった。


 ボルグが良く捌いていると言って良いだろう。アロンの剣の速度は、中隊長(クルタナ)のそれと見間違うような速さだった。


「ダーインに救援要請するか?いや…クロが撃破するまで耐える!」


 ボルグは自分自身に気合いを入れ、アロンの猛攻に耐えていた。




***********************



 クロノスは、ダッシュで赤いABLM(エーブラム)に向かって行った。しかし、敵が林を利用してチョコマカと逃げるので捕まえられずにいた。



「バルム大尉の戦いを見たかったが…逃げるのも飽きたな。話は後で聞くか。」とティルが気持ちを切り替えて攻撃に移る。


「さてと…楽しませてくれよ!」そう呟き、クロノスに向かって攻撃を開始した。


 クロノスに向けてバズーカを撃つ。しかし、クロノスが剣で斬り払った。


「何だぁ?何でバズーカを剣で捌けるんだ?化け物かよ…」


 バズーカを何発撃っても剣で弾かれるのだ。化け物だと思いもするだろう…


 クロノスの行動とその動きを見て、ティルはアロンに無線を入れる。


「アロン中佐、こっちに化け物がいますよ。楽しむどころじゃないです!」


 剣で斬りかかる。しかし、攻撃をまたもや防がれるのだ。防がれるどころか、防御からすかさず攻撃に転じられて左腕を斬りつけられた。


「ぐぁ!左腕は…まだ動くか…アロン中佐!こっちはもたない!」



「この部隊の直轄小隊は、この前全滅させたぞ?あれより強いなんて訳ないだろ?」とアロンが答える。確かに普通の連隊直轄小隊とは、その部隊のエースを集めた小隊だ。



「何なんだよ…コイツは…」ティルは困惑する。こんな動きを、こんな戦い方をする敵に遭遇するのは初めてなのだ。



「お前は何者だ!何なんだお前は!」


 少しパニックになりながら、ティルが無線で叫んだその時、無線からバルムが撃破された事が告げられた。ダーインが勝鬨を上げたのだ。


「おいおい!バルムが?マジかよ…」


 ティルは、既にクロノスの実力が自分よりも遥かに上だと理解していた。コイツは俺では勝てない…と。


 いや、バルムが撃破された事を聞いて、クロノスだけではない、この小隊全員が特殊なんだと…



「アロン中佐、引きましょう!コイツらは普通じゃない!」



「ちょっと〜!一撃くらい喰らわせようよ!」


 アスカがそう言って射撃した。その凶弾は後方の支援している部隊に向けて放たれたのだった。






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