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機動機兵ブレリア「戦場の絆」  作者: キジ白のやまちゃん
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第060話 「伝説狩り」

 MUC211年11月11日


 朝を迎えた。俺達第3中隊は、出撃準備を完了して待機中である。あとは中隊本部からの出撃命令を待つばかりとなっている。


 まぁ、中隊本部も敵ABLM(エーブラム)小隊発見の連絡待ちなんだが。



 待機中、ブレリアの点検をしていた俺にダーイン軍曹が話しかけてきた。


「綺麗な青だな…どうして青にしたんだ?」


澄海青(コバルトブルー)…ナハス軍曹が好きだった色なんです…」


「そうか…帰ったら、一緒にナハスの墓参りに行こうぜ!」


「はい!生きて帰りましょう!」


「俺もエースになったから、パーソナルカラーにできるんだが…何色にするか迷ってるんだよな…」


「同じ色にしませんか?」


「それじゃパーソナルカラーじゃないだろ?微妙に目立つ感じが良いな。まぁ、悩んでいるのも楽しいけどな。」


「自分の好きな色や奥さんが好きな色で良いんじゃないですか?」


「そうだな…嫁さんに聞いてみるよ!」


 ダーインがそう答えた時、出撃命令が放送された。第一戦部隊が例の敵ABLM(エーブラム)小隊を発見したようだ。


 集合がかかり、解散後にABLM(エーブラム)積載車に乗り込む。


 この車は装甲車になっていて、突撃時には、荷台が羽の様に左右に展開するように作られている。しかし今回は突撃する訳ではないため、近くまで運んでもらってから後方に置いていく。


 

 予定地域に到着し、現地の部隊から情報を収集する。どうやら、前方にいる斥候が発見したようだ。



「よし!作戦通りに行くわよ!ここから隊形を作っていく。第3小隊、前へ!」と中隊長(クーナさん)に言われて配置についた。


 3小隊の右後ろが1小隊、左後ろが2小隊だ。中隊長(クーナさん)も、1小隊と2小隊の間にいる。


「クーナさん、中隊指揮車で指揮すれば良いのに…心配なんだよな…」と、独り言を言ったつもりが、3小隊系の無線のスイッチが入っていた…


「クロ!そう言うなって。彼女も中隊の長なんだしさぁ。」とダーイン軍曹に言われた。


「クロ、こっちの無線は3小隊だけの無線だ。普通に話して良いぞ。」とボルグ中尉が言ってくれた。


「了解しました。中隊系も傍受できるようにした方が良いんですよね。」


「ああ、聞くだけ聞いておけ。邪魔になったら切っても良いぞ。伝えたい事が有ったら俺が伝える。」


ボルグ中尉がそう言うと、中隊長の前進命令が下った。


「第3小隊、前へ!」ボルグ中尉が気合いを入れて命令した。



*********************



 この戦場に、帝国のサイクロプス小隊と呼ばれる1個小隊が来ていた。メンバーは、予想通りの「元六聖剣」が主なメンバーである。


小隊長:アロン・ブルーベル中佐

1番機:ティル・フルンディング少佐

2番機:ニーベル・バルム大尉

3番機:アスカ・ロン少佐


 この4名が、この小隊のパイロット達だ。2番機のバルム大尉だけ、帝国生え抜きのパイロットとなっている。



「アロン中佐、敵は1個ABLM(エーブラム)中隊くらいかしら?」


 アスカ少佐が言うと、フルンディング少佐が


「1個中隊くらい、俺達なら大丈夫だろ?心配なのか?」と煽る。


「ティル!あんた、いつも私の事を馬鹿にして!言っておくけど、私の方が昇任は先なんだからね!」


 アスカ・ロン少佐とティル・フルンディング少佐は同期である。しかし、共和国時代からいつも昇任等はアスカ少佐の方が早かったのだ。


 ティル・フルンディング少佐は、少し劣等感を感じているので、いつもアスカ少佐を弄っているようだった。


「喧嘩は後にしろ!接敵まで3kmか…相手にも気付かれてるな…。しかし、このレーダーの陣形は何のつもりだ?」


「三角形ですね…これじゃ、先頭の小隊を生贄に出してる様なもんです…」バルム大尉が初めて喋った。


「おい!いつも喋らんからビックリしたよ!」とティル少佐が茶化す。


「変な戦法で来そうですが…小隊長、どうします?」と、ティルの発言を無視してバルム大尉が質問した。


「まぁ、いつも通り行こうぜ!アスカ、しっかり援護してくれよ。」


 アロン中佐はそう言うと、何の対策も立てずにそのまま前進した。




**********************




「中隊長、敵も気付いているはずなんですがね…」


 ボルグ中尉は困惑していた。敵が、何らかの行動変更をすると思っていたからだ。


「舐められてるわね。うちら相手に警戒する必要もないって?3中隊の力を見せてやりましょー!」


 と言って、中隊長(クーナさん)が士気を高めようと無線で叫んだ。


「接敵まであと1kmよ。敵のスナイパーに気を付けて。スナイパーの場所を確認した者は、直ぐにデータリンクさせてね!」


「なるべく、俺と敵が1対1になるような状況を作って下さい。1、2小隊の皆さんお願いします。」とクロノスが頼む。


 既に無線の中隊系も無線通話法ではなく、普通の会話と化していた…


「各員、警戒を厳にして!敵は早いからね。1、2小隊は停止し、展開して射撃準備!3小隊、頼んだわよ!」


 中隊長(クーナさん)の命令により、中隊が一斉に行動する。なかなか様になってるな…と思っていると、固まっていた敵が少しだけ展開した。


「クロ、どれからやる?」


「端からやりたいけど…右からやります!ボルグ中尉、ダーイン軍曹は真ん中と左を抑えて下さい。」


「分かった。ダーイン、左に行け!俺が真ん中を抑える。」


「了解!左に展開する!」


「敵が見えてきたぞ!接敵する前に射撃支援を頼む!」ボルグ中尉が中隊長に言うと、待ってましたとばかりに1、2小隊の110mmキャノン砲が火を吹いた。


「1小隊は俺、2小隊はダーインの援護をしてくれ!ラッハはクロの援護と敵スナイパーの牽制を頼む!」ボルグ中尉が各々の役割を言う。


「ラッハ軍曹、敵スナイパーを発見したらデータリンクよ!こちらからも射撃するから!」中隊長もキャノン砲を持って来ていた。


「戦闘開始よ!皆んな!死なないでね!」と中隊長(クルタナ)が叫んだ。




 激しい戦闘は予想できる…


 しかし、これから予想だにしない戦闘が展開されるとは、この時は誰も分からなかった。


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