第006話 「AI(ガイア)、大地に立つ!」
AIの「ガイアとの出会い編」はこれで終了終です。
次からは、高校を卒業後の物語になります。
次の日から、俺宛の通信販売の品々がどんどん届いた。3日目になると、全ての材料が届いたので工作に入った。
それまでガイアはどうしていたかと言うと、PCに繋げたままである(笑)
材料が全て揃うまでの3日間で、ガイアの身体の作成手順などをしっかりと聞き、放課後に設計図と作成プログラムを使って部品を作成した。
学校の機械工作室は、卒業課題作品を作ると言う名目で先生に使用許可をもらっている。
全ての部品も作り終え、あとはベースの「犬型ロボット」を加工して組み立てる。
元々がペット用ロボットであるため、認識カメラやスピーカー、音声認識用の部品も最初から付いている。しかし、ガイアに拘りがあるらしく、カメラやスピーカーは高性能の物に変更させられた。
ベースとなったボディーの加工が大変だった。AIを入れるスペースを作らなければならないし、AIをすぐに取り出せ、尚且つ耐水性を確保しなければならない。
まぁ、設計図通りに作ったら簡単に出来たが…
それと、面白いと思ったのは、後ろ足のモーターは強力な物に変更したが、前足はそのままだった。
いや…むしろ後ろ足より大改造だったのだが、衝撃を吸収するための改造が主であり、モーターは元々の後ろ足用モーターを使用したのだ。
「なるほどなぁ…」と感心しながら作業を進める。
次の日も身体の組み立てをする。
今日は休日なので、作業は自室ではなく学校の工作室を使っている。すると、宿直の先生が来て
「卒業課題を作っているのか?休みの日に感心だな。」
と勘違いしてくれた。
自分の部屋だと工具等が限られているので組み立てに時間がかかるが、工作室なら工具が揃っているのだ。
宿直の先生が帰り際に「作業が終わったら、戸締りと電気をしっかりして、鍵をかけて持ってこいよ〜!」と言って去っていった。
よしっ!今日中に完成させるぞぉ〜!
大改造の前足は昨日までに終わらせた。今日の大改造は、背中から出る「ロボットハンド」のようなものである。
ベースの犬型ロボットの大きさは子犬くらい?であり、全長が40〜45cmくらいかな?その背中をくり抜いて自作のアームを収納出来る様にしなければならない。
少しスペースが厳しいか?とも思ったが、さすがはガイア様の作った設計図。キッチリと収まった。
しかし、このアームは、部品から全て自作したアームで、余った前足用のモーターを使用している。
配線も含めて、全て設計図通りに組み立てた。あとはAIを本体に差し込むだけである。
「さてと…上手く動いてくれるかな?」
早速、部屋に戻ってAIを繋げることにした。
部屋に戻ってPCに向かい話をする。傍らから見ればPCと会話する変人である…しかし、この部屋には俺しかいない(笑)
「ガイア、身体が出来たぞ!一応、設計図通りに作ったつもりだ。今、身体に入れてやるから、PCから外すぞ!」
『了解しました、マスター。』
その答えを聞き、AIをPCから外す。
「ドキドキするな…本当に動いてくれるかな?」
そう思いながら犬型ロボットの腹下のバッテリーカバーを外し、バッテリーも外した。その奥にAIを入れるように作ってあるからだ。
AIを差し込んでバッテリーを取り付けてカバーも付けた。
さて…起動するかな?
電源を入れ起動させると、犬型ロボットが動き出した。
『マスター、ありがとうございます。』
犬型ロボットが喋ったぁ!スゲェ〜!
各部を動かして作動テストをしているようだ。その後
『マスター、視軸を調整して頂けますか?少しズレていて、合わせるのに常に電力を消費している状態です。耳の裏のネジで調整できます。』
いきなりダメ出しを喰らった気分…
AIに言われるまま、視軸調整をした。
「他に調整して欲しい所はないか?」とAIに聞くが
『あとは大丈夫です。ありがとうございます。まだこの身体に慣れていないので、少し動きながら様子を見ます。』
おっ!耳も上手く機能しているようだな。
「ガイア、お願いがあるんだが…」
『何でしょうか?マスター。』
「俺以外の人間がいたら、そいつらの前では少し性能の良い犬型ロボットのフリをしてくれないか?間違っても俺以外と会話をしない事。良いな?」
そう。このロボットは性能が良すぎるのだ。
『了解しました、マスター。それと、私の名前ですが変更可能です。ガイアと言う名前は前のマスターが付けた名前ですので。』
そうは言うけど…今更変更する気もないのだが…
「良いよ、ガイアで。けど、ガイアって男っぽい名前のような気がするんだが…」
『いえ。ガイアとは、この星の人間の先祖が作った神話上の女神の名前です。』
へっ?女神の名前なの?
『声は前のマスターの好みで女性にしてますが、男性の声にも変更可能です。』
そりゃそうだ…コンピュータで作る声だから変更可能だろう。
「良いよ、このままの声で。それと、名前もガイアだ。」
『了解しました、マスター。』
これが俺とガイアの出会いだった。