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機動機兵ブレリア「戦場の絆」  作者: キジ白のやまちゃん
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第059話 「古の伝説」

 MUC211.11.10


 第3機兵連隊の活躍により、第8方面軍は国境付近まで前線を押す事に成功した。


 もう、第3師団は増援任務を解かれるかな?と思っていた所に、不穏な話が舞い込んできた。


 どうやら、たったABLM(エーブラム)1個小隊の敵に翻弄され、第8方面軍の右翼が国境まで前線を押せないとの事。


 そこは、第10方面軍との境界付近であり、どちらが担当するかで混乱したのもあったが、それにしても敵1個小隊が我が軍の1個連隊を相手に互角の戦いをしていると言うのだ…


「ちょっと信じられないな…」とダーイン軍曹が呟く。


 第3機兵連隊に増援依頼が来たらしく、連隊直轄小隊を派遣したが…音信不通となったらしい。


 直轄小隊には、それなりの凄腕パイロットが揃っていたのに…撃破されてしまったのだろうか…。



 隣の第10方面軍も国境付近までは押し切れずにいるので、上層部は今後の方針を計画中である。


 第3機兵連隊は、直轄小隊を潰されたとの思いもあり、第3中隊をこの地域の増援に向かわせるよう意見具申したとの事。


 恐らく、俺達第3小隊と敵の小隊をぶつけたいのだろう。


 こちらとしては良い迷惑である。連隊の面子の為に戦いにいくようなものなのだから…。



「敵の増援小隊はエース部隊ですかね?たった4機で1個連隊を抑えるなんて…」と俺がボルグ中尉に尋ねると


「そんな事は無いだろ。お前なんか、たった1機で1個連隊基幹の敵を壊滅させたじゃないか。」と言われてしまった…確かに、可能性としてはあるか…



 第3機兵連隊は、任務解除となって集結地にもどって予備隊となるようだ。俺達以外は…


 また、最初に構築した防御陣地地域も奪還したので、最初に防御陣地に配置された部隊が、さらに陣地を強化して配置につく事になった。


 弱点も判明したから、そこを中心に強化しているようだ。部隊配置も多少変更し、弱点を補っている。



 俺達第3中隊は…敵エース部隊の駆逐と言う任務を付与された。第8師団、第83歩兵連隊の攻撃担当地域のため、到着後に中隊長(クーナさん)が連隊長の所に挨拶に行った。


 連隊長の話によると、我が軍の増援ABLM(エーブラム)部隊は昨日、全滅したと言う…。


 何とか歩兵連隊と戦車連隊で持ち堪えている状況であり、何とか撃破して前線を押し上げたいらしい。


 戦車連隊も半数は撃破され、壊滅的な状況だと言う。


 情報収集をし、中隊で作戦会議が実施された。


 第3小隊を先頭に、残りの2個小隊は後ろで全員が110mmキャノン砲を装備して射撃支援をする事になった。


「まぁ、相手も4機、大丈夫でしょう。ただし、友軍相撃には十分に注意して下さい。」


 ボルグ中尉はそう言って、次は小隊の作戦会議を行う。


「クロ、先頭を頼む。両脇は俺とダーインで固めて後ろはラッハだ。まぁ、いつもと同じだな…。」


「ボルグ中尉、なるべく俺と敵が1対1になるような状況を作って下さい。敵は手強いと思いますので…」


「あぁ、了解した。他のは俺達が抑えるよ。」



 作戦会議が終わると、会議の場に中隊長(クーナさん)が来た。


「3小隊のみんなに聞いて欲しいの…今回の敵について…」


 何やら真剣な顔である…。


「敵について、何か分かったんですか?」とボルグ中尉が聞いた。


「いえ…私の憶測よ。今回の敵の目撃情報を聞くと、機体色が「赤」「緑」「黒と紫」の3機なの。クロ…見覚えない?」


「まさか…」


 そう、「赤」…それに「黒と紫」の機体は、クラウ大尉の戦闘データに写っていた機体だ。


「元六聖剣の小隊だと言うのか?」


「多分…」と中隊長(クーナさん)が言うと、他の小隊員達は驚いた。


「いや…しかし、中隊長。六聖剣は先の大戦で全員死亡したと聞いてますが?」


「絶対に内緒よ?」と言って、クルタナは先の大戦での出来事を第3小隊の隊員に伝えた。



 六聖剣の第2小隊が帝国に寝返った事。


 その戦闘で六聖剣第1小隊が攻撃され、2名が死亡した事。


 ガイアは、その時の小隊長「クラウ大尉」が使用していたAIで、偶然クロノスが拾った事。


 そして…自分は六聖剣第1小隊の生き残りである事も…


 ダーインは、中隊長(クルタナ)が元六聖剣だとは知っていたが、第2小隊が裏切ったと言うのは知らされていなかった。


 小隊員全員が呆然としていた。習った歴史とは違う事実に驚き、誰も言葉が出ない…


 ボルグ中尉が絞り出すように質問する。


「それが事実だとしたら…中隊長が六聖剣…ちょっと混乱していますが、当時の実力は中隊長と同じくらいだったんですか?」


「いえ…みんな私より上手かったわ。特に小隊長の『アロン・ブルーベル少佐』は…。この人が黒と紫の機体よ。赤い機体が『フルンディング中尉』、緑が『アスカ大尉』の機体ね。多分…」


「中隊長より強いなら、俺が勝てる訳が無いな…そんなに凄いんですか?」


 そこで俺が口を挟む。


「しかし、クラウ大尉は、アロン、フルンディングの2人を抑えてましたよ。」


「クラウ大尉が1番強かったわ。それに、この3人は私が敵わないと絶望する程の実力差は無かったのよ。しかし、クロは違うわ…」


「確かに…クロが負ける所なんて想像できませんね…」とみんなが頷いている…


「そう言う事!ただ、情報提供しておきたかったのよ。自分の部下の命が掛かってるんだもの。」


「しかし、中隊長が六聖剣のカーテナ中尉だったとは…。どうりで俺達が勝てない訳だ…」とラッハ軍曹がため息を吐く。


「あと1人は誰でしょうね…」


「帝国の生え抜きじゃない?もしかしたらテイン中曹が入る予定だったのかな?」


「まぁ、分からない事を考えてもしょうがない。今の情報で、出来る事をやろう!」とボルグ中尉が気合いを入れた。


「敵も力を付けてるだろうけど、私達だって同じよ。3小隊のみんなの実力は、当時の六聖剣を遥かに超えているわ。自信を持って!」と中隊長(クルタナ)が激励した。



「この作戦、カギはクロか…。クロを1対1の状況にしてやって、各個撃破してもらわんとな!」とボルグ中尉が念を推した。



 もう一度作戦を確認してから解散となった。中隊長には、他の小隊にも俺が、1対1になる状況を作り出すサポートをさせるように徹底すると言っていた。


 特に「アスカ」と言う敵スナイパーの牽制をしてもらいたい。




 明日…元六聖剣の第2小隊を相手に戦うのか…


 仮設した天幕にもどり、野外ベットに横になって考えた。


「ガイア!前のマスターの仇を取るぞ!」


『はい。私も出来る限りサポートします。』と、ガイアも気合いが入っている…のか?


 明日の為に少し眠ろう…警戒は第83歩兵連隊がしてくれている。


 明日に備えて…俺は眠る…

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