第049話 「自 慢」
次の日、レイア伍長とABLMの点検をしていた。俺が機体担当で、レイア伍長が火器や武器などの点検だ。
すると昨日と同様、またもや質問攻めにあう…
「ソハヤ軍曹、私を騙したわね!」
何の事かさっぱり分からん…「はい?」と返事をすると…
「アナタの彼女、昨日会ったドヴェルグ大尉らしいじゃないの!」
「そうだよ。俺、違うって言ったっけ?」
「そうじゃなくて、彼女の話になった時、どうして教えてくれなかったのよ。」
「逆に質問するけど、どうしてレイア伍長に教えなきゃならないんだよ?」騙したって理屈が分からん。
「冷たいなぁ。なんか『閉会式告白』って、めちゃくちゃ有名だったよ!」
(同じ女性宿舎の隊員から聞いたのか?確かに有名だよな…)
「なんでソハヤ軍曹にパイロット資格があるのかも聞いた。凄いね!」どんな話を聞いたんだよ…
「おぅ!その調子で、俺以外から色々と聞いてくれ!」
「ドヴェルグ大尉、本当に綺麗な人だったなぁ…年上が好きなんだ?」
「それ、優先順位が違うんじゃない?ただ単に、好きな人が年上だっただけだよ。」
と、話をしていると、噂をすればなんちゃら…クーナさんが工場に来た。
そしてレイア伍長がいきなり質問する。
「ドヴェルグ大尉、ソハヤ軍曹と付き合ってるって本当ですか?」
クーナさんは「へっ?」って顔をしている。
そりゃあ仕事中に、いきなりそんな事を言われたらねぇ…
「ええ、本当よ。」と、ハッキリと言った。こう言うのって…結構嬉しかったりする。
「どうして?」と聞くクーナさんに対し
「いや…年齢も階級もかなり下の人と付き合うなんて、凄いなぁ…と思いまして…。」
「貴女の男性と付き合う基準は、年齢や階級なの?そんなものを見て男性を好きになるの?」クーナさん…鋭い突っ込みだ…
「いえ…そんなんじゃありませんけど…」
「そうよね?それと何が違うのかしら?」
レイアが黙り込んでしまった。
クーナさんが話を変える。
「ソハヤ軍曹、3中隊の点検は、午前中で終わりそう?」
「はい。もうすぐ終わります。あと1台ですから。」
クーナさんは、何故か笑いを堪えている…
「それじゃあ、午後からABLMを積載できそうね。宜しくね!」
「はい、整備が終わったら連絡します。」と俺が言うと、クーナさんは後ろを振り向いて、突然、大笑いし出した…
レイア伍長は、何事が起きたのかと不思議そうである。
「クロが…クロが私に敬語使ってるぅ〜!お腹痛ぁ〜い!」
やっぱり…それで笑ったのか!昨日も笑いそうになってたし…
「クーナさん、何で笑うの!部下の前だからちゃんとしてるのに!」
「だってぇ〜!慣れてないのよ…クロに敬語を使われるのって…」と言ってケラケラ笑っている…
「もう、分かったよ!敬語は使わないから。整備が終わったら、中隊事務室に電話するから。」
「うん。宜しくね!」と言って、笑いながら帰って行った。ガイアも一緒に…。ガイア…何故一緒に行くんだよ…
「本当に彼女なんだね…信じて無かった。」
「えっ?基地では有名だよ。」そう…有名なのだ…
「けど、そんな事ってあるのかな?って…半信半疑だったから…」
「まぁ、珍しいかもね…」
「色々と聞いたら、ドヴェルグ大尉も有名だった。美人で頭が良くて…ABLMに乗せたら、連隊の競技会で優勝するくらい強いって。」
「俺の自慢の彼女なんだ!」
実は、レイアはクロノスの事も色々と聞いていた。興味が湧いたからだ。
整備の腕が凄いと言う噂、そして、ABLMに乗せたら鬼神の如く強くて、連隊でも勝てる人はいない。あのドヴェルグ大尉でさえも、と。
出発まで、あと4日。準備を万全にし、出発にそなえる。
次から、戦闘配備地域に出発します。
けど、防御準備とかで、あまり動きは無いです…
今、物語は9月中旬ですが、12月初旬にならないと物語が大きく動きません…




