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機動機兵ブレリア「戦場の絆」  作者: キジ白のやまちゃん
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第047話 「覚醒せし者」

 途中まで書いて置いておくと消えるなぁ…

 前よりは良くなったけど…途中でセーブできれば良いのになぁ…。

 ダーイン軍曹は、開始のブザーを待つ間に色々な事を走馬灯の様に思い浮べていた。



 ラッハが3中隊に配属になってパイロットになった時、俺はラッハの才能に嫉妬していた…


 何故だ…何故俺にはこんなにも才能が無いんだ?世の中は、生まれながらにして不公平だ…とすら思っていた。


 最初はラッハを毛嫌いしていた。自分とラッハを比べると惨めになったからだ。


 ラッハが第3小隊に来た時も、特に仲良くしようとは思わなかった。あいつの才能に憎しみすらあったからだ。



「しかし…何故か俺になつきやがって…」



 あいつの方がABLM(エーブラム)の操縦は上手いのに、何故か俺にアドバイスを求める。


「もう、お前の方が上だろ?なんで俺に聞くんだ?」と言うと、決まってラッハは言った。



「俺なんか、まだダーイン軍曹には敵いませんよ。大切なのは操縦技術ではありません。小隊全体を見ての立ち回りを覚えたいんです。味方を守るためにも。」と…



 自分が小さい人間に思えた。後輩のラッハに教えられた。


 仲良くなるにつれ、ラッハは才能だけで上手くなったのでは無い事に気付いた。


 遅くまで訓練し、普段から努力している。影で努力をしている姿を目の当たりにし、自分も負けられないと努力した。


 本当に自分が嫌になった。例えるなら、自分は勉強しなかったくせに、凄く努力してテストで100点をとった奴に文句を言っている様なものだ。



 自分はやれるだけやったのか?まだ努力できたんじゃ無いか?当時は、そう自分に問い掛ける事ができなかった。


 最近は、努力してもラッハとの差が開いて行く事を実感し焦っていた。焦れば焦るほど上手くいかない。



 そんな時に中隊長(クルタナ)が着任した。


 舐めてたよ。最初は…。


 元研究員だと聞いていたからな。偉くなる前の腰掛けポストだろ?って思っていたよ。


 模擬戦をやってビックリしたなぁ。ラッハどころか、3小隊全員を相手にしても歯が立たなかったからな…


 中隊長(クルタナ)との模擬戦が終わった後、ラッハが悔し涙を流して言ってたなぁ…


「俺は…俺は弱い…もっと強くなりたい…」って…


 とんでもない化け物が居たもんだ…ラッハの才能が霞んで見えるほどの化け物…しかし、それを超えるモンスターに会っちまった。


 中隊の競技会で見た時、コイツは人間なのか?と疑ったくらいだ。


 しかも、そいつは整備兵でありパイロットですらなかった。


 この2ヵ月、2人に色々と教えてもらい、俺はかなり成長した。今ではあれ程差があると思っていたラッハにも引けは取らないと自負している。



 中隊長(クルタナ)やクロノスに出会えて良かった。この、優しき化け物達に…


「ありがとう…」




 競技開始のブザーが鳴る。


 気分はリラックスしている。しかし、ものすごく集中できていると感じる。


 競技を進めるにつれ、だんだんと違和感を感る様になってきた。


 音が聞こえない…いや、必要な情報は聞こえている。雑音が聞こえない…


 感覚がおかしい…心の時間軸がズレている。心と身体がズレている様な…いや、逆か?一体化し過ぎているのか?


 時の流れが緩やかに思える。現実世界に居ない様な感覚だ…何だ?これは…


 無意識にターゲットを撃破している。自然に体が動いているような感じで、全く実感が無い。競技をやっている実感がないのだ。



 自分では集中できていない様な感覚。初めての体験だ…他の事など一切考えず、ただただターゲットを無意識に撃破している…



 競技が終わった…


 多分ダメだろう。やらかしちまったな…


 途中から訳が分からなくなり、集中できていたかどうかすらも自覚がない。



「さぁ、競技は終わったな…最後は残念だっが仕方がないか…」と独り言を言い、待機位置へ帰る。


 気分は不完全燃焼だ。やり切ったとの思いがない。



 計測係が結果を放送する。


「第3中隊、ダーイン軍曹の記録…」


 訳も分からずに終わったタイムはどのくらいだ?と思い確認する。



「記録、1分11秒21でトップタイム更新です!」



 会場が歓喜に包まれた…



「えっ?何で?」俺は、頭の中が???となった。何故タイムが良かったのか。実感がないし理屈が分からんのだ。これは…喜んで良いのか?



 待機位置に付き、皆んなからの祝福を受ける。


 クロとハイタッチし、中隊長(クルタナ)と握手を交わすと俺は中隊長に一言


「中隊長の練習の時の記録は切れませんでした。俺もまだまだですね。」と言った。中隊長(クルタナ)


「優勝は貴方よ。自信を持ちなさい。さぁ、顔を上げて!」と言ってくれた。



 ラッハが近づいて来て一言「今回はやられましたよ!やはりダーインさんには敵わないなぁ…」


「ありがとう!お前と言うライバルがいたお陰だよ!」


 無意識に言ったが、この時初めて自覚した。ラッハが好敵手(ライバル)だったんだ、と…



 

 競技会の結果は、第3中隊が1位から3位を独占する形となった。


 リジル中尉も目立たなかったが、きちんと上位に入っている。




 競技会結果


◯格闘訓練装置の部

1位 1分11秒21 ダーイン軍曹(第3中隊)

2位 1分16秒30 ラッハ軍曹(第3中隊)

3位 1分26秒51 ボルグ中尉(第3中隊)



◯小隊用訓練装置の部

1位 18分38秒 ダーイン軍曹(第3中隊)

2位 16分46秒 ラッハ軍曹(第3中隊)

3位 12分52秒 ボルグ中尉(第3中隊)



 競技会が終わった。本当に優勝できたのだ…(セルリ)に携帯電話で優勝報告をした。


「今日はご馳走を用意して待ってるわ!」と言って喜んでくれた。



 クロと中隊長(クルタナ)が、慌ただしく走っていく…何だ?と思ったら、最後に競技会の訓練展示をさせられるから準備をしに行ったらしい。


「放送します。只今から、第3中隊長ドヴェルグ大尉と、2大隊本管中隊ソハヤ軍曹による訓練展示を行います。パイロットは、全員小隊用訓練装置の位置にお集まり下さい。繰り返します…」



「小隊用訓練装置まで行くか…」と、ラッハ、ボルグ中尉と共に向かう。


 大勢のギャラリーの中、中隊長(クルタナ)が準備してをしていた。


「小隊長、何でこんな事になったんです?」と聞くとボルグ中尉は


「何でも、中隊長とクロは明日から各中隊に教官として教えに行くらしい。それで、教官達の実力を見せてつけて、皆んなを納得させるためらしいぞ?」


「へぇ〜、教官か…」と言うと、ボルグ中尉が


「お前もだよ!この競技会の優勝者もだ。」


 えっ?そうなの?




 中隊長の訓練展示が始まった。


「やっぱり…中隊長は凄いですね…」とラッハが言った。もう、残り1分間も無い。


 激しい攻撃を余裕で避けまくり、当たる気配すら感じないのだ。


 あっさり20分間をクリアした。


 凄いな…選手は誰もクリアしてないのにな…




「引き続き、格闘訓練装置に於いてソハヤ軍曹の訓練展示を実施しますので、パイロットは全員移動をお願いします。繰り返します…」と放送が鳴る。





 次はクロの番か…


「さぁ!俺達の先生の実力を見てやろうぜ。」とボルグ中尉は笑いながら言う。



 確かに先生だな…色々と教えてもらった。


 

 クロノスの訓練展示が始まると…いや、終わってからも静かだった…静まり返っていた。言葉にならないのだ。


 凄すぎて言葉にならない…。



「只今のソハヤ軍曹の記録。56秒32です。」




 ラッハが呆れ顔で言う。

「競技会2位の俺より20秒も早いんですが…」


「おい…俺の優勝が霞んでないか?」


「これを…これを見せられたらなぁ…」とボルグが言ったあと、しばらく3人は沈黙した…

 


 しかし、俺は前向きに生きると決めた!


「俺達もまだまだ伸びますよ!頂点はあそこに在るんです。目指して歩くしかないですよ!」


「そうだな…」と、ボルグ中尉が頷き、ラッハも顔を上げた。





 俺達はまだ成長出来る!そう確信し、努力していくと3人で誓った。

 連隊競技会編は全て終了です。次からは新展開?かな?

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