第041話 「虚偽と怒り」(クルタナvsアレス軍曹)
執筆終了しました。けど、なんかすっかりしないような…
いよいよだ…クーナさんとアレス軍曹の戦いが始まる。
まぁ、心配はしていない。実力ではクーナさんの方が何枚も上だからだ。
開始ブザーが鳴り、試合が始まる。
「3中隊長、噂通り強いんですかい?何か整備兵に負けたらしいじゃないですか。ガッハッハ〜!」
「まぁ、下品な笑い方ね…知性が感じられないわ。その件は、この試合には関係ない話よね?まぁ、宜しくね!アロス…アラン…あれっ?名前…なんだっけ?」
「アレスだ!この名前、2度と忘れられなくしてやる!」
「この試合、射撃無しの剣のみでの勝負で良いのよね?」
「ああ!了解した!剣で切り刻んでいたぶってやるぜ!」
2人が中央の広場に前進して行く。
「最初の1分は私から攻撃しないから。好きなだけ斬り込んでね!」って…クーナさん、相手を舐め過ぎじゃないの?
「舐めやがって…後悔するなよ!」と言って防御のみのクーナさんに攻撃を入れようとする。
「何か、反応が遅過ぎてやりにくいわね…もう少し速く剣を振れないの?遅過ぎ!これでよく、あんなデカい口叩けたよね?」と言って、攻撃を全て防ぐ。
「これなら、ウチのリジル中尉の方が強いわね…」
「中隊長…さりげなく俺をアピールしてくれるとは…感激ですっ!」とリジル中尉が喜んでる…
「1分経ったし、攻撃するわね!」と言って攻撃を開始する。
一太刀目で外側から斬りつけて、素早く内側から剣を叩いて弾き飛ばす。
「拾いなさい。待っててあげるから。」
「バカにしやがって!」と言って剣を拾って斬りかかる。
勝負にならない。大人と子供くらいの実力差がある。
クルタナが全ての攻撃を防ぐと、アレスが左腕を正面に向けた。
「これでも喰らえ!」
アレスは左腕の84mm無反動砲を比較的近距離から発射したのだ。
しかし、これを予期したかのように、クルタナは機体を回転させて避けた。
と言うか予期していたのだ。この男は信用ならないと。銃口の向きを絶えず確認し、ロックオン警告が鳴ったならば回避行動を取れるように準備していた。
「あらぁ〜。約束を破って負けるって、めちゃくちゃカッコ悪いわよね!」
そう言うと、一太刀目をワザと剣で受けさせ、返す刀で右脚を斬りつける。そのまま更に左腕を斬ると、アレス軍曹の正面に立った。
この攻撃…俺がクーナさんに使った技だよな?
「まだだ…まだ終わらん!」とアレスは言うが…実力差があり過ぎるな…
「良い事を教えましょうか?あんたがバカにしてた整備兵のソハヤ軍曹にね…私、手加減されたのに負けたのよ。彼、化け物でしょ?」
クーナさん、俺の為に怒ってくれてるのか…
「左腕が上がらなくなったから、もう無反動砲が使えないね。負けを認める?」と言って、アレス軍曹の剣を弾き飛ばし、今度は左足を斬る。
「参りましたって言ったら?負けを認めない男は成長しないよ?」
両膝を着いた状態のアレス軍曹の右腕を斬った。もう、手足は全て破壊判定を受けて停止をしている。
「まだ降参しないの?なんか、私をいたぶるとか偉そうな事を言ってたけど…身の程知らずよね。」と言って蹴り倒した。
「あぁーあ。つまんないから終わりにするね。お疲れ様!」と言ってとどめを刺した。
撃破判定を受け、クルタナの勝利宣言が聞こえる。
(クーナさん、俺の為に怒ってくれてたのか…しかし、怒ればとことんやるタイプだな…気をつけよう…)
俺は格納庫に行き、クーナさんが帰って来るのを待つ。
クルタナのABLMが倉庫に入り、コックピットから降りて来た。
「クーちゃん、ダメだぞ!対戦相手がどんな奴でも少しは敬わなきゃ。恨みを持つ人だっているかもしれないんだから。」
「だってぇ…クロがバカにされたから頭に来てたんだもん。ごめんなさい…」
「分かってる。俺の為に怒ってくれてありがとう。決勝戦も頑張ってね!」
「うん。頑張るよ!」とクルタナは笑顔で言った。
しかし…あれだけデカい口を叩いて、これだけコテンパンにやられたら、もう、立ち直れないよな…
次の準決勝はダーイン軍曹が危なげなく勝った。これで、決勝戦は3中隊対決となったのだ。
決勝戦は良い勝負だった。ダーイン軍曹は、かなり強くなっていた!
この試合も、2人の提案で剣のみでの勝負になったのだが、お互い決め手のないまま延長戦に突入した。
今競技会初の延長戦である。
延長戦で集中力がきれたのか、ダーイン軍曹がミスをし、右脚に破壊判定を受けた。これが決め手となって、クーナさんが優勝した。
俺が教えた防御を、2人とも殆どできていた。しかし、これを攻撃に応用する技術が、クーナさんの方が少し上だった感じだ。
かつて六聖剣と言われたクーナさんと、あそこまで戦う事ができるって、正直凄いと思った。
因みに、決勝戦前に3位決定戦が行われたが…クーナさんにこっ酷くやられた影響か?精彩を欠いたアレス軍曹が、あっさりとモントーヤ中曹に負けていた。
競技会は、こうして3中隊の完全優勝で幕を閉じた…のだが、まだ俺にはやる事があった…
そう…次の技術競技会の実施要領の展示である…
例によって呼び出され、俺は小隊用訓練装置の前に立っている…
競技会運営幹部が、集まった隊員達に競技要領を説明している。ただ避けるだけだってば!
「えぇ〜、競技会本番では、難易度設定は『低』か『中』のどちらかで検討しています。しかし、今日の展示については、設定『高』でやってもらいます。」
はぁ?設定『高』だと?勘弁してくれよ!
「それでは開始します!」
開始します!じゃねぇよ!大変なんだぞ!
と思っていたが、この前やった時よりも余裕がある感じだ。やはり、一度経験しているからかな?
20分は長いなぁ…と思いながら避けまくった。
アレス軍曹が、小隊用訓練装置の展示を見学している。クルタナがアレスの横に来て話しかけた。
「さっきはごめんね。やりすぎたって反省してる。」
「あぁ、あんたか…。それだけ実力差が有ったって事さ。ダーインも成長して凄く強くなってた。井の中の蛙は俺の方だったよ。」
「どう?彼…凄いでしょ?」
「えぇ。俺なら3分も持たないな…本当に凄い奴だったんですね。」
「試合中のあの話、本当ですか?手加減されたのに負けたって言うの…」
「本当よ。彼、全然本気を出してなかった。私に遠慮していたのよ。最後に本気を出してくれたけど、それで一瞬で負けたわ…操縦技術は化け物よ。多分、勝てる人はいない。」
「あんたにもコテンパンにやられたのに、更にその上がいるとはねぇ…信じられないけど、今、見ちゃってますからね。信じられない光景を。」
「ええ。本当に信じられない…。まぁ、また戦う事が有ったらお手柔らかにね!」
「それはこっちの台詞ですよ。」
その言葉を聞き、クルタナは手を振ってその場を去った。丁度、クロノスの展示が終わった時間だった。
展示が終わり、会場は驚きと歓喜に溢れていた。
「皆さんに見て貰った通り、難易度『高』でも20分間をクリアできる人間がいます。無理だと思わずに訓練してください。」と締め括っていた。
ABLMから降りると、クーナさんが待ってくれていた。
「相変わらず凄いね!クロは。」
「コツさえ掴めば、クーちゃんだってできるさ!」
「そかな?」
「うん、絶対できるって。才能あるもん!」
ハハハッと笑っている2人…
アレスは、そんな2人のやり取りを遠目に見ながら、自分の進退を考えていた…
悩んだ…悩んだんです…
試合終了後にアレスがクルタナに殴りかかってクロと喧嘩になる展開と、そのまま競技展示で操縦技術を見せる展開…
けど、生身の戦闘描写は書きたくなかったから後者にしました…って、書いたけど消しました。一瞬掲載したけど…
だって、2人とも憲兵にしょっ引かれるんですもん…




