第034話 「疑惑と葛藤」
会話シーンが多いけど、表現するのが難しいです…
第34話、終わりました!
あっ!タイトルを『ブレリアの騎士「戦場の絆」』と変更しました。ブレリアって何?と思うでしょうが、後から物語に出てきますので、しばし待たれよ!
いや…かなり後になるかも知れません…
俺は、ナハス軍曹と3中隊長室へ向かっている。
「ナハス軍曹、今日、ダーイン軍曹と会ったんですか?」
「あぁ。話があるって呼び出されたんだ。さっきの件でな。」
「ダーイン軍曹とは仲が良いんですか?」
「仲が良いも何も、俺の嫁さん、ダーイン軍曹の妹なんだよ。まぁ、大っぴらにはしていないけどな。」
「ヘェ〜!紹介してもらったんですか?」
「いや、基地の一般公開の日に、一般客として見学しに来ていたんだ。それで知り合ってな。」
「えっ?それじゃあ、最初はダーイン軍曹の妹だってぇ知らなかったんですか?」
「知らなかったよ。だから、初めて彼女の家に遊びに行ったら、ダーイン軍曹が居てビックリしたよ!」
「衝撃的ですね…」
「まぁ、基地の一般公開に来てるって事は、何かしらの基地の関係者だとは思っていたけど、隣の中隊にお兄さんがいるとはね…」と言った後に続けて
「これ、あまり広めないでくれよ?知っているのは中隊長と人事担当者くらいなんだからな。」
そんな会話をしながら歩き、第3中隊長室前まで来た。
ナハス軍曹がノックをし、2人で中隊長室へ入る。
「敬礼は省略よ。さぁ、座って!」
入室後、クーナさんに言われてソファーに座る。ダーイン軍曹も部屋におり、「よぉ!」と挨拶してくれた。
クーナさんが司会?の様な感じで話を進める。
「で?ダーイン軍曹からの質問事項を伝えてもらえる?」
「はい。俺のAIにクロの決勝、準決勝の戦闘記録がありませんでした。何故、記録が残って無いのかが不思議なのです。AIの証跡を確認しても、PCに接続した形跡はありません。そこで、クロが誰のAIを使用したのかを確認したいのです。」
続けてナハス軍曹も言う。
「クロに確認したら、その時はダーイン軍曹のAIを使ったって言っています。しかし、それはあり得ない事です。」
「2人は何でそんな事を知りたいの?別に誰のを使ったって良いんじゃ無い?」とクーナが言った。
「あっ!俺は別に知りたくないです。ただ、俺に嘘を吐いているのは気になります…弟の様に思ってたので…」とナハスが寂し気に言った後、ダーインは
「俺は、クロの戦闘記録を確認したいだけです。自分のレベルアップのためにも。」
「2人とも、特に使用したAIについては気にしていないみたいね。では、ダーイン軍曹については、競技会までの間、クロから訓練を受けたら?戦闘記録を見るよりも効果があると思うけど?私がクロの予定を調整しておくわ。」
「いや…けど、何故なのか?と理解できていないので、気にならないと言えば嘘になります…」と2人が言う…そうだよな…
ガイアのためとは言え、俺は2人に嘘を吐いている。それは俺の心もスッキリしない。
「だってさ!クロ、どうする?」とクーナさんに聞かれ、俺は決断した。この2人には真実を言おう…
しかし、クーナさんが六聖剣の1人だってのは秘密だよな?
「分かりました…全てをお話しします。しかし、場所がここでは…今度の土曜日、お二人は時間ありますか?」
「あぁ、休みだぜ!予定も無い。」
「義兄さん、無いことは無いだろ!義兄さんの家で、昼からバーベキューやるって約束したでしょうが!」と、慌ててナハスが言う。
クーナさんが不思議そうに「兄さん?」と聞いた。
「あっ!俺達の秘密ですが、コイツの嫁さんが、俺の妹なんですよ。なので、俺は義兄になります。」
「へぇ〜!そうなの?私もバーベキューに参加したーい!」とクーナが無邪気な顔で言っている…
俺が(この状況で…なに我儘を言っているんだ、この人は…)と思っていると…
「おっ!良いですね!クロも来いよ!そこで話を聞かせてくれ。詳細はナハスに言っておくからさ。」
なぜ、大事な秘密をバーベキューの時にバラさなきゃならんのだ…
「クロ、良いな?飲み物は自分で買ってきてくれよ!俺も嫁さんと子供を連れて行くから、ガイアも連れてきてくれよ。子守させるからさ!」って、ナハス軍曹もノリノリだ…
「中隊長とクロも付き合っている事だし、ここは家族どうしでのお付き合いと言う事で…」
ダーイン軍曹…最初と趣旨が変わってない?
「やった〜!クロ、午前中は先週行ったショッピングモールで買い物しようよ!確か、ダーイン軍曹の家って、あの近くだったよね?」
「そっちより、2人で散歩してた公園の方が近いです。公園の北口まできたら連絡下さい。迎えに出ますんで。」
「えっ?散歩してる所、見られてたの?恥ずかしい〜!」
「バッチリ見ちゃいましたよ!あの時も恋人同士にしか見えなかったけど、本当に付き合う事になるとはねぇ…」
俺の意思とは無関係に、話がどんどん進んでいくのだった…
「分かりました…いぇ…よく分からないけど分かりました…」俺は話の方向が分からなくなってきた…
「クロ、良いじゃないの。この2人も秘密を暴露してくれたんだし。私達も秘密を暴露しちゃおうよ!」
「けど…これ、公になれば、それこそ軍法会議ものですよ…それを…」
「えっ?そんなに大変な事なのか?」と、ダーイン軍曹とナハス軍曹は驚いた顔をした。
「大丈夫。そうなったら、知っているのはここに居る4人だけよ。誰が通報したのか直ぐに分かるわよ。」
「そんなに大事な話だとは…バーベキューの前に、一席設けます。別室で4人で話をしましょう。」
とダーインが真剣な顔で申し出た。
「その方が良いわね。酔っちゃったら覚えてないと思うしね!」クーナさんは相変わらず能天気だ…
「分かりました。まぁ、その後はみんなで楽しくやりましょう!」とダーイン軍曹が言って話を終えた。
整備工場に帰るまでの間、ナハス軍曹に謝罪した。
「すみませんでした。嘘を吐いてしまって…」
「良いんだよ。そんなに大変な秘密だったら、俺でも嘘を吐くさ。」と言ってくれた。
「本当は、ナハス軍曹にだけは秘密を言おうと思っていたんです。まさかダーイン軍曹にまで知られる羽目になるとは…」
「ダーイン軍曹は口が固いから大丈夫だよ。しかし、何で俺だけに?」
「俺…ナハス軍曹の事を本当に兄の様だと思っていたからです。それで、クーナさんにも相談しようと思っていた矢先だったんです。」
「そうか…嬉しいねぇ。しかし、この件は最初から3中隊長も関係者だったって訳だ…」
「はい…この前、俺が時間をもらって3中隊長室に行ったのも、この件と関係があります。」
「まぁ、それも含めて、今度の土曜日に話してくれよ!さぁ、仕事にもどろうぜ!」
工場に着き、レート班長に帰りの報告を済ませ、俺達は仕事に戻った…




