第028話 「覚 醒」(vsダーイン戦)
だいたい2000〜4000文字が読みやすいんでしょうか?
ノートに書いて行くのが間に合わないため、骨子だけノートに書き、掲載する方法を試しています。
うぅーん…これは3600字だけど長い様に感じる…
あっ!執筆が終わりました!
昼食は、ゲストとして3中隊長と食べる予定だったが、俺はそれを断った。
早々と昼食を済ませて試合の準備をしたかったからだ。
昼食を食べ、ABLMのコックピットに座る。ガイアをセットして1戦目の解析結果を教えてもらう。
『マスター、レーダーの範囲は半径50mです。バトルフィールドは1辺が130mですので、中央付近に位置すれば四隅以外はほぼカバーできるようになります。』
「そうか。中央付近で戦えば敵の位置がレーダーで分かるな…」
『しかし、問題があります。』と言って、バトルフィールドのマップをスクリーンに出した。
『中央付近は障害物がありません。射撃に特化した敵ならば、恐らく中央に近づく事も出来ないでしょう。』
「テイン中曹みたいな人が敵なら無理か…中央からフィールドの端までは65mだから、端っこに位置取られたらレーダーにも映らんしな…」
少し考えこむクロノス。
「けど、見た感じだと射撃戦が有利になるような武装でもないよな?」
『はい。アサルトライフルでは、関節部分や装甲の薄い場所以外は貫けません。特に正面の装甲は無理でしょう。連射によりダメージを与えて怯んだ所を格闘で切る形が理想だと思われます。』
「けど、アサルトライフルを右手に持ってるんだぜ?剣は使えないよな?」
『アサルトライフルに装着している銃剣を使用するか、ライフルの中央をそのまま左手だけで持ち、右手で剣を使用します。』
「ふむふむ…なるほどね。確かクーナさんがやってたよな…。けど、アサルトライフルは使ったことが無いから、俺は使わない事にするよ。」
『レーダーに映るくらいの近距離戦になったら、84mm無反動砲を使用するのが効果的かと思います。』
「そうだなぁ…さっきも一撃で右脚を破壊判定にされたもんな…けど、当てる自信がないよ。」
『私がサポートします。射撃をしたい時に、左手の制御を私に預けて下さい。ロックオンしたならば、マスターがトリガーを引いて下さい。』
「ガイアが撃ってはダメなのか?」
『私達AIには、攻撃権は有りません。』
「あっ、そうなの?俺が許しても?」
『はい。私達AIは、人を殺しても責任は取れませんので。他のAIと違いある程度自由な権限を設定されている私でも、それはできないようにプログラムされています。』
(やっぱり…ガイアは他のAIとは違うのか…)
「そうだ!こういうのはどうだ?」
…と、ガイアと打ち合わせをして、昼休みを過ごした。
いよいよ午後の試合が始まる。
相手は強敵!第3小隊の1人、ダーイン軍曹だ。
入場ゲートから競技開始位置まで移動する。この移動間がドキドキするんだよな…
ダーイン軍曹は近距離タイプだと自分で言っていた。テイン中曹みたいに距離をとってくる事はないだろう。
開始位置に到着し、開始の合図を待つ。
『ブ〜〜〜!』
競技開始のブザーが鳴った。さぁ!ダーイン軍曹はどう攻撃してくるんだ?
と思っていると、ダーイン軍曹をあっさりレーダーで捕捉した。中央付近で止まっているようだ。
「どういう事だ?」
『マスター、罠かもしれません。慎重に行動して下さい。』と言うガイアの心配をよそに、中央から動かないダーイン軍曹の方へ向かう。
障害物の陰から見たが、アサルトライフルを壁に立てかけ、剣を杖のようにして立ち尽くしている。
ダーイン軍曹は、俺が見ているのを確認すると無反動砲の弾倉まで排出して地面に落とした。
「これは…剣のみでココで戦えって事か?」
対戦者同士の無線通話はできない事になっているため、真意は聞く事が出来ない。しかし
「ダーイン軍曹、男らしいじゃないの!」
と言って、俺も無反動砲の弾倉を排出し、中央広場に剣を持って堂々と歩いて行った。
ダーイン軍曹も中央まで歩いて来る。
中央で睨み合う2人…
「開始の合図が欲しいか…」そう思い、装備してきた短剣を上に投げた。
短剣が地面に落ち、『ガシャン!』と音が鳴る。それを合図に、俺達は相手に切り掛かった。
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ダーイン軍曹は、試合開始後に中央広場までダッシュした。クロノスとは、剣のみで勝負しようと決めていたからだ。
「さて…ソハヤ軍曹に俺の気持ちは伝わるかな?」
アサルトライフルは持ってくる必要は無かった。しかし、クロノスに『俺に射撃の意思はない』と言う事を示すため、敢えて持ってきたのだ。
中央に到着し、アサルトライフルを目立つ壁に立てかける。
剣を取り出してクロノスを待った。
「アイツ、射撃をした事ないんだろ?格闘だけで相手してやるよ!」
そう言ったが、ダーイン軍曹には不安もあった。昨日の競技「格闘訓練装置の部」のクロノスの動きを見たからだ。
「ありゃ凄かったなぁ…あの化け物に、俺がどこまで通用するか…。まぁ、格闘の方も対人戦は初めてだろうから、勝機はあるよな。」
レーダーにクロノスの機体の反応がある。
「そんなに警戒すんなよ。さぁ、ここまで来な!」
そう独り言を言うと、剣の切っ先を下にして地面に刺し、杖のようにして待った。
「しかし…この状況を見て気付いてくれるかな?いきなり84mmを撃たれたら負けるぞ…」
そう思い、ダーインは少し警戒した。
クロノスがこちらの様子を伺っているのを確認すると、84mm無反動砲の弾倉を排出して見せた。
「これで伝わるか?」
そう思っていると、隠れていたクロノスが堂々と姿を現し、同じ様に84mm無反動砲の弾倉を排出しなら歩いてきた。
「ふぅ〜!伝わったか。さぁ!やろうか。」
クロノスが短剣を上に投げた。それを見て
「それが開始の合図かい?気が利くねぇ〜!」
と言って剣を構える。短剣が地面に落ちて音をあげると同時に切り掛かった!
「さぁ、ソハヤ軍曹、斬り合いしようぜ!」
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ダーイン軍曹の斬り込みは速い。流石は昨日の格闘訓練装置の部で3位を取っただけの事はある。
「速いな…しかし、対応出来ない速度ではない!」
クロノスはそう言うと、ダーイン軍曹の剣を受け流す。
「ちょ…ちょっと!速度が上がったぞ!これ、両刃の剣の方が不利じゃね?」
そう。ダーイン軍曹は片刃の剣を使っているが、クロノスは両刃だ。重さは両刃の方が重いのだ。
「片手では対応できないな…」そう思い、両手持ちにした。
フェイントを掛けて右側から打ち込んだが、中型シールドで防がれた。
「あのシールド、厄介だな。右からの攻撃はシールドで弾かれるか…」
剣と剣が激しくぶつかる。
剣を交えて3分が経過した頃、クロノスに変化が起きる。
「あれっ?何か…剣の軌道が分かる様になってきたぞ?」
今迄は防御も全力でやっていたのだが、今では余裕が出てきたのだ。
ダーインが斬り込む瞬間のABLMの各関節の動き、腕や手首の向き、脚や腰の初動などを見て、剣の軌道を判断出来る様になってきたのだ。
ダーインの剣を綺麗に受け流す。今は防御が楽しくなってきた。全部躱せるのだ。
「攻撃が見える…俺、楽しんでるのか?どうしちゃったんだろう…」
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時間が経つにつれ、クロノスに完全に剣を防がれるようになり、ダーインは焦った。
「おいおい!冗談だろ?さっき迄は当たりそうだったんだがな…」
そう、今では剣がカスる気配すら無くなってしまったのだ。
クロノスはどう攻撃しようか悩んでいた。
「狙うなら足かな?右側から斬ってもシールドで防がれるし…右側から斬るなら足を狙うしかないな。」
と考えたが、考えとは違う行動をとった。
後ろに下がって間をとり、テインを撃破した技を試したのだ。
クロノスがバックステップをした瞬間、ダーインは警戒し「何か仕掛けてくるな?」と呟く。
クロノスが踏み込みながらバックブローの様な形で時計周りに回転し、剣を振る。
剣で斬った感触は有った。
しかし、それはシールドであった。ダーインがシールドで防いだのだ。
「やったか?」と思いながら、クロノスは体勢を整えながらバックステップをする。
ダーインが「甘いわっ!」と叫ぶ。
クロノスが着地した瞬間、左側に衝撃を受けた。左腕を斬られたのである。ガイアが告げる。
『左腕、肘から先が機能停止しました。』
「あぁぁぁ〜!迂闊だったぁ〜!ダーイン軍曹もこの技は見てるんだよな…」とクロノスが後悔した。
「もらった!」ダーインはそう叫び、何度もクロノスに切り掛かった。
しかし、クロノスは右手だけでダーインの猛攻を凌いで見せた。
「この、化け物め…」ダーインが呟く。
対峙する2人…次の瞬間、勝負は決まった。
クロノスがダーインの左側を斬りにいく。
シールドで防いダーインだったが、クロノスが視界から消えたのだ。
クロノスは、剣を弾かれた反動を使い、しゃがみ込んで時計周りに回転した。
クロノスの剣かダーインの右脚を斬る!
斬られた勢いで転倒したダーインをクロノスが制する形となったのだ。
ダーインが敗北を宣言し、勝負が決まった。




