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機動機兵ブレリア「戦場の絆」  作者: キジ白のやまちゃん
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第026話 「初めての対人戦(vsテイン戦)

第26話を書き上げました。  


やっとロボットバトルです。長かった…

 スタート位置に到着し、開始の合図を待つ。


 ロープが張られた正方形のバトルエリアは、1辺が130mとの事。あまり広くは感じないが…捕まえれるか?


 テイン中曹を相手に、離れて戦えば分が悪いのは明らかだ。どうやって近づくか…


 と考えているうちに『ブ〜〜〜』とブザーが鳴った。開始の合図だ。


「あれこれ悩んでも仕方がない。当たって砕けろだ!」


 と言って飛び出した。


「テイン中曹は右か?左へ行ったのか?」


 分からん…


 ルールで、レーダーは索敵距離を50mに制限されているため、テイン中曹がレーダーに映らないから全く分からん!


「ガイア、カメラをIRS(熱源感知)に切り替えててくれ!」


『了解しました。』


 正面のモニターをIRSに切り替えてテイン中曹を探す。


「いた!あの方向か。ガイア、IRSを切れ!」


『了解。モニターに敵の方向を表示します。』


 モニターに表示された方向にダッシュで行ったが、テイン中曹が居ない。


「この土煙の感じだと、左に行ったな…?」


 障害物を利用して、予測したテイン中曹の居場所に近づく…いや、近づいているつもりだった。


 

 突然、発砲音とほぼ同時に『ガンガンガン!』と言う衝撃を、連続3回受けてヨロけた。


『左カメラ損傷判定。ダウンしました。』


 左モニターが消えた。


「しまった!」


 迂闊だった…。相手は戦争経験もある熟練のパイロット。しかも、仮にも第3小隊の隊員だ。


 いきなり不利な状況になってしまった。



**********************



 テイン中曹は冷静だった。開始直後にバトルエリアの角の障害物に隠れている。


 IRS(熱源感知)を使用し、クロノスの居る方向を確認すると、ライフルを静かに構えた。


 まだ距離があると見積もっていたが、警告音が鳴った!


「何っ?もうこんなに詰めてきたのか?」


 と言うと、少し慌てながら距離を取るために全力でダッシュした。


 レーダーの索敵範囲である50m以内にクロノスが入ったため、警告音が鳴ったのだ。


 IRSでは、熱源の方向は判別できるが敵の位置までは分からない。


「危ない、危ない…」

 テイン中曹はそう言いながら息を潜める。


 距離を測る「レーザー測距器」も、こう障害物が多くては使えない。


 この状況で50m以上の距離で敵の正確な位置を知る手段は、自分の眼しか信用できない。


「昨日、あいつが格闘訓練装置をやっている所を見たが、化け物みたいに凄まじかった。格闘戦では分が悪いだろう。50m以内に入られたら負けだと思って行動しないとな。」


 そう言いながら、ダッシュで距離を取っていく。


 長年の経験から、クロノスの大体の位置は分かっている。



「スナイパーの怖さを教えてやろう…」



 そう言って、アサルトライフルの照準をスナイプモードに切り替える。



「ふふふっ…歩いてやがるな。足音で位置がバレバレなんだよ!………そこだっ!」


アサルトライフルを3発発射した。


「よしっ!全弾命中〜!」


 アサルトライフルには、単射モード、3連射モードと連射モードがある。

 3連射モードは、3発発射したら自動で射撃が停止する。弾丸を節約するための機能だ。大抵の人は最初の1発目しか当てる事が出来ない。良くても2発だ。


 流石は射撃の腕に自信があるテイン中曹。約100mと距離が近いとは言え、恐らく3連射モードで3発全弾命中できるのは、連隊でもテイン中曹の他には居ないかも知れない。



 AIが『3発命中。左カメラ損傷判定と推測。』とテインに告げる。



「チッ!左カメラだけか…これだからアサルトライフルは駄目なんだよ。キャノン砲を使わせてくれよな…」と文句を言う。


 実際キャノン砲だったら、クリティカル判定でクロノスは負けていただろう。


「仕方ない。チマチマと眼を潰していきますかね?」


と言って、射点を変えるために移動した。




*********************



 クロノスは焦っていた。


「ヤバい!ヤバいぞ!いきなり左側が見えなくなった…どうする?」


 距離を詰める術もなく、今、何処から撃たれたかすら分からない。


「ガイア、弾着角度と射撃音から、射点を推測してくれ。」


『推測しました。マップモニターに表示します。』


「ここか…次々に左回りしてるみたいだな。」


 左に回り込まれ続けると、左側のカメラが損傷しているために死角が多くなる。


『マスター!正面!』


 ガイアの焦った様な声を聞くのは初めてだった。

 その瞬間、前面モニターがダウンした。


 回避行動が遅れてしまったのだ。


『メインカメラ、損傷判定。ダウンしました。』


 障害物に隠れて考える…

 不味い…本格的にヤバい!相手の方が一枚上手だ。


「ガイア、敵の移動している音を拾え。音源標定だ。」


『敵の概略位置を判定しました。マップモニターに表示します。』


「次はこっちか…チョコマカと動きやがって。射点はコッチからこう動いてるから…」


「よし!多分、次はこっちだ!一か八かだ!」


 今までのテイン中曹の射点の動きから、次の射点を予想する。


「ガイア、左腕の無反動砲は左スティックのトリガーボタンで発射するのか?」


『はい。しかし、まだ射撃設定をしていませんので設定します。』


「頼む!」


 そう言って、俺は予想地点へダッシュした。


「よし!レーダー捕捉。50m以内まで近づけた!」



 逃げようとするテインを、障害物を利用しながらダッシュで追い掛ける。



「テイン中曹、逃がさんぞ!」




**********************



 テイン中曹は、この試合で初めて焦りを感じていた。


「不味い!レーダーの索敵範囲に入られた。距離を取らなければ!」


 テイン中曹もダッシュで移動するが、もうレーダーの範囲外に逃げるのは難しい状況の様だ。



「何故、この場所が分かった?はっ…速い!」

 (ちくしょう!やられるかよ!)



 テインはクロノスが、どうやって小隊訓練装置であれ程回避したのかを、小隊長のボルグ中尉から聞いていた。


 つまり、射点と銃口の向きさえ知られなければ、射撃を剣で防がれない。これなら射撃で勝てると確信していたのである。


 レーダーで捕捉されると、距離は近いとは言え射点がバレて防がれる可能性があると考えていた。



「しかしな…この距離なら、発射から着弾までは0.2秒も掛からない。これを避けれる人間はいないだろ?」と呟いた。



 お互い、射線が開けた場所に出た。


「これでも喰らえ!」と、テインはアサルトライフルで射撃をしたが、クロノスに剣で防がれたのだ!


「あれを剣で防ぐのか?」と言いながら、アサルトライフルを捨てて片刃の剣を右手にとる。


「舐めるな!小童がぁ〜!」


 そう叫ぶと、剣を構えて左腕の無反動砲を前方に向けた。



**********************



 クロノスがレーダーでテインを捕捉した。


「もう逃がさないぞ!」と言って近づく。


 右モニターしか無いため、右半身を前方に向けてダッシュする。


 テインの姿を確認した。


「やっと姿が見えた!ライフルを向けてる!撃つのか?」


 テインの狙いは分かっている。右カメラだ!全ての視覚を奪うつもりの筈。


「今だ!」剣でカメラを守る。


 すると、射撃音と同時に『カンカンカン!』と弾丸が剣に当たる音が響いた。


 防ぐと同時に、今度は左半身を前方にだし、左腕を伸ばす。当然、前は見えない。


 伸ばした左腕から、無反動砲を4発適当に撃った。目眩しのためである。


 すぐに右半身を前方に戻すと、土煙の隙間から無反動砲で足を狙っているテインの姿が見えた。


「しまった!」


 無反動砲を受け、右脚の機能が停止した。


 しかし、テイン迄の距離は15mもない。


「ガイア!バランス制御を頼む!」


 ダッシュの勢いをそのままに、左脚でジャンプする。左脚で着地をし、そのまま左脚を軸にしてバックブローの様に回転した。


 回転の勢いを乗せて剣を水平に振る。


「当たれぇ〜!」とクロノスが言ったと同時に、剣がABLM(エーブラム)に強烈に当たった感触があった。



 右脚が機能停止しているため、バランスを保てずに倒れてしまった。その瞬間、敵の撃破判定が出た!


 勝ったんだ!


「勝ったぞ!ガイア!」



 厳しい戦いだった。結局俺は、最後の一撃のみしか攻撃出来なかったのだ。勝利したのはマグレに近い。



 テイン中曹…本当に手強い相手だった…俺とは相性が悪すぎる。


 勝てたのが、自分でもまだ信じられない。


『マスター、アンパイア装置からの信号をキャッチ。システムが復旧します。』


「ガイア、何とか勝てたな…」

 と言いながら、右脚が動く様になったABLM(エーブラム)を立ち上がらせる。



『おめでとうございます。私がサポートし切れませんでした。マスターと私の連携がもう少し必要です。戦闘を重ねれば良くなって行くでしょう。」


「そうだな、まだ、俺達には経験が足りない。少しずつ良くして行こうぜ!」


『了解しました。私も次の試合迄に今回の戦闘データを分析しておきます。」



「あぁ、ガイア、頼んだぞ!」


 そんな会話をガイアとしながら、右手に持つ剣を掲げて会場を後にした。


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