第022話 「陰 謀」
執筆が終わりました。
ノートに書き留めては掲載の繰り返しで、余裕がなくなってます…
クロノスの競技開始前、3中隊長が指示を出す。
「ボルグ中尉、ソハヤ軍曹の番になったら、装置の難易度を『高』に設定してね。」
ボルグ中尉は「了解しました。」と言って部下に設定を変更するよう命令した。
設定変更を終了しクロノスの競技が始まる頃、ボルグ中尉が3中隊長に質問した。
ボルグ中尉
「中隊長、良かったんですか?」
中隊長
「ん?何が?」
ボルグ中尉
「中隊の隊員は、難易度『低』でやってるんですよ。ソハヤ軍曹だけ難易度を『高』にするなんて…」
中隊長
「昨日、ボルグ中尉も見たでしょ?彼、20分間をクリアしたのよ?」
ボルグ中尉
「しかし、競技会が公平ではなくなります。」
中隊長
「ボルグ中尉は気付いてる?昨日、彼がやってた設定は『中』だったの。それをクリアしてるの。しかし実情として、うちの中隊の隊員は『低』でもクリアできてない。」
ボルグ中尉
「えっ?昨日の設定は『中』だったんですか?それを20分間も…」
中隊長
「そう、しかも、無線を聞いていたら、最後の5分間は『飽きた〜!』とか言って剣で避けてたの。凄いよね!」
ボルグ中尉
「俺も見てみたくなりました。設定『高』で、アイツがどこまでできるのかを…」
中隊長
「あっ!始まったわね。」
クロノスの競技開始後、ギャラリーがどよめく。
中隊長
「ギャラリーも気付いたようね。難易度が上がったのを…」
ボルグ中尉
「ええ…先程までとは全然違いますからね…」
中隊長
「そうよね…気付くよね。これだけ違えば…」
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ギャラリーも、難易度が上がったのに気が付き始めた。
「おい!さっきまでと全然ちがくね?」
パイロット達からも声が上がる。
「俺…こんなの1分も持たないよ…」
そして、ナハス軍曹が叫ぶ。
「おい!汚ねぇぞ!難易度を上げやがって!そんなに本管中隊の整備兵に優勝されたく無いのかよ!」と。
当の本人は、そんな事を言われているとは知らずに集中している。
10分が経過し、攻撃が激しくなってきた。
「避け切れなくなってきた。あと半分か?長いな…」
「あっ!ヤバイっ!」と言って回避した。危なかった!
「危ねぇ〜!避けるの主体で剣で防ぐのではなく、剣で防ぐのを主体ににして、ダメなら避けるようにしよう。」
そう言って、機体をユラユラと前後左右に動かし始める。
「同時に2ヶ所から射撃されると、剣だけでは厳しいな…」
剣で防ぎすぎて、剣がペイントだらけだ。
「ペイント弾を破裂させない様に、剣の角度を計算しなきゃ…」
15分を過ぎた頃、いっそう攻撃が激しくなり、1人では対応できなくなってきた。
「しまった!」
左側から来た弾への反応が遅れた。その瞬間、ABLMの左腕が勝手に動き、盾で弾く。
「えっ?ガイアがやってくれたのか?」
『はい。マスター、1人で戦わないで私を使って下さい。』
「よし!ガイア、左側の防御を頼む!左腕の盾に角度を付けて弾いてくれ!前後からのは警告だけで良い!」
『了解しました。最悪の場合、左腕を破壊される可能性がありますが、宜しいですか?』
「分かった!破壊判定されたら教えてくれ!あとは俺がなんとかする。」
残り3分。次々に飛んでくるペイント弾を何度も何度も捌いていく。
左側をガイアに任せ、右から来る弾丸を剣で弾き、正面と後ろから来る弾を回避する。
もう1人では防げない。ガイアのサポートがあってこそだ。
「良かった。腕に装着するタイプの小型の盾を装備して来て。ガイア、頼むぞ!」
もう、この時点で優勝は確実なのだが、できれば20分間防ぎ通したい。
「ガイア!あと何分だ?」
『終了まで、あと1分です。』
あと1分。もう汗まみれで操縦している。たった1分が長く感じる…
「まだか?早く!早く終わってくれ!」と叫ぶ。
『ブー』ブザーがなり、訓練装置が停止した。
やっと競技が終了したのだ。
「終わった…やっと終わったよ…。ガイア、サポートありがとう!」
ガイアにお礼を言う。実際、ガイアにサポートして貰わなければクリアできなかっただろう。
最初はざわついていたギャラリーも、今はシーンとなっている。
「あれっ?終わったのに静かだな…」
ABLMを待機位置に移動させようとしたその時…
『ウォ〜〜〜‼︎』と言う、割れんばかりの歓声がギャラリーから上がった。
クーナさんから無線が入る。
「凄い!スゴイよ、クロ!」
「クーナさん、難易度を上げたでしょ?だから、ムキになってやってみたんです。クリアしてやりましたよ!」と言って俺は笑った。
「クロ、本当にカッコ良かった〜!」
「えっ?マジ?俺に惚れちゃいました?」
「惚れた!惚れた!凄かったよ、本当に!」
俺は大歓声の中、待機位置へ向かいABLMから降りた。
第3小隊のみんなから手洗い祝福を受け、今日1日の競技は幕を閉じた。
「第3中隊 ABLM競技会」編はまだ続きます。




