第020話 「途中経過」
競技会と関係ない会話が多いです。
後から響く設定作りのための物だと思って下さい。
すみません…
クロノスの競技が終了した直後、3中隊長が中隊先任曹長に話しかけた。
「先任…今の見た?」
「はい…ちょっと彼、次元が違いますね…」
中隊先任曹長が、驚いた顔で続ける。
「私も3年前まで ABLMのパイロットをしてましたが…あんな事は出来ないし、あんな奴は見た事ありません。」
「だよねぇ…凄いよね!」
「はい。中隊長以外であんなに凄い人を見た事はありませんね…」
「いや、私より凄いって!」
すると、3中隊長の後ろから近づき声を掛ける人がいた。
「3中隊長、面白い事をやってるって聞いたから、見学にきたよ。」
そこには、大隊長と並んで歩く連隊長の姿があった。
「ドヴェルグ大尉、しかし彼は凄いな…3中隊にあんなパイロットがいるとは知らなかったよ。誰なんだ?」と連隊長が質問する。
「うちの中隊の隊員ではありません。2大隊本部管理中隊のソハヤ軍曹です。」
連隊長が驚いた顔で「えっ?あの、ロボット犬の?ソハヤ軍曹は整備兵だよな?」
大隊長が付け加える…
「整備兵です。しかし、パイロットじゃないのに、あの動きはすごいな…」
すると連隊長が興奮気味に「あれは、うちの連隊直轄小隊のメンバーより凄いぞ!ウチに欲しいくらいだ!」と言う。
すかさず3中隊長が「連隊長、ダメです。私が発見したんですよ!」と言った。
「さすがIQ145の天才、見る目があるな!しかし2大隊長、今度の連隊競技会が楽しみだな!」ワッハッハぁ〜!と大声で笑う連隊長に、3中隊長がズバリ言う…
「彼、ABLM中隊の隊員じゃないし、パイロットじゃないから出場資格がありませんが…」
しばらく沈黙が続いた…
競技会は順調に進む。
1Gpの「格闘訓練装置の部」の方は、7人全員が終わっても20〜30分しか掛からない。
しかし、2Gpの「小隊訓練装置の部」方は最長で1人20分と決まっているので、どうしても時間が掛かってしまう。
と思ったのだが、1Gpが終了した時点で、2Gpは、もう4人目まで進んでいた。
1人目が4分、2人目が3分しか耐えられなかったのだ。3人目が、7分粘ったがダメで、今が4人目である。第3小隊のフラガ・ラッハ軍曹だ。
15分03秒まで頑張ったが、背中にペイント弾が直撃してしまった。
動きはとてもスムーズで、本当に3小隊の人は上手い人ばかりだと思った。
5人目の第1小隊長、グラム少尉が4分であえなく撃沈し、2Gp最後の3小隊、テイン中曹の番となった。
3小隊の他の3人に比べると力量が落ちる様に見えたが、それでも8分23秒で暫定2位だ。
午前中の競技が終わり、各Gpの結果が発表された。
◯ 格闘訓練装置の部
1位 31秒04 クロノス・ソハヤ軍曹
2位 43秒50 カラド・ボルグ中尉「3小隊」
3位 48秒12 スライブ・ダーイン軍曹「3小隊」
◯ 小隊訓練装置の部
1位 15分03秒 フラガ・ラッハ軍曹「3小隊」
2位 8分23秒 レーヴァ・テイン中曹「3小隊」
3位 7分14秒 ボブス・リジル中尉「2小隊」
しかし…上位に3小隊が全員入っているなんて凄いな。それと、2小隊長のリジル中尉、やっぱり小隊長って部下に負けたくないもんなのかな?
午後の競技順は、午前中と逆になるため、ボルグ中尉が1番目で俺が2番目のはずだったのだが、3中隊長に「クロは1番最後にやって!」と言われたので最後だ。何で?
昼食は食堂ではなく、大隊の管理小隊が作ったものを訓練場の原っぱで食べる。
外で食べるご飯は美味しい!隣にクーナさんもいるし!
俺はゲストだから、3中隊長と一緒に食べる事になっていたが、目の前にオッサンが2人いる…
連隊長と大隊長が便乗して食べているのだ…
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連隊長に話しかけられる。
「いやぁ、ソハヤ軍曹!整備兵にしておくのは勿体ないよ。」
「しかし彼、整備の腕も一流ですよ。私のABLMを整備して貰ったら、半日で腰の旋回モーター交換とオーバーホールをしてくれました。」
あっ!クーナさんに褒められた!
「いやぁ…まぐれですよ。俺は整備のために操縦を覚えましたが、戦闘行動になったら正規のパイロットにはかないません。」
大隊長が突然、閃いたように
「しかし、他にもパイロット以外でABLMの操縦に適性がある者が居るかもしれませんなぁ。」
「そうだな…調べる事ができたら良いんだがな。ソハヤ軍曹みたいな、凄いパイロットの卵が居るかもしれんな。」と言いながら、連隊長は考える。
「整備兵は『準パイロット』と言う資格だろ?何とかパイロット資格に格上げできんもんかね?」
3中隊長が「私なら出来ますよ。私、パイロット教官の資格があるし、開発者の特別権限も有りますから。」
連隊長が喜び言う。
「そうなのか?ソハヤ軍曹にパイロット資格を付与できるのかね?」
「申請しましょうか?クロはどうなの?」
別に要らないかな?と思いながらも…
「有れば良いんでしょうけど…無くても別に…」
と答えた。
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そんな話をしながら、昼休みが終わった。
オッサン達が邪魔だった…クーナさんと、もっと話がしたかったなぁ…




