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コント:めためたなメタ

作者: みなもとつかさ

A:勇者

B:商人


A「いやあ、実はさ、俺たちが出てるこのアニメ、打ち切り寸前らしいんだよね。」

B「勇者様!そんなことメタいこと大きな声で言ってよろしいのですか!?」

A「あー、多分。今日は放送日じゃないし、原画もアフレコも進んでないし。明日が放送日なのにそれで良いのかって疑問はあるけど。」

B「まあ…確かにそうですね。」

A「それよりさ、打ち切りの話。このアニメが終わったら俺たちもう存在できなくなっちゃうわけじゃん?DVDの中でもう永遠に同じ動きしかできないわけじゃん?俺そんなの嫌なわけよ〜。」

B「メタもここまでくるといっそ清々しいですね。」

A「てことで、この行き詰まってる感満載のアニメをどうにかして2期までは持っていけるような、そんな話に変えたいわけ!」

B「うーん、まあ確かに、僕だって打ち切りは嫌ですからね。よし、考えましょう!」

A「なんか改善できるとこないかな。ストーリーとか。」

B「と言われましても…。そもそも、このアニメ、設定からクソですからね。」

A「お、軽くディスってきたね。」

B「だいたいアニメのタイトルからダメなんですよ。なんですか、『史上最強の勇者が史上最弱の魔王を倒す話』って。タイトルからもうクソアニメ感が滲み出してますよ。」

A「確かになあ。」

B「で、舞台が “転生したら前世の性質を受け継ぐ世界”。視聴者的には『いやお前の前世知らねーよ』って話なわけです。」

A「うんうん。」

B「そもそも勇者モノとか冒険モノって、“弱い人間が勇気一つで強い敵に立ち向かって打ち勝つ!”みたいなのが売りじゃないですか!

なのに勇者様ときたら、 “古今東西あらゆる勇者の生まれ変わり” “前世の勇者の力を自在に操れる” とかいう超チートな設定を持っているわけで!

おかげさまでなんの苦もなくラスボス目前まで来ちゃってるからなんの盛り上がりもないんですよね。」

A「そうなんだよな〜。俺、どう考えても最強すぎるんだよな〜。」

B「で、パーティーも、普通だったらヒーラーとか魔術師とか格闘家とか。いろんなキャラクターの助けを借りるところを…」

A「俺、全部一人でできちゃうから誰の手も借りずに来ちゃってるんだよな〜。」

B「そうなんですよ!いろんなキャラがいるってことはいろんな視聴者に刺さる可能性が高まるってことでしょう!?メインの登場人物が勇者様と商人の僕じゃあ、そりゃあ飽きますよ!」

A「しかもお前はモブ顔だしなあ。」

B「史上最強の勇者様も、前世から先立つ物だけは持ってこられないってことで、最初の街で融資したモブCの僕を急遽仲間にしましたからねえ。」

A「よし、とりあえずお前、整形しとこう。」

B「ええ、今からですかあ?もう打ち切り寸前なのに?無駄な投資はしたくないんですよね、商人なので。」

A「そういう設定はしっかりしてるのな、お前。」

B「うーん、設定は今更変えられませんし、今後のストーリーを変える方向で行きましょうか。」

A「そうだな…といっても次の回でもうラスボスと戦う予定なわけだが。」

B「一般的な勇者モノだと、こう、“ラスボス回の辺りで仲間が死んでお涙頂戴!” みたいなのがありますよね。」

A「あるな…ただ、俺、仲間がピンチになっても絶対助ける余裕あると思うんだよね。なにせ最強だから。」

B「ですよねえ。そもそもピンチになるという概念がないですからね、勇者様には。」

A「我輩の辞書にピンチという文字はない!ってか?」

B「あっはっは。」

A・B「……」

A「...真面目に考えるか。まあ仮にピンチになるとしてだ。このアニメだと死ぬのお前しかいないけど大丈夫?」

B「ああ確かに!!僕、死ぬのはちょっと勘弁ですね…。」

A「だよなあ。やっぱり俺も助けられる仲間を見殺しにするのはちょっと抵抗あるわー。」

B「今からキャラ減らすのも、今後のグッズ化とかに影響しそうですしねえ。売り上げが減るのは看過できません、商人なので。」

A「ちょっとそのメガネくいってやるのやめてくれない?なんか腹たつわ。…ってかお前知らないの?もうグッズ化されてるよ、俺たち。」

B「え、そうなんですか!?」

A「ああ。ランダム缶バッジにランダムアクリルキーホルダー、それからランダムキーチャームだ。」

B「キャラ二人しかいないのに!?公式バカか!?」

A「一応、シークレットとして魔王も入っているらしい。」

B「まだシルエットしか出てないのにですか!?」

A「シルエットのまま商品化したらしいぞ。」

B「クソ運営がクソ運営すぎて大草原不可避ですよ!!!…他にはグッズ出してないんですか?」

A「抱き枕カバーも出したらしいな。こちらはセレクト可能だ。」

B「いや需要!需要が低すぎる!!

あー、聞くまでもないこととは思いますけど。売上はどんな感じなんでしょうか。」

A「うーん、正確なことはわからないけど。」

B「まあでも当然ですよね。一位は勇者さ…」

A「いや、お前の方が売り上げ良いらしい。」

B「えええええええ!?なんでまた!?モブ顔の僕よりもイケメン勇者様の方を抱きたいでしょう、普通!」

A「イケメンすぎて抱くよりも抱かれたいってことだそうだ。」

B「いやいやいや、それにしたって。だって僕、モブ顔すぎて結構な頻度で作画崩壊してるんですよ!?」

A「そこも人気の一つらしいな。作画崩壊するほど公式に愛されていないキャラは私たちが愛してあげないといけない、という庇護欲に掻き立てられるらしい。」

B「商人としての自信すら失いそうです、僕…。」

A「まあそんなお前も売り上げ一位ではないんだけどな。」

B「ま、まさか…」

A「ああ、売り上げ一位は、魔王だ。」

B「僕たち、シルエットに負けてるんですかああああ!!!」

A「まあ噂によると魔王は絶世の美男子らしいからな。」

B「ああ、それなら僕も知ってます。どうやら魔王は病弱で早死にした男の子の生まれ変わりだそうで。儚い系イケメン確定です。」

A「もう多分あれなんだろうな、シルエットからでも溢れ出るんだろうな、儚さとイケメンが。」

B「あー羨ましっ。僕も早く転生したらイケメンになれないかなあ。」

A「俺もファン(みんな)に愛される勇者になりたいなー。」

B「…………」

A「…………」

B「ねえ、勇者様。」

A「どうした商人くん。」

B「僕思ったんですけど、この世界がなくなれば、僕たち転生できるんじゃないですかね。」

A「奇遇だな、俺もそう思ってた。」

B「…………」

A「…………」

B「勇者様。」

A「商人くん。」

A・B「よし、このアニメはサクッと終わらせて次回作らいせに期待しよう。

死ねえええ魔王ううううう!!!!!!!」


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