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アデル★リボン ~万能でサイコパスの魔法少女が、人々の心を救済していく感動物語~  作者: タキ・エーイチ
第8章 自分の弟に似た男装の幼女が、無残な灰燼と化すまでのお話
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第13話 灰燼

 キルシュタイン博士がアデル達を連れてきた先は、ノークの町の外れにある森だった。そこは薄暗く、辺りに人気は無い。アデルは、魔法の帽子メメの「気を付けた方が良いよ」という警告を受けながらも、真実を知る為、ここまで付いてきた。


「さて、まずは、一番気になっていると思われますが__」


 それまで無言であったキルシュタイン博士が、急に話を始める。彼は、アデルの傍らに佇むコルを指差す。


「『コル』が貴女に似ているのは、それの作製に貴女の髪の毛を用いているからです」

「私の髪の毛……?」

「左様です。以前貴女から頂いた髪の毛です」


 以前アデルは、キルシュタイン博士からの提案で、彼に自分の髪の毛を提供した事があった。その目的というのは、提供されたアデルの髪の毛を解析することで、『赤リボンのアデル』の正体を科学的に解明し、ひいては、『赤リボンの呪い』の解呪方法を発見する、というものだ。それは、キルシュタイン博士の科学的好奇心による提案であったが、当然アデルにもメリットがある話だった。だからこそ、アデルは、その提案に乗ったのだが……。


「今回の実験の為に、複雑かつ複数の術式の起動に耐えられ得るような、魔力的強度の高い肉体を持つホムンクルスを作製する必要があった。そのホムンクルスの作製の為に、『赤リボンのアデル』の髪の毛を用いたのです。そして、貴女の髪の毛のおかげで、満足のいく魔力的最高強度のホムンクルスを作製することに成功致しました。__全く、赤リボン殿には感謝しております」


 勝手に感謝の言葉を述べたキルシュタイン博士に、アデルは眉をひそめる。


「私の髪をホムンクルスの作製に用いる事なんて承諾していないわよ。あくまで、私の呪いの解呪方法を探る為だけに提供したはず。どういうつもり?」


 アデルは、声を厳しくして問い質した。すると、キルシュタイン博士は、まるで意外な詰問が飛んできたと言わんばかりに、肩を竦める。


「提供目的から逸脱していると? それは、違いますな。ホムンクルスの作製に貴女の髪の毛を用いて、その効用を観察することにより、『赤リボンのアデル』の正体の科学的解明が進展すると思ったのです。付け加えて言わせていただきますと、解明方法に、何らかの限定を付した覚えはありませんが?」

「屁理屈を……」


 目を鋭くして睨み付けてくるアデルに対して、キルシュタイン博士は、「ふむ……」と、困り気味に溜息を吐く。


「まさか、そこまでご不快な思いをされるとは思いませんでしたよ。我輩の思慮が至らないところがあったなら、謝罪申し上げます、赤リボン殿」

「悪いと思っているなら誠意を見せろ」

「ええ、だからこそ、こうして『コル』の事を貴女に全てお話ししようとしているのです」

「それで誠意?」

「違いますかな?」


 アデルの言う“誠意”とは、つまりは精神的苦痛に対する損害賠償を要求するものだったが、キルシュタイン博士は、それに応じる気配は毛頭なさそうだった。


 アデルは、舌打ちをして、


「あなたが私の髪の毛を無断で用いたことについては、一旦保留しておくわ。__じゃあ、訊くけど、あなたがさっきから言っている“今回の実験”ってのは何? コルを使って何をしようとしているの?」

「霊魂の研究のための実験です」


 キルシュタイン博士は、誇らしげに口にした。


「肉体から突然弾き出されてしまった霊魂が、どういった動きや反応を見せるのか、観察するのです」

「……何?」

「『コル』の体には、その為の術式が組み込まれています。それの体が取り込んだ霊魂は、体に定着してから一定期間経過後、体に組み込まれている術式の起動によって、強制的に体外へ弾き出されるのです。そして、ほぼ同時に、別の術式が起動して、自動的に新しい霊魂が『コル』に取り入れられます。それらの術式が起動することによって一定時間、『コル』は昏睡状態になりますが、昨日まさに、それが起きました」

「ちょっと待って……」


 アデルは、思わず話を遮る。キルシュタイン博士は、聞き捨てならない事を言った。


「霊魂が体外へ弾き出される……? その弾き出された霊魂は、それからどうなるの?」

「興味深い反応を見せてくれます。我輩の使い魔達の霊眼を通して、その様子をじっくりと観察しました。弾き出された霊魂は、元の体に戻ろうとします。しかし、戻ろうとした体には既に別の霊魂が定着し、入れる余地が無い。加えて、『コル』には、その体に無理やり入ろうとする霊魂や、その他あらゆる干渉に対して反撃する術式も組み込まれている。元の体に戻ろうとした霊魂は、『コル』の術式によって還ることを拒まれます。そして、ここからが、実に興味深い__」


 キルシュタイン博士の声が、興奮で弾む。


「その後に霊魂が見せてくれる動きは、実験条件によって変化します。当初は、研究所の一室に『コル』を閉じ込め、接触も最低限にして、実験をしておりました。その条件下においては、『コル』から弾き出された霊魂は、元の体に戻ろうとするものの、ほんの数回帰還を試みた後、諦めるようにして彼方に消え去っていきます。しかし、条件を僅かに変更していき、『コル』との会話等の接触回数を増やすことで、弾き出された霊魂が元の体に帰還しようと試みた回数も増えていったのです。さて、この実験結果から何が考察できますかな?」


 と、キルシュタイン博士は、後ろで手を組み、教壇に立った教授のように、アデルに問い掛ける。アデルは、その問い掛けに答えず、険悪な表情を彼に向けて黙っている。


「霊魂には、一度定着した肉体に執着するという性質があり、その性質は、肉体に定着していた間に育んだ情緒によってより強まるということです。生存時の肉体の記憶や人格が霊魂に一切引き継がれないと唱える学者もおりますが、この実験結果は、そうではない事を示唆するものでもあります」


 キルシュタイン博士は、アデルの険悪な表情を意に介さず、話を進める。


「我輩は、さらにその霊魂の性質を探求すべく、実験場を研究室から変えました。『コル』が通常の人間と同様の情緒を育めるように、このノークの町に放ったのです。そして、その条件変更は、弾き出された霊魂に驚くべき変化与えました。__貴女も見たでしょう、あの黒い姿の悪霊を」

「悪霊……」

「霊魂は、研究室に閉じ込めていたときとは比べものにならない程、肉体への執着を示しました。肉体に戻ろうとしては、『コル』の術式に弾き返され、また戻ろうとしては弾き返され、それを終わることなく繰り返しました。そして、やがて、霊魂に変化が起きました。突如、霊魂が強い魔力を持ち始め、通常の肉眼では姿が確認できなかったそれが、黒い影のようなものを帯びるようになったのです。そう、弾き出された霊魂が、悪霊と化したのです」


 アデルは、キルシュタイン博士から告げられた真実に愕然となる。このマッドサインティストの説明によって、コルの重要な謎が明らかになった。


 コルが、最初アデルに出会った時、数日間の記憶しか持っていなかったのは、それまでの記憶を失くしていたからではない。そもそも、彼女の人生が、まだ数日しか経っていなかったからだ。


 今ここにいる『コル』の記憶に、アデルとの思い出が無いのも、記憶を失くしたからではない。ここにいる『コル』の中身が、今までのコルとは別ものになっているからだ。昨日、『コル』の体に組み込まれている術式が発動して、その中身は変わったのだ。


 そして、あの黒い悪霊の正体__


 数日前に、アデル達に襲い掛かって来たあの黒い悪霊は、以前の『コル』に入っていた霊魂だ。あの悪霊は、コルの魔法によって撃滅させた。撃滅させて、それで終わった。


「それじゃあ、もしかして……今日現れたあの悪霊は……」


 アデルは、残酷な事実に行き着く。


 今日アデル達に襲い掛かって来たあの悪霊は__悍ましい声を唸らせて迫ってきたあの黒い影の正体は、アデルが良く知るコルだった。


 アデルと一緒にノークの町を歩き、アデルと一緒に買い物をし、アデルと一緒に食事をし、そして、アデルと一緒に星を見上げた、あのコルだった。


 アデルは、愕然とした表情で、傍らのコルに目を遣る。コルは、相変わらず生気の抜けた瞳のまま佇み、アデル達の会話を聞き流していた。


「コル……」


 アデルは、コルの名を呟く。コル__果たして、今ここにいる彼女をアデルの知っている“コル”と呼ぶべきなのか。


「アデル、大丈夫かい……?」


 コルの正体を同じように聞かされていたメメは、心配そうにアデルに声を掛ける。告げられた真実に言葉を失っていたアデルは、「大丈夫よ、メメ…」と呟くように返す。


「他にご不明な点はありますかな、赤リボン殿?」


 さて、説明を一通り終えたキルシュタイン博士は、やや満足げだった。そんな彼に、アデルは、不快げな視線を返す。


「……随分と奇態な実験をするものね。あなた、やっぱり、とんでもない科学者ね」

「お褒めに預かり、光栄でございます」

「褒めてないわ、クソ野郎」


 キルシュタイン博士の悠然とした態度が、アデルの気持ちを逆撫でる。


「こんな実験をして、一体何の意味があるの?」


 そのアデルの声は、怒りに震えていた。


「申し上げた通り、霊魂の研究です。ご存知とは思いますが、霊魂の本質を解明することは、我々魔法使いが古の時代より取り組んできた重要な課題です。__取り分け、『赤リボンのアデル』である貴女にとっては、重要な課題ではないですかな?」

「……? どういう意味よ?」

「さて、どういう意味でしょうな?」

「戯言を……!」


 アデルは、キルシュタイン博士に、人差し指を突きつける。


「こんな狂った実験、帝国は認めているの? この実験に違法性がないか、捜査させてもらうわ! 知っていると思うけど、私はロートヘルム帝国の憲兵としての権限を有している。今ここで、あなたを拘束し、取調べる」


 キルシュタイン博士は、鼻で笑う。


「冗談はよしてくだされ、赤リボン殿。アーデルハイト・ロートシュライフェ特別憲兵予備役にはそのような権限は与えられていない。貴女の憲兵としての権限は、上官であるヴァイス君の命令の範囲内に止まる。それに、実験の違法性についてですが、魔術省に実験概要は説明したうえで許可は得ておりますし、魔法結社の理事会の事前の承認も得ています」

「なんですって……」

「確かに、『コル』に組み込まれている術式の多くは、魔法結社が使用を認めない“禁術”となるものですが、現在魔法結社では、禁術であっても、実験等の正当な目的があり、かつ、事前に申告があれば、例外的に使用を許すようにしているのですよ。ですので、この折角の機会に、兼ねてから試してみたかった術式をふんだんに用いました。ただし、実験を行う上で、様々な条件を付され、そして、終了期限を設けられましたがね__」


 すると、キルシュタイン博士は、何か思い出したように、マントの内側から杖を取る。


「そう言えば、一つ重要な事を伝え忘れるところでした、赤リボン殿」

「……何よ?」

「名残り惜しい事に、今日がその終了期限なのです」


 キルシュタイン博士は、杖を振る。


 アデルの傍らから、突如、魔力の波動が渦巻く。アデルは、はっとなって横を見ると、静かに佇んでいた『コル』の体から、紫色の光が溢れ出していた。何らかの術式が発動したことを示す、魔法の光だ。そして、魔力は、急激に膨れ上がっていく。


「あなた、一体何を……!」

「さて、それから離れてください、赤リボン殿」


 驚くアデルに対して、キルシュタイン博士は、短く警告する。


 次の瞬間、『コル』の体から、紫色の光が爆ぜ、強烈な熱波が放たれる。アデルは、『コル』の傍から思わず飛び退く。熱波は、アデルの手の甲に、僅かに火傷を負わせた。


 そして、アデルは、痛む手の甲を抑えながら、『コル』の惨劇を目にする。


 『コル』から紫色の炎が燃え盛っていた。紫色の炎は、周囲の地面の土を焦がし、草々を消し飛ばし、傲り高ぶるように燦然と輝いている。その炎に包まれた『コル』は、身を苦痛に捩じらせながら悲鳴を上げる。そして、小さな少女の体の輪郭は、炎の煌めきの中に吸い込まれるように崩れていく。


 アデルは、燃え盛る『コル』に近付いて助けようとする。だが、キルシュタイン博士が杖を振り、魔法による突風でアデルを吹き飛ばす。彼は、突風で転がったアデル対して、「危ないですぞ、赤リボン殿」と冷淡に告げる。


 アデルは、慌てて起き上がり、『コル』を助けようとする。しかし、もう遅かった。紫色の炎は、役割を終えて徐々に小さくなっており、既に、その炎の揺らめきの中に少女の姿形はない。


 炎の残滓の中に残っていたのは、焼け焦げたローブと、元の原型を留めていない灰燼だけだった。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「何を……」


 アデルは、焼け焦げたローブと灰燼を確認して、怒りに肩を震わす。


「何をするのっ!」


 アデルは、眉を逆立てて、キルシュタイン博士に掴みかかった。アデルの両手は、キルシュタイン博士のマントの襟を握り締める。


「今日が定められていた実験の終了期限なのですよ。そして、魔術省と魔法結社から、終了期限までに“後始末”をするように命じられているのです」


 キルシュタイン博士は、睨み付けてくるアデルに動じることなく、淡々と答える。


「実験許可の条件の一つとして、実験終了の際には、実験に使用したホムンクルスを廃棄処分するように言い渡されておりました。その為に、予め『コル』には自壊用の術式を組み込んでいたのです」

「こんな事しなくても!」

「我輩に言われても困りますな。これは魔術省と魔法結社が決めた事ですので。我輩としても、せっかくの『コル』を廃棄処分するのは甚だ遺憾ですが、彼らとしては、禁術のホムンクルスの扱いには慎重にならざるを得ないのでしょうな」


 アデルは、赤い瞳を怒りに燃やして、キルシュタイン博士の襟を掴んだまま睨み付ける。キルシュタイン博士は、アデルの手を払い除けることなく、やれやれ、と頭を振る。


「赤リボン殿にとっても、これで良かったのではないですかな?」

「……どういう意味よ?」

「先ほど申し上げた通り、我輩は、ここ数日間の貴女と『コル』の様子を観察させて頂きました。ご自身で多少の自覚があるとは思いますが、『コル』との接触が、貴女の精神に大きな影響を与えています。それは、ひとりの科学者として観察する分には、非常に興味深い反応ですが、貴女の親愛なる友として見守る分には、非常に憂慮すべき変化なのです」

「“貴女の親愛なる友”……? 気色悪い。ぞっとする事言わないで」

「何と言われようと、我輩は、貴女の事を心配していたのです。『コル』は、貴女に良くない影響を与えていました」

「……」


 アデルは、マグにも同じ事を言われたのを思い出す。あの賢者の少女から、“コルから悪い影響を受けている可能性がある”と、言われた。そして、その影響というものを探る為にも、コルを解析する必要があると。


「コルが、私にどういう影響を与えているって言うのよ? その原因は何?」

「正直に申し上げますと、その原因について、何か確かな事が分かっているわけではございません」

「分からない? コルを作ったのは、あなたでしょ。なら答えて」

「残念ながら、分からないものは、分からないのです。『コル』があなたと接触したのは、想定外の事でしたし、それによって引き起こされる反応も想定外のものでした」


 キルシュタイン博士は、相変わらず淡々と答える。フクロウの仮面を被っている所為で表情も見えない。だが、アデルには、彼がどこか話をはぐらかしているように感じられた。


「原因が分からないけど、その影響っていうのは、私にとって良くないものだって言うの?」

「左様です」

「何を根拠に?」

「根拠ですか……。それも、残念ながら、何か確かな根拠が言えるわけではないのですが……」


 キルシュタイン博士は、淡々と喋りながらも、やはり、何かはぐらかしているようだった。アデルは、若干むきになって、彼に問い詰める。


「確かな事が言えないんだったら、コルが私にくれたものが良いか悪いかなんて分からないでしょ!」

「ふふ……、“私にくれたもの”ですか……」

「何よ!」


 キルシュタイン博士の零した不敵な笑い声が、アデル怒りを煽る。


「貴女らしくない言葉だと思いましてね、『赤リボンのアデル』」

「馬鹿にしているの!?」

「いえ、申し上げた通り、我輩は、貴女を心配しているのですよ。『コル』との接触は、尊き貴女の純粋さを損ない、そして、貴女を破滅に至らしめる。貴女自身、その自覚は、とっくにあるのでは? いつぞやの夜の騒動は、本当に危なかったですな」

「あれは……」


 アデルは、口籠る。キルシュタイン博士は、アデルが“綺麗な星を見たい”というコルの願いを叶える為に貴重な魔法を使い、挙句の果てには、自警団と揉めることになったあの夜の騒動の事を言っているのだろう。


「あれは、ほんの少し……」

「ほんの少し、何ですかな?」

「……ほんの少し、酔っていただけよ」


 キルシュタイン博士から失笑が漏れる。


「ほう? 酔っていた?」

「……」


 アデルは、思わずキルシュタイン博士から顔を逸らし、彼のマントを握り締めていた両手の力を緩めた。それから、馬鹿な言い訳をした自分が恥ずかしくなって、黙ってしまう。


 つくづく、馬鹿な言い訳をしたと思った。そして、思い返してみれば、悔しいが、キルシュタイン博士の言っている通りだと思った。


__あの夜、自分は、弁解出来ないような極めて不合理な行動をし、そして、自身の身を危険に晒した。いつもの自分ならあり得ない行動をした。ああなった原因や理由は、分からない。だが、直感的に分かる事がある。あれは、コルがいなければ、絶対に起こり得なかった。……そうだとすれば、やはり、コルは自分を破滅に導く存在と言っても間違いじゃない。


「これで良かったのです、赤リボン殿」


 キルシュタイン博士は、灰燼と化したコルの残骸に顔を向け、諭すように言った。


「貴女は、これで元通りになる。美しく、尊く、そして、混じり気のない洗練された存在に」


 彼は、一歩後ろに下がり、マントの襟を掴んでいたアデルの両手から逃れる。そして、とある気配を感じ取り、ふと、顔を上げる。


「いえ……、もう一つ、やっておかなければならない事がありましたな」


 キルシュタイン博士の緊張を帯びた声に、アデルは、彼の視線の先と同じ方向を見上げる。


<……ヴァ、ガギィ、ォ……、ガァア、グァ……!>


 アデルが見上げた先から、悍ましい声が響き渡る。


 アデルが、目を見開く先で、その黒い影が渦巻きながらこちらへと迫ってくる。


<……ガァゲェ……、ィブェ……!>


『コル』が生み出した黒い悪霊。片付け損なっていたそれが、アデル達の前に現れた。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

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