6話
エルフの姉妹はニヤリと笑った。
「少し眠って貰っているだけですよ」
「私たちも固有能力を持っているからね」
「へえ、で、何をしたんだ」
「言うわけ無いじゃない」
「ああでも、もしヨマさんが、どうやってあの木を倒したのか。
それを教えて下さるなら、私たちも口が軽くなるかもしれませんね」
「お前さんたちは何で、少しピリついた空気になっているんだ。
とにかく、酒を用意してもらうぞ、ヨマ。
話はそれからだ」
何もしてないおっさんが、空気を読まずに報酬を要求する。
「ええ、もちろん用意させてもらいますよ。
そのためにも安全は必要ですよね。
その安全を確保するために、2人が信用できるのかを知りたいんですよ」
「そうね、その通りだわ。私達、これから一緒に旅に出るんだから、能力は隠すべきじゃないわよね」
「ヨマさんが先に話してもらえませんか?」
俺の能力はあまり話したくないが、しょうがない。半分嘘で乗り切ろう。
「わかったよ。俺がやったことは、シンプルだ。灰になっても毒性を維持する毒をもった生き物を、あの木に喰わせたんだ。
虎の子だったんだけどな。あの生き物はそんなに数が多くないから、そう何回も召喚できない。最終手段だったんだ」
俺の本当の能力を教えてやるつもりはない。
この嘘でも信じるしかないだろう。
「そうなんですか。貴重な生き物を犠牲にさせてしまってすみません」
「気にしなくていいよ。生き物はいつか死ぬ。あいつらはそれが今日だっただけだから」
悲しそうに聞こえるように、小さな声で話す。信じてくれたかな?
「私の能力もシンプルよ。毒を潜伏させるだけ」
「だけ、とは?」
「それしかできないという意味ですよ。私は潜伏させた毒を活性化することしかできません」
「2人が協力しないと全く使えない能力なの」
彼女たちが言っている能力がすべて本当だとしたら、恐ろしい力だ。
彼女たちから食べ物をもらうのも、危険かもしれない。もうすでに、俺の中に毒を仕掛けられている可能性もある。
もし、彼女たちの能力が仕掛けられていたら、彼女たちと離れるのは危険か。
彼女の毒の潜伏とやらが、どの程度の範囲で有効な能力かがわからない。
距離や時間で解除されてしまう可能性もある。
毒が仕掛けられてさえいなければ、さっさと別れた方が良さそうだが、どうするか。
まあ今はいいか。
とりあえず話を進めよう。
「話してくれてありがとう。
ところで、村人たちの様子はいいのか?
洗脳が解けているか確認するべきだと思うけど」
「そうですね。
何人か起こして話を聞いてみましょう」
「ちょっと見てくるから、少し待ってて」
久々にこの話を書きました。
色々変なところがあるかもしれません。
おかしなところがあれば、ご報告いただけると幸いです。
遅くなりましたが、お読みいただきありがとうございます。
これからもぜひよろしくお願いします。