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学校制度できる、私塾立命館、そしてフランス留学へ

時は西暦1871年、明治4年…。


この年は廃藩置県が実行され、また日本における近代の学校制度が制定された年。


江戸時代以前は、将軍家や公家、大名家の子息、

幕府や藩の重役となるような家の子息などが英才教育を受け、

また、その家来となる、旗本や藩士などの武士の子息なども、

各藩の学問所などで教育を受けていた。


一方で身分の低い者たちの子息は、寺子屋などで教えを受けているところもあったが、

まだまだ、身分によって学力格差があり、また、識字率(しきじりつ)も低かったという。


とりわけ、女には学問は必要ない、女は家に嫁いで、家事などをして旦那のために尽くせ、などというような風潮が、この時代はまだまだ根強かった。


明治になって、ようやくそんな女子教育にも力を入れようという流れができてきた。そして明治の近代化へと向かっていく時代を生きるにふさわしい後進たちを育成しようという流れになってきていた。


そんな流れに便乗したのか、若き西園寺公望は、許可を取らずに勝手に京都に赴いて、勝手に私塾を開いた。


その私塾こそが、のちの立命館大学となる『私塾立命館』だった。


ところがその『私塾立命館』は、当時の京都府庁の命令によって、強制的に解散させられてしまう。


要するに当時の京都府庁の許可を取らずに、勝手に私塾を開いたことがその理由だと言っていたが、


そもそもなぜ、私塾を開くのに、いちいちそんな、京都府庁の許可など取らねばならないのだ、と、その時は思った。


この時は短期間で解散させられてしまった『私塾立命館』だったが、


この後、公望の秘書官として仕えていた中川小十郎の手によって、


西暦1900年に『京都法政学校』として創設されたのが、のちの立命館大学へとつながっていくのだった。




公望は後進への教育を考えながら、自らも明治近代化の時代にふさわしい人間となるべく、フランスへの留学を考えていた。


しかしなぜ、公望はフランスだったのか。それはご想像に任せるとして、公望の90年にもおよぶその生涯において、様々な人物たちとの出会いと別れは、公望の人生を構築するのにおいて、重要な役割を果たしていた。


公望はよく、様々な分野の人物たちと顔を合わせるのが多かったという。


大村益次郎も、その1人だった。この大村益次郎の推挙によって、公望はフランスへの留学を決めるのだった。




新潟から東京に戻り、京都で私塾立命館を立ち上げたものの短期間で解散させられ、再び東京に戻ってきていた公望は、ある時、呼び出された。


「今度は何だ…?」


公望が行ってみると、そこには、大村益次郎がいた。


しかし、この大村益次郎という人物は、いかつい顔というか、なんと形容したらいいか、うまくは表現できないが、とにかく、一度見たら忘れないというか、とにかく、そんな特徴的な顔をしていたということだけは覚えている。


「西園寺公望か。まあ、話は早い方がいい。

実はな、そなたが前々から希望していた通り、

そなたには、フランスに留学してもらうことが決まった。」


「フランスに…。ついにフランスに留学できることになったのか…?」


「すでに岩倉殿にも話はつけておいてある。

それでな、今度岩倉殿を正使として、『岩倉使節団』を欧米諸国に派遣し、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどを歴訪する運びとあいなったのだ。

その『岩倉使節団』には、多くの若き留学生たちも、留学先に向けて同行するという。

公望にはその留学生の1人として、同行してもらいたいのだ。」


そこまで話をつけてあったか…。となると、早速出立の準備をしなくてはならなくなった。


『岩倉使節団』を派遣した理由としては、1つは幕末に井伊直弼らが締結した不平等条約の改正に向けた交渉にあたること。


もう1つは、日本がこれから近代化を進めるにあたり、どのような国にしていくかを考えるため、各国を歴訪し、それぞれの国の実情や、法律、制度、文化などを学び取ること。


そして、それらをさらに学ばせて、将来の日本の国造りに役立つ人材としていくために、留学生という名目で、各国に人材を派遣すること。


西園寺公望も、そんな留学生の1人として向かったのだった。




そして、その当日を迎えた。公望は横浜の港に向かっていた。



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