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はじめに幕末論

「歴史もの」といえば、やはり「戦国もの」が一番人気があり、知名度のある人物たち、この時代の人物たちにしかないような、魅力のある人物たちが多いというのは、否めない事実である。


しかし、それと並ぶほどの人気と魅力のある時代といえるのが、幕末であるといわれる。


しかし、幕末の人物たちを、大きく分けると、幕末で死んでしまう人物たちと、明治以降まで生き延びて、明治の元勲(げんくん)として君臨したり、その他、明治以降の近代日本の発展のために、様々な形で貢献していくような人物たちとに、分けられる。


幕末の人物たちは、こういう分け方もできるのだが、やはり尊皇攘夷(そんのうじょうい)派と、開国派の幕府という分け方がポピュラーであるということは、これも否めない事実である。

やがて尊皇攘夷(そんのうじょうい)派は、倒幕(とうばく)派として、幕府を倒すために戦い、それに対して旧幕臣の佐幕(さばく)派が、果敢に抵抗する、という構図になる。


結局は薩長連合を中心とした倒幕(とうばく)派が、錦の御旗を掲げて勝利し、その後、明治新政府を旗揚げし、近代日本の建設に貢献していくことになるという構図なのだが、その後新政府の政策に失望し、旧幕府の時代を懐かしむ風潮すらあったという。

そこで明治新政府は、そのような風潮を一掃するため、徳川を徹底的に悪者にするような教育を、行ってきたという。


さて、幕末で死んでいってしまう人物たちには、例えば吉田松陰や、橋本左内などは、安政の大獄で処刑され、それを行った側の井伊直弼も、桜田門外の変で暗殺されてしまうというところから、幕末の物語は始まる。


あとは、長州藩の奇兵隊を率いていた、高杉晋作も、若くして幕末で死んでしまった人物として有名。

しかしなんといっても、最も有名なのは、坂本龍馬で、旧暦の11月15日に中岡慎太郎とともに暗殺されたという話だろう。

新撰組と、白虎隊は、皆ことごとく若くして死んでしまっている。

沖田総司は若くして病死したというし、

近藤勇は捕らえられ、斬首の刑に処せられたという。

土方歳三だけは、函館の五稜郭に逃れたが、戊辰戦争の最後の戦い、五稜郭の戦いで、名誉の戦死を遂げたという。


一方、白虎隊は、会津戦争で敗色濃厚となり、追い詰められ、最終的には飯盛山で20人が自刃し、若い命を散らしたという。


新撰組、白虎隊とも、いずれもただ1人だけが一命をとりとめて生き残り、とりわけ白虎隊は唯一、飯沼貞吉だけが一命をとりとめ、その後、大正や、昭和の初め頃まで生きていたというのも、これも史実という。

ただし、飯沼貞吉は正確には飯盛山で自刃した20人の中では1人だけ生き残ったということであり、他にも幾人か生き残っていた者がいたというが、その悲劇について口を開いたのは晩年の、息を引き取る間際だったという。


幕末の人物たちで、一般的に人気があるのは、なぜか、これらの幕末で若くして死んでしまった人物たちだという。


一方、明治以降まで生き延びた人物たちはどうか。

明治新政府の重鎮たちだけでなく、旧幕臣の中にも、明治以降、大正、昭和の初期まで生き延び、近代日本の発展に大いに貢献した人物たちもいる。


たとえば、第一国立銀行、東京証券取引所、理化学研究所など、数多くの銀行や企業、組織などの設立に携わり、「日本資本主義の父」と呼ばれた、実業家として名を馳せた、渋沢栄一。

1840年生まれ、1931年、昭和6年まで生き、90歳以上まで生きた。


勝海舟は、江戸無血開城を成し遂げた後、1899年、明治32年まで生きた人物。


江戸幕府最後の将軍、徳川慶喜は、大政奉還の後、江戸無血開城によって延命、それ以降は46年にわたる隠居生活を送ったという。

その後、明治35年、1902年に恩赦を与えられ、その後さらに、明治が終わり、大正2年、1913年まで生きたという。享年は77歳。


一方、明治の元勲になった人たち。


西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允は、「明治の三傑」と言われながら、


西郷隆盛はありもしない征韓論を主張したとでっち上げられ、明治政府の役職を辞し、鹿児島に戻り、西南戦争を起こしたという。

明治政府の重要人物でありながら、その明治政府に失望し、明治政府を辞めて、故郷に帰り、反乱を起こした。その真意については、今も議論の的である。

西郷隆盛が西南戦争に敗れ自刃したのと同じ頃に、木戸孝允も病没。

すると、明治政府の中には、「西郷も消えた、木戸も消えた、残るは大久保だ。」という、こんな空気が、流れていた。

そして翌年の大久保利通暗殺事件につながっていくことになるが、後に実行犯は捕らえられ処刑されるが、これは明治政府がメンツを保つため、実行犯に全ての罪をおしつけたとも、実際の実行犯とは何ら関係のない者を処刑した、とも噂されたが、真相は現在に至るまで、定かではないという…。


それから、伊藤博文や、山県有朋、井上馨、松方正義らが台頭してくることになる。


一方、西郷とともに明治政府を辞めた板垣退助は、自由民権運動に邁進していくことになる。


また、大隈重信は、立憲改進党を結成し、早稲田大学の創立にも携わった。


以上、ここまでが、簡単に書いた、自分なりの幕末論である。


一方、幕末の動乱には、朝廷の公家たちも、関わっていた。その中心的存在といえば、なんといっても、岩倉具視だろう。

その公家の名門、西園寺家に生まれ、後に桂太郎とともに「桂園時代」を築き、昭和の戦前には、最後の元老として君臨し、政治を裏で操ることになるのが、今回の主人公、西園寺公望である。


そして今回の物語は、その西園寺公望という人物に転生することになった、現世においてはどうしようもないような不良だった高柳京介(たかやなぎ・きょうすけ)が、どのようにして歴史を動かしていくかという、そういうお話である。

果たして、西園寺公望に転生した高柳京介は、その90歳まで続いていく生涯を、全うすることができるのか…?


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