表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/55

江戸で和宮、篤姫、勝海舟、そして坂本龍馬と出会う!

西園寺公望(さいおんじ・きんもち)たち一行は、寿司屋で江戸前の握り寿司を食べ終え、今度は呉服問屋(ごふくどんや)が立ち並ぶ一角を訪れていた。

そこで見かけたのは、公望(きんもち)たちと同様に、やはりお忍びで江戸の城下を訪れていた、

和宮(かずのみや)と、もう1人の女は篤姫(あつひめ)のようだ。

さらにその付き添いの侍は、あれは、勝海舟(かつ・かいしゅう)か…。

西園寺公望は思わず、声をかけた。


姉様(あねさま)!」


すると、和宮はそれに気付くと同時に、驚きの表情を見せた。


公望(きんもち)…!」

「やっぱりそうだ!姉様(あねさま)だ!それと篤姫(あつひめ)様と、勝海舟(かつ・かいしゅう)殿も!」


西園寺公望とその供の者たち、それと和宮と、篤姫と、勝海舟。

よもやこのようなところで並んで歩くとは、全く思いもしなかった。

そして一同が向かった先は、勝海舟の別邸というところ。

ここで公望と、和宮と、篤姫は談笑することになった。

「なるほどのう、この少年が、西園寺公望(さいおんじ・きんもち)殿と申すのか。和宮がよく話をしていた、噂の少年とは、この西園寺公望(さいおんじ・きんもち)殿であったか。」

まず篤姫が話す。続いて和宮が、

「まあまあ、遠路はるばる、京の都から江戸まで…。

ご苦労様でしたね。もしかして、私に会いにきてくれたのかと、思いましたが。」

「いえいえ、姉様(あねさま)姉様(あねさま)たちにお会いしたのは、本当に単なる偶然でして…。」

「まあ、公望(きんもち)ったら。京の都ではいつも私に甘えていたのですよ。」

そして公望(きんもち)は、和宮のその姿、その顔の表情を見て、いつの間にか思わず見とれてしまっていた。


そこに、とある1人の、ざんぎり頭のような侍が入ってくる。この侍は、どうやら土佐藩から脱藩(だっぱん)して、ここまで来たらしいという。

「お主!ここに勝手に上がりこんで、まずは名を名乗るのが礼儀であろう!」

そう言ったのは公望(きんもち)だった。するとそのざんぎり頭の侍は、その名を名乗ったのだった。

「拙者か?拙者の名は、坂本龍馬(さかもと・りょうま)じゃ!」

あの坂本龍馬が、ここにやってきたのだった。

そしてその坂本龍馬を、出迎えたのは勝海舟であった。この2人、実のところ、師匠と弟子のような関係だという。


「さて、それでは本日の講義を、始めるとするか…。

そちらのお方も、どうぞ。」


なんと、はからずも勝海舟の講義に、西園寺公望も参加することになってしまったのだった…。


まず勝海舟は訪ねる。

「もしも外国と戦になり、外国の軍隊が攻めてきたら、どう対処する?」「むろん、この日本刀で、奴らをたたっ斬る!」

坂本龍馬は意気揚々と解答したが、勝海舟は次の瞬間、拳銃を取り出し、銃口を向ける。

「こうして、銃を向けられてもかね。」

「うっ…!」

そして坂本龍馬は、西園寺公望が持っている西洋風の武器に注目する。そしてこう言い放つ。

「おぬし、おぬしも拳銃を携えておるのか?

そしてその腰に携えている剣は、日本刀ではなく、西洋のサーベルだな。」

そして勝海舟はさらに続けて言い放つ。一見穏やかなように見えて、言っていることははっきりと、筋が通っている。

「日本は四方を海に囲まれておる。そのような東端の小さな島国が、刀一本で西洋の軍艦や大砲を相手に戦えるのか?」

「……。」

「日本にも鉄砲はあるにはあるが、戦国時代の頃に伝わってきたような、火縄銃か、あるいはそれにいくらか改良を加えたという程度のもの。西洋の銃は、昨今開発されたばかりの最新型のものが、次々と出回っておる。

火縄銃とは違い、引き金を引くだけで弾を撃てる。しかも撃つのにそれほど時間はかからない。」「なるほど、ならば我が日本でも、西洋で使われているような、最新型の鉄砲や大砲をつくればよい。」

公望(きんもち)が最新型の鉄砲や大砲の導入を進めるべきと主張。

「たしかにそうだ。しかし今の日本には、そのための技術力も、予算も、そしてそれを整えるための時間もない。

しかしこのままではいずれ、この日本は西洋の国々の、欧米列強の植民地、いや、領土にされてしまう恐れがあるから、だからこのように言っているのだ。

欧米列強は植民地拡大を行う手法として、次に植民地にしようとしている国の、その国内の動乱に便乗して、それにつけこんでその国を植民地、いや領土にしようという、それが一つの手法だという。

我が日本も、幕府だ、攘夷だ、朝廷だと争っているうちに、気がつけば植民地、いや領土にされてしまっているやもしれぬ。」

「……。」

公望(きんもち)にはまだそこのところの事情はよくわからなかった。

ただ、隣にいた坂本龍馬は熱心に聞き入っていたということだけは、覚えていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ