まずは転生理由
高柳京介は、県内でも有数の、不良が集まるような荒れた学校に通っていた。
特に人生に目的意識もなく、高校生でありながら、マージャンをやったり、バイクを乗り回していたりしていた。
「おらおらー!どけどけー!」
ところが、そんな不良生活は突如として、終わりを告げた。
ある日のこと、高柳京介の乗っていたバイクは、いつものように猛スピードで走っていた。
周りの迷惑などかえりみず、猛スピードで、轟音をたてながら、バイクを走らせていた高柳京介。
しかし…!
キキキキキィーッ!
ドガシャーン!
高柳京介のバイクは電柱に激突。よほどスピードを出していたのだろう。明らかに道路交通法違反。高柳京介はそのまま即死だった。
ところが、高柳京介が気がついたのは、見たこともない景色。ここは死後の世界なのか…!
と、次の瞬間、またもや気を失う。そしてまた気がついた時には、今度は赤ん坊の姿になっていた。
そして、その赤ん坊の姿になった高柳京介の前に、今度はその赤ん坊の父親と母親らしき人物たちが現れる。
「おお、美丸や、今日も元気に笑っておるな。」
「本当に、この子はきっと将来、すばらしい人物になるでしょうね。」
どうやら、この赤ん坊の名前は、美丸というらしい。ということは、高柳京介はあのバイク事故で死んだ後に、この美丸として、生まれ変わったということになる。
そしてこの美丸こそが、後の西園寺卿こと、西園寺公望その人であるということなど、その時の高柳京介は、まだ全く知るよしもなかった。
だいたいその、西園寺公望とかいう人物は、誰なんだよ、という程度の認識でしかなかった。
ほんの少し前までは、その西園寺公望という人物の存在すら知らなかった高柳京介が、なんとその西園寺公望に転生して、その長い人生を生きていくということになったのだった…。