〈09〉
ブレードを使った、左右二方向からの同時攻撃。
「クソ……ッ」
右のブレードは光線ソードで軌道をずらして何とか防御出来たが、左のブレードは俺の腹を裂く。
「ほらほら、頑張れよー!」
右、右、左、右、左、右、左、右、右。
俺はブレードによって体の至る所を切り裂かれ、道路を赤く染める。
さっきまでの戦闘もあいまって、道路はレッドカーペットを敷いたみたいに一面真っ赤になっている。
「……芍薬!そろそろ交代したいんだけど!」
相手が近距離で戦うつもりなら、俺に勝ち目は一切ない。
というか遠距離でも、光弾じゃなくてビームだったら打ち返せないから詰む。
こんなあまりにも勝ち目が無い戦闘をいい加減やめたくなってきたので、俺は芍薬に提案する。
「あ、ゴメン。今イベントクエスト回してる」
「オイてめえ」
ふざけやがってコンチクショウ。
何で友人が切り裂かれている時にゲームしてるんだよアイツ。
こちとら再生が追いつかないレベルの多量出血で倒れかけてんだよ。
「自分だけで何とかしろよ。男だろ?」
「ファック!!」
この状況に対しての不満をこめて、光線ソードを闇雲に振る。
それを後ろへ大きくジャンプして躱す宇宙人。
「……よし」
俺も二、三歩後ろへ下がる。
──コイツの行動パターンから考えて、次は猛スピードで俺に接近し、近距離攻撃を叩き込むはずだ。
俺は光線ソードを左手で持ち、地面と水平になるように構える。
右手は狙いを定めるために、光線ソードの近くに突き出す。
「ぎゃははははは!」
遠くにいる宇宙人が、視界から消える。
───今だ!
「がとつうううう!!!!」
俺は全力で左手による突きを繰り出す。
────さて、ここで状況確認だ。
宇宙人は超スピードで俺に近づいている。
そして、俺は宇宙人がすぐそばにまで来るだろうタイミングに合わせて突きを出している。
しかし、いくらタイミングを合わせたからといっても、相手は超が付く身体能力の持ち主。
おそらく躱されて、反撃を食らうだろう。
「うおっ……血が……!」
────地面の血で、転ばなかったらな。
「喰らいやがれえええ!!!!」
俺は宇宙人の腹に、光線ソードを刺した。