表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファミリアヒーロー  作者: ミシャクジ
未知との遭遇
8/22

〈08〉

「かははははははははははは!!!!」


「ぎゃはははははははははは!!!!」


瞳を輝かせながら、自慢の拳で殴り合う二人。


うわー……ホントに俺要らねえじゃん。


つーか入る余地がねえ。なんで殴った箇所から爆発音みたいな音が出るんだよ。俺が殴られたら多分、その箇所が消し飛ぶよね?


でも途中で帰るのはなあ……アイツの正体も気になるし……あ、そうだ。


暇なので、光線ソードでバッティングフォームを鍛えよう。これなら筋肉痛にならないし。


来週、学校で野球のテストがあるのよね。


俺は足を少し広げて、光線ソードを構える。


そして腰から上を捻るようにして、光線ソードを思いきり振る。


光線ソードはぶおん、という音を出しながら中々綺麗な弧を描いた。


「……もっと手首を使ったほうが良いか?」


自問しながら、俺は再びバッティングフォームを構える。


「おい!ちょっと代われ!」


すると突然、背中を何者かに押された。


声とセリフからして、芍薬だろう。


「うおっ……!」


突然の事だったので、前のめりにつまづく。


「……っと。おい芍薬、何しやが──」


体勢を立て直しつつ、俺を押した張本人に注意をしようとした瞬間──


あたりが暗闇に包まれる。


──が、それは一瞬の内に元の光景に戻る。


「……ふぅ。俺じゃなきゃ死んでたぞ。芍薬」


一瞬の暗転。


その理由は、宇宙人による光弾で俺の頭部が吹き飛ばされたからだ。


頭部が無ければ、何も見えない。


実に単純な理屈である。


「死なねーから一緒に戦ってんだろ?」


意識が無くなると、俺の体は自動的に再生する。


だから頭部が無くなっても、俺は復活できるのだ。


このオート再生のせいで、頭部が無くなった時に死んだふりが出来ないのがたまにキズだ。


「え?俺ってまだ参加してんの?つーか俺要らなくない?」


「あ?いるに決まってんだろ」


「マジか。で?俺は何すれば良いの?」


必要とされるなら、俺は全力でそれに応えよう。


レディの頼みは断れないぜ。


「LINE来たから、ちょっと時間稼いでて」


芍薬はそう言って、近くの家の屋根までジャンプした。


……は?


「信じられねえ!!」


心の叫びを芍薬へ実際に出して、俺は正面を向く。


すると数歩ほど先に、ギザギザな歯をむき出しにして笑っている宇宙人が立っていた。


「…………よお、元気?」


何故か無反応。


俺は挫けずに話しかける。


「なあ、お前も休憩したらど──」


休憩したらどうよ?


そう言い切る前に、俺の頭部はサヨナラした。


「休憩?そんな勿体無いこと出来ねえな!!」


宇宙人は瞬間移動したかのようなスピードで俺のすぐそばまで接近し、腕のブレードで俺を切りつけようとする。


「さいですか!!」


俺はその行動を読んでいたので、目の前で光線ソードを回してそれを防御。


超近距離を仕掛けたがる、というアイツの性格はすでにわかっている。


「意外と良いセンスしてるじゃねえか人間!!」


「そりゃ何回かこういう経験をしたことがあるからな!!」


俺は宇宙人と距離を取る。


近距離でアイツに勝つのはまず無理だ。


「そうか……じゃあこれはどうだ!!」


宇宙人から出された光の球が俺に迫る。


──それも想定内だ。


「二度は喰らわねえよ」


俺は光線ソードを持って、バッティングフォームを構える。


「ピッチャー返しだ!!」


そして光線ソードを使って、光弾を宇宙人にむけて弾く。


「────!」


それが予想外だったらしく、宇宙人は自分の攻撃をモロに食らう。


──俺の攻撃が効かないのなら、相手の攻撃を当てれば良い。


これ、戦闘の基本ネ。


「来いよ宇宙人、今度はホームランしてやるぜ!」


なんて出来るかどうかわからない事を言って、宇宙人を挑発する。


さて、これで光弾を連発してくれたら良いんだが……。


「ぎゃははは!!やっぱ面白いなお前!!」


宇宙人はそう笑いながら言って、俺のそばまで瞬間移動する。


ああ、クソ!!


「じゃあ次は、ブレード攻撃を何とかしてみろよ人間!」


「……ああ、やってやるぜ!」


そんなハッタリをかまして、俺は再び宇宙人とチャンバラを始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ