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ファミリアヒーロー  作者: ミシャクジ
未知との遭遇
6/22

〈06〉

「テ、テメェ……!!何……ごふっ……しやがった……それに……腕が……!!」


彼女は俺に訊く。


胸に穴が空いてても喋れるあたり、流石宇宙人と言いたいが、かなりのダメージらしく喋るのがとても辛そうだ。


「お前に切られた右腕を、引き寄せた。お前を貫通するほどのスピードでな」


実は、俺は普通の人間ではない。


「俺はな、身体を自由に再生出来るんだよ。様々な方法でな」


今回みたいなパーツの一部が取れた場合だと、切れた所をくっ付けて再生するパターンと、新しく生やすパターンの二つだ。


「今回はくっ付けて再生するパターンを選んだワケよ」


因みに、いらなくなったパーツは蒸発させて無くすことも可能。


クリーンだね。


「さらにパーツをくっ付ける時に、わざわざパーツを取りに行かなくてもいい」


理屈はよくわからんが、くっ付ける再生の時に、パーツを磁石のように引き寄せられるのだ。


俺は、この引き寄せる力を利用した。


「かなり便利な能力だろう?」


俺は、彼女から光線ソードを取り返すついでに、自慢するように言った。


ダメージのせいなのか、彼女の手には力が入れられてなかったので、すんなり奪い返せた。


彼女は攻撃もしてこない。


「人間ならそのダメージで死ぬが、お前は宇宙人だからな」


そう言いながら、彼女の前で光線ソードを振り回して遊ぶ。


ビームなので、重さが全然無い。


かがくのちからってすげー!


「俺は臆病なんでね、頭部を切らせてもらうぜ」


俺はそう言って、光線ソードを構える。


そして、光線ソードを思いきり振ろうとしたとき。


「ガアアアアアアアーーーッ!!!!」


彼女は吼える。


「うお……ッ!」


咆哮の勢いは脅威的で、俺は少し怯む。


「ぎゃははははははははははははははははははははは!!!面白い!実に面白い!やりやがったな人間!」


あれ?さっきガフゴフしてたよね?何でそんな流暢に喋ってんの?


「ぎゃははははははははは!胸にポッカリ穴が空いたぜ!超スースーする!ぎゃはははははは!」


やはり、頭部を破壊しないと駄目らしい。


彼女の頭部を真っ二つに切るため、再度彼女にフルスイングしようと思った時。


「あーあ、元に戻らないと駄目だな、うん」


彼女は面倒くさそうにそう言ったあと、彼女は崩壊した。


比喩ではなく、本当の意味で崩壊した。


グズグズに崩れて、ドロドロに溶けて、肌色の液体になった。


液体はセーラー服をジュワジュワと溶かし、色を肌色から銀色に変化させる。


「まさか……変身する感じ?」


俺は急いで彼女だったモノを光線ソードで焼き切る。


何度も何度も切る。


だが、いくら切っても無駄らしく、どんどん彼女の新しい身体が作られていく。


以前よりさらに細い、小枝のような足が出来上がる。


試しに足を切っても、すぐにくっつくので意味が無い。


「変身完了まで待つしかないのか……クソッタレ」


仕方ないので、変身が完了するまで待つ。


腰、胴、腕、と出来上がる。


全て、足と同様に細い。


見た目は以前と同じ人型。


だが以前とは大きく違う点が二つある。


肌の色と、腕に付いてるカマキリのようなブレード。


腕に厄介なモノがついたな……。


引き続き彼女の変身を見守る。


ついに、頭部が作られる。


人間とは違う、細長い頭部が。


鼻が無くなり、目は六つに増え、口はパックリと裂けている。


いかにも宇宙人らしい、人間離れした外見だ。


「ふぅ……待たせたな、人間」


「待ちくたびれたぜ、宇宙人」


声は以前と変わらない、女性の声。


あ、そこは変わらないんだ。


ちょっと期待はずれ。


「……なあ、宇宙人。もしかしてまだバトる?」


「当然だろ?本気でバトるために本来の姿に戻ったんだから」


「本気でってことは、さっきよりも強くなってる?」


「そうに決まってんだろ?ぎゃははは!」


彼女は例の耳に残る笑い声と共に、そう言った。


ふざけんなコノヤロウ。


「じゃあ早速、バトろうぜ」


一瞬で彼女は肉薄し、ブレードで俺を切ろうとする。


「……ッ!」


なんとか光線ソードで応戦。


オイマジかそのブレード光線ソードで焼き切れないのかオイマジか。


「ぎゃはははははは!」


宇宙人はブレードで光線ソードを弾き、再び俺を襲ってくる。


ブレードが何度も俺を切ろうとする。


「……ッ!……!」


全て弾き返せず、幾つかは俺の身体を切る。


まあ、切られても再生すれば良いだけなんですがね。


「俺のオハコと行きますか……!」


俺は、奴のスタミナ切れを狙う。


こうやって戦っていれば、相手はいつか疲れるはずだ。


俺には再生能力があるから、スタミナに関しては気にしなくていいのよ。


しばらくチャンバラが続く。


「ちょっと飽きてきたな……」


三分程経った時、宇宙人はそう言ってアッパーをするように両腕のブレードを振り上げる。


「うおっ……!」


光線ソードが思いきり上へ弾かれる。


やべぇ……!!


「ぎゃははは!」


彼女は笑ったあと、口から何かを出すように、大きく開けた。


「ご……ッ!」


俺の腹が、光の柱によって消滅する。


「ぎゃははは!口からビーム!ぎゃはははははは!」


ビーム出せんのかよ……。


俺はすぐに再生し、今度こそ宇宙人を光線ソードで一刀両断しようとするが、宇宙人が再びビームを出して俺の腹部を消し飛ばす。


切ろうにも腹部が無いので、身体のバランスがうまく取れなくて切れない。


何度も腹を消し飛ばされ、ついには光線ソードを落としてしまう。


「くそっ……」


「ぎゃはははははは!」


宇宙人のビームは衰える気配が無い。


……アレ?コレ詰みじゃね?


決して負けないけど、決して勝てない。


くそっ……どうすりゃいいんだ……?


──そう思った時。


俺と宇宙人のすぐ近くに、彗星の如く何かが降ってきた。


「えっ……?」


「あん?」


何かのおかげでビームが止まったので、俺は急いで剣を拾い、後ろへ数歩下がる。


「すまん、遅くなった」


降ってきた何かは、そう言った。


──聞き覚えのある声。


「遅すぎだろ、全く」


俺は彼女に言う。


「かはは。まあ、ヒーローは遅れてやってくるって言うし?」


「別に遅れるのは構わんが、次回からはもうちょっと早く来てくれ────芍薬」


「おう、気をつける。……ってなわけで!おいっす!宇宙人!バトろうぜ!」


芍薬牡丹、参戦。

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