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ファミリアヒーロー  作者: ミシャクジ
未知との遭遇
2/22

〈02〉

時間は少し飛び、午前8時過ぎ。


「着いたな」


「おっ、もう教室か!」


俺たちは教室へ着く。


各々の席に座り、芍薬は自分の席の近くに居るクラスメートと会話をし始め、俺は1人で自分の席で携帯をいじる。


芍薬とは席が離れているので、朝の会話は教室へ着いたらだいたい終了するのだ。


俺もいつもなら、テキトーに会話の輪に入ったり入られたりするのだが、今日はちょっと違う。


そろそろアイツが教室に来る時間なんだが……。


ガラガラと教室のドアが開かれる。


俺が携帯いじりに飽きてきた頃に、彼は教室に現れた。


「よう、千兵衛」


「ふむ、サスケか。おはよう」


天馬てんま 千兵衛せんべい


中学からの俺の親友。


こげ茶色の癖っ毛と、黄緑色の瞳がトレードマーク。


機械いじりが得意で、いつも何だかよくわからない発明品を作ってる。


家にいるメイドロボが可愛い。


そんな彼に、俺は話しかける。


「ほい、これ」


そう言って、学生鞄の中から朝に読んでいた漫画を差し出す。


「ふむ!例の漫画か!」


やや興奮気味に喋る千兵衛。


「最新巻も最高だったぜ、特に妹とデートする回。あの回は全ページ切り取って部屋に飾りたいレベルだ!」


俺は深刻なネタバレにならない程度の内容を話す。


「妹とデートだと!?今日の夕食は赤飯に決定だな!!」


俺も昨日は赤飯だった。


「返すのはいつでもいいぞ」


そう言いながら俺はバイブルを渡す。


「毎度、本当に感謝する」


「まあ、俺もお前に色々借りたりするしお互い様だ……さて、話は変わるがこの間借りた『もぎたてフレッシュ!ピチピチガール』を昨日読み終えたぜ」


説明しよう。『もぎたてフレッシュ!ピチピチガール』とは、水着姿の女の子達を集めたちょっとエッチな写真集のことである。


ビキニ、マイクロビキニ、チューブトップ、タンキニ、サロペット、上下別、ラッシュガード、パレオ、スリングショット、葉っぱ、貝殻、生クリーム、スクール水着、あぶないみずぎ、etc……。


あらゆる水着を網羅した写真集。


あの写真集に無い水着はあるだろうか、いや無い。


水着系写真集の、アブソリュートなハイエンド。


唯一の欠点は、ページ数が多過ぎる点か。たしか三千ページだっけ?


「ふむ、アレは俺のお宝本達の中でもトップクラスのお気に入りだ」


千兵衛が自慢気に言う。


うん、あの本なら家の家宝にしても良いと思う。


「そんなわけで、明日返すよ」


「ふむ、わかった。明日は鞄を空けとこう」


ぶ厚いから、空けとかないとね。


「ああ、それと──」


俺は話を続ける。


千兵衛が前、俺が後ろ、という席順でコイツとは席が隣りだ。


お互い暇なので、朝のホームルームが始まるまで、しばらく水着について会話する。


「やっぱりさ、俺は機能性とエロさを兼ね備えたスクール水着こそ至高だとおもうのよ」


「ふむ、お前の言ってることは良くわかる。今すぐお前とハイタッチしたいほどにな」


俺達はハイタッチをする。


「だがな、最近の俺のトレンドは葉っぱ水着なのだ!」


彼は葉っぱ水着について語る。


「葉っぱ、というと?」


「葉っぱ水着。それは水着界の中で、ナンバーワンといっても過言ではないワイルドさ」


「ふむ」


「───そして、自由度の高さ」


「ほう」


「葉柄の部分を結んで作るのもよし、葉身の部分を結んで作るのもし、小さい葉っぱを乳首に添えるだけなのも風情があってよし」


最後のは水着とカウントして良いのだろうか。


「つまり、葉っぱ水着は普通の水着以上に個性が出るものなのだ!」


「おお……」


千兵衛の力説に心が揺れ始める。


「さらに!!葉っぱ水着には『いやーん水着の中に虫が入ってるー』シチュがあるのだ!普通の水着にはない!」


「おお!」


「以上の理由から、俺は葉っぱ水着を推すね」


やはりコイツは天才だったか……。


そんな話をしてると、教室のスピーカーからチャイムが鳴った。


む、もうそんな時間か。


もうすぐ、朝のホームルームが始まる。


俺たちは会話をやめ、ホームルームの準備をする。


葉っぱ水着……いいな!

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