表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファミリアヒーロー  作者: ミシャクジ
狂気沈殿
19/22

〈04〉

まあ、そんなこんなで俺たちは学校へ到着し、教室にいる。


……のだが。


「ねえサスケ君。今日は保健室のベッドで一日中保健体育の実技をしましょう?」


「俺は保健室には三年間行かないって決めている」


「じゃあ屋上で……」


「ウチ、屋上閉まってるよな?」


「むぅー……」


彼女のキャラが変わらない。


というか、ギアが上がった気がする。


……ここで現在の状況説明。


俺はいつも通り、自分の教室の、自分の席に座っている。


じゃあ、結依ちゃんはと言うと……。


「なあ結依ちゃん、膝上からどいてくれないか?」


「やだ。保健体育してくれないとやだ」


俺の膝上に座っているのだ。


しかも、俺と向かい合うようにして。


いやあ、ビックリしたぜ。俺が座って椅子を引こうと思った時には、もう膝上に居たもん。彼女は時を止めるスタンドでも持っているのか?


ちなみに、彼女が膝上に座ってから五分ほど時間が経っている。


あの……そろそろ……。


「足が痺れてきたんだが?」


「じゃあ、私がサスケ君の足になるよ」


やべえよ彼女。何のためらいもなく発言したよ。


まあ、今日は早めに登校したので、幸い教室には数人しかクラスメートが居ない……もちろん、誰も助けてくれないし話しかけてこないが。


お前ら……いつか仲良くなったら、上履きの中に豚汁入れてやるからな。覚えとけ。


「あー、トイレ行きたんだけど」


「私が貴方の便器になるよ」


「その発言は色々と危ない!!」


とにかく、彼女は何が何でもどかないつもりらしい。


うーん……どうしたものか……。


────正直に言おう。


実は、さっきから勃起しそうなのだ。


女の子が向かい合うようにして膝上に居るんだぞ!興奮しないわけがなかろう!


だが、ここで勃起したら保健室エンドまっしぐら。これからの高校生活を考えて、それは避けたい。


「なあ結依ちゃん。提案がある」


「……何?」


「どいてくれたら、食堂で何か奢ろう」


「却下です」


駄目か……芍薬だったら何とかなったんだが。


「じゃあこの、本屋のサービス券をプレゼント」


「私も一昨日貰ったわ」


「そうだった……同じ商品買ってたんだ……」


俺はポケットの中を確認したが、特に良い物を見つけ出せなかった。


物で釣る作戦は駄目だ、次行こう。


「俺ってさ、控えめな女の子が好きなんだよなー。ドラクエでもフローラ派なんだよなー」


もちろん嘘である。


明るくて積極的で、ちょっと痛い性格の女の子が好きだ。あと俺はビアンカ派だ。


「でもこのあいだ、『月刊 発情乙女迷宮〜ドスケベラビリンス〜』って雑誌……」


「ああああああああーーっ!ストップ!嘘!実は積極的な娘が好き!ビアンカ派!」


結依ちゃんは慌てる俺を見て、そうよね、私のサーチ不足かと思って不安になっちゃった、と言いながら笑みを浮かべる。


クソ、心を揺さぶる作戦も駄目か。


一体、どうすれば彼女はどいてくれるんだ?


……多分、俺はあと数十秒で、勃起してしまうだろう。


嗚呼、神はそこまで俺を退学させたいのか。


おい神、今度お賽銭箱に、とんでもない本を大量に入れてやるからな!プレデターみたいな奴しか居ない本だからな!


「おはようサスケ……ふむ、挨拶するのは野暮だったか?」


──なんて神に復讐を誓っていた、その時だった。


ほぼ毎日聞いている、なんとなく気だるそうな声が俺の耳に入る。


俺はすぐに横を向き、彼の姿を見た。


海藻のようにうねっている髪の毛、消費期限の過ぎたカフェオレのようにどんよりした目。


やはり、彼である。


「いや、むしろ挨拶して欲しかったぜ。千兵衛」


俺の親友、天馬千兵衛の登場だァーーッ!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ