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ファミリアヒーロー  作者: ミシャクジ
狂気沈殿
18/22

〈03〉

俺たちは楽しく談笑しながら、通学路を歩く。


「ねえサスケ君、一昨日の午後七時五十七分二十三秒ごろに『全国素人女子高生大図鑑(改訂版)』って本を買ったでしょ?」


「なんで秒単位まで知ってるんだ?俺も知らないことだよ?」


「私もその本を買ったんだけど……サスケ君はどの娘が一番良かったの?」


こんな感じに、会話の主導権が一切ねえけどな!


さっきから、結依ちゃんが質問して俺が答える形ばかりだ。


なので俺は彼女に対して、たった一つしか情報を得られてない。


……話を聞いた限り、この子は定期的に俺をストーキングしてるっぽいのだ。


さっき結依ちゃんが『ゴメンねサスケ君!昨日は用事があって貴方の後を追えなかったの!』とか言ってたし。


……あれ?もしかして彼女、ヤバい子?


「えーっと……ほら、黒髪ロングの一ヶ所だけ紅いメッシュを入れてる、目が碧とエメラルドグリーンのオッドアイだった娘、居たよな?」


まあ、俺はストーキングされてるからといって、女の子を遠ざけるような真似はしなくない。


とにかく今は、美少女との会話を楽しもうじゃねえか。


「ああ、七十二ページ目の娘ね。サスケ君はああいうタイプが好みなの?」


結依ちゃんはサラリと答える。


すげえ、俺より読み込んでるぞ。


「おう。今の俺の中のトレンドが、ちょっとミステリアス系女子なんだよ」


さらに具体的に言うと、ちょっと痛い感じの女の子。


俺の周りには、そういう子が居ないんでな。憧れてるんだよ。


「なるほどなるほどなるほどなるほどなるほど。つまり私はサスケ君のストライクゾーンなんだね!」


結依ちゃんは謎の結論を出した後、ふんすと鼻を鳴らす。


その鼻息が耳元に当たり、危うく俺の最後の砦が崩れかける。


……学校までもつか?


リビドーに身を任せるとか言ったけど、犯罪はいけないと思う俺なのだ。


「いや……アウトではなんだけど、ストライクでもないと言いますか……」


なんだろう……大リーグボール二号って感じ?


「へえ……」


曖昧な俺の返答だったが、結依ちゃんが納得したみたいなので、俺はこれ以上何も言わないことにしよう。


俺は今、女の子の感触に集中したい。


──とくに、めちゃくちゃ柔らかい二つの感触をな!


……これは……Bカップか……?


「…………」


「…………」


無言で三分ほど感触を楽しんだ俺は、彼女を横目でチラリと見た。


俺がフィーバータイムしていた間、結依ちゃんは一切言葉を発さなかったので、ちょっと彼女が心配になったのだ。


彼女はモグモグと口を動かしながら、前を向いていた。


あ、なんだ、何か食べてたから静かだったのね。


「なあ結依ちゃん。お菓子まだある?」


結依ちゃんを見て、俺も何か食べたくなってきた。


今日は朝飯を抜いて来たから、ちょっと腹を満たしたい。


「え?お菓子?……持ってないよ?私って食べ物は携帯しない主義だし」


女の子に集かるのは、紳士として如何なものか?と思っていたら、予想外な返答が返ってきた。


「じゃあ、結依ちゃんの口に入っているのは?」


……まさか、空気を食べているのか?


「ああ、これ?」


結依ちゃんは上半身と両腕を解き、ほんの少し距離を離してから、俺のほうへ向いて口を開いた。


ああ……おっぱいが……。


俺は少し、哀しい気持ちになる。


「……ん?何もねえな」


彼女の口内を隅々までよく観察したが、食べ物らしきものが何も見当たらない。


「えー?ちゃんとあったよ?」


そう言って結依ちゃんは口を閉じる。


彼女から意地悪をしている印象は、特にうけない。


……え、マジに空気食べてるパターン?


「もしかして……空気を食べてるとか?」


「うふふ!違うよ!」


空気じゃない……?


「……一体、何を食ってるんだ?」


「サスケ君の抜け毛」


オゥ…………。

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