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ファミリアヒーロー  作者: ミシャクジ
狂気沈殿
16/22

〈01〉

ぷしゅう、という音を立てて電車の扉が開き、俺はいつも通りに駅へ降りる。


そして朝特有の、憂鬱な気分と愉快な気分が入り混じった、何とも言い難い気分を味わいながら俺は改札口へと歩く。


あー……また一日が始まりやがりましたよ。


俺はよくいるラノベ主人公のように、日々に対して退屈してはいない。


むしろ最高に楽しんでいる。


芍薬牡丹や天馬千兵衛みたいな、超を幾ら付けても足りない変人達と仲良くしているからな。


アイツらと一緒に居ると、毎日が充実するよ。


定期的に頭部が吹き飛ぶけど。


……まあ、そんな訳で日々をエンジョイしているんだが、俺の青春には一つ足りない物がある。


────それは、恋だ。


思春期の男子と女子が、時に甘くて時に切ない気持ちになりながら、お互いの心を近づける……みたいなさ!


甘酸っぱい思い出の日々が無いんだよ!


……え?芍薬?


…………あの………………彼女はちょっと……こう……戦闘民族すぎて…………恋という概念を知らないんですよ……はい…………。


まあそれは置いといて、とにかく俺はラブコメがしたいのだ。


だが悲しいかな、何故だか俺は女っ気が無く、芍薬以外の女の子との交流をあまり深められていない。


強いて言えば、芍薬の妹さんと千兵衛のメカ少女達ぐらい。


あ、宇治原はノーカンです。


……おかしいな。


中学生の時は女の子とそれなりに会話してたんだけどなあ……どんな娘と会話したかは忘れたが。


「寂しい高校生活だ……」


俺は悲しみを吐いた息に乗せるように呟きながら、学校からの最寄駅である誤差夢ごさむ駅から出て、学校へと向かう。


……さて、誤差夢について説明をしよう。


誤差夢は海沿いにある町で、大きな港による貿易が盛んだ。


なので海外の文化がかなり浸透しており、建物もレンガ造りが多いし、美味い洋食の料理店が沢山ある。


栄えているのは駅と港周辺のみで、そこら以外の地域はアパート街が多い。


そしてちょうど駅と港の間に、俺が通っている魔辺流まべる高校がある。


……そこ、DCなのに魔辺流?とか言わない!


学生は大体、色んな店がある駅か港の周辺で買い食いをしたり、寄り道をする。


名物はコウモリクッキー。何故コウモリなのかは知らん。


以上が誤差夢の説明。


……今はそんな事より、俺の高校生活についてだ。


これだけは千兵衛の助けを借りられんな。


もし頼ったとしても、『ふむ。俺には紹介できるような女性が居ないので、お前の心を満たせるような美少女ロボをつくろう』とか言いそうだし。


芍薬は……女の子とか紹介してくれそうだが……ほら?類は友を呼ぶっていうじゃん?


宇治原は……うーん……会う度に正気度を下げてくる娘を紹介されてもな……。


クラスメートに紹介してくれそうな奴は…………居ないか。


……あれ?チェックメイトじゃん。


どうやら俺は、普通で生身な女の子とメモリあえない運命ディスティニーにあるらしい。


「……あれ?」


いつの間に欠伸をしていたらしく、俺の頬には涙が伝っていた。


俺は指で涙をぬぐい、しっかりと集中前方へして、具体的には自分の高校生活など考えられないくらい集中して、力強く歩く。


すると、後方から──


「ねえサスケ君!結婚しよ!」


──突然、プロポーズされた。

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