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ファミリアヒーロー  作者: ミシャクジ
未知との遭遇
12/22

〈12〉

「つーわけで、行くぜ!」


そう言ったと俺が認識した時には、すでに芍薬は宇治原のすぐそばに居て、アイツを殴ろうとしていた。


……速え。


「…………!」


宇治原は体を横にずらしてよける。


そして反撃の拳を芍薬に向ける。


が、しかし。


「はい!!」


芍薬の元へたどり着く前に、芍薬による第二の拳が宇治原の頬を殴り抜ける。


「はいはいはい!!」


殴った拳での裏拳、もう一つの拳でのアッパー、からの中段蹴り。


非常に荒々しいが、全て繋がっている攻撃。


それらをくらって、宇治原は後方へ十メートルほど飛ぶ。


「かーっはっはっ!!」


芍薬は高笑いしながら、宇治原の元へゆっくり近づく。


「クソッ……!」


宇治原はバク転をして体勢を直し、悪態をついてから、口を大きく開いた。


「とっておき!」


宇治原はそう言って、口から光の柱を出した。


──俺の時より、二倍くらいデカい光線だ。


「芍薬!!よけろ!!」


流石の芍薬でも、あの光線をくらったら大きなダメージを受けるだろう。


そう思い、俺は警告する。


「嫌だね!!」


が、相手は芍薬牡丹。


俺の警告を真っ向から無視して、その場から一歩も動かない。


というか、腕を組んで仁王立ちしている。


もう嫌だアイツ。


「芍や──うおっ!」


俺が再び警告しようとした時に、光線は芍薬を飲み込む。


光線は想像以上に太く、よけなかったら巻き添えをくらうところだった。


……あ、ゴメン、今の嘘。


右腕の肘から下が無くなってたわ。


俺は即座に右腕を再生する。


痛みが来る前に再生すれば、痛みを感じないのよん。


なんて頭の中で説明しているうちに、光線は姿を消していた。


「……で?早く見してくれよ、とっておきを」


──無傷の芍薬を残して。


芍薬はまるで何事も無かったかのように、再び歩き始める。


ダメージの痕跡が服にさえない。


……彼女は未来から送られてきたロボットか何かだろうか。


「マジかよ……!」


一方、宇治原は顔に焦りの色を見せながら、ジリジリと後退していた。


「私ってさ」


動揺している宇治原に、芍薬は話しかける。


「下校途中にさ、よく路地裏とかで色んな奴とバトるのよ。楽しいから」


いかにも自然な風に、おかしな事を語る。


買い食い感覚でバトんなよ。


「それでよ、やっぱりお前みたいにビーム打つ奴も結構居るんだわ」


マジかよ。


俺の周りには居ねえぞ。


「いつも危ねえなって思って回避してたんだけど、ある日避けられない状況で撃たれちゃったのよ」


お前にも避けられない攻撃ってあるんだな、というツッコミを我慢して俺は芍薬の話を聞く。


「それで私はダメ元で、サスケに見してもらった漫画に出てきた、ある技の真似をしようと思ったのよ」


俺が芍薬に見した漫画……?


「こう、ばっ!!……って感じに気合いを飛ばして、敵の光線をかき消す技」


芍薬は片手を横に突き出し、そこから何か透明な物を勢いよく出して塀を壊す。


あー、あの七つのドラゴンなボールを集める漫画ね。


……いやオイ待て。


「塀、壊すなよ」


なんで出せんだよとか、出し方を教えてくれとか、色々言いたかったが、とりあえず塀を壊したことを突っ込む。


「かはは、スマンスマン……てなわけで、私はアンタの光線をかき消したわけだ」


芍薬は心ない謝罪をして、その場に立ち止まる。


……塀は千兵衛に何とかしてもらおう。


「……さて、ソラ」


名前を呼ばれて、宇治原も後退を辞める。


「降参するなら今だぜ?」


「断わる」


即答だった。


「……いやあ、私、地球人ナメてたわ。地球人がここまで強いなんて聞いてないぜ。ぎゃはは!」


宇治原は後頭部を掻きながら、感想を言う。


いや、芍薬を基準にしないでくれ。


俺は後で宇治原へ、地球人について詳しく説明しようと決意した。


「だから──」


宇治原は、芍薬の元へ歩く。


ゆったりと、余裕を持って。


「──私も、本気で行かせてもらうわ」


お前ら、最初から本気出せよ。

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