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ファミリアヒーロー  作者: ミシャクジ
未知との遭遇
10/22

〈10〉

「うおっ……」


外の血が入ってくる何とも形容し難い感覚と、皮膚を裂かれる痛みが俺を襲う。


気分は最悪だ。


「……っふう。作戦成功だぜ」


しかし、それもすぐに終わった。


……さて、この作戦の概要を説明しようか。


まずチャンバラをして、アスファルト舗装の道路に大量の血を染み込ませる。


血が充分にアスファルトへ溜まったら、宇宙人が俺から一旦離れるように誘導する。


そして宇宙人が再び接近した時に、俺はアスファルトの血を超スピードで再生させる。


この時、血を相手の足に当てて再生したのだ。


要するに、血の再生を利用して宇宙人を転ばしたのである。


因みに、作戦のソースは彼岸島。


彼岸島のアレに、俺流のアレンジを加えたのである。


「はっはっはっ!!油断したな宇宙人め!!」


俺は光線ソードの刃を消して、自慢げにそう言った。


……もちろんこれはハッタリで、正直これはかなり成功率が低い作戦だった。


宇宙人が一旦離れる可能性はかなり低かったし、再生スピードの調整を上手く出来るかどうかわからなかったし、宇宙人がその程度の要因で転んでくれるかわからなかったし、そもそも出血した血を再生するって行為が初めてだったし。


挙げればキリが無い。


「────っそう!!くそう!!悔しい!!私は悔しい!!」


俺が考えにふけっていると、いきなり宇宙人は大声を出した。


その顔には、悔しさだけでなく嬉しさも見える。


あ、やっぱコイツ芍薬と同じタイプだ。


……それなら。


「二度も腹に穴を開けられた!!ぎゃはははははははは!!!!……っぬん!!」


宇宙人は突然笑い出したかと思えば、突然体を力ませた。


忙しい奴だな。


何?第二形態とかあるの?ミルドラースなの?


「───っうう……ハア……ハア…………うしっ!!」


なんて心の中で突っ込んでいる間に、宇宙人は腹を再生していた。


……あれえ?


そういえば俺、さっきアイツの腹に風穴開けたけど再生されたよね。


………………大事な事を忘れてた。


「安心しろ、人間。私はお前みたいに何度も再生できん。一日三回までだ」


不安が顔に出ていたらしく、宇宙人が説明してくれる。


あ、そうなんだ。


「えっと……俺に二回使ったから、あと一回か?」


「そうだな」


「よし、じゃあ……芍薬!!」


ブッダフェイスも三度までと言うし、そろそろ交代して貰おう。


「わかってるさね!!」


芍薬は屋根から大きく跳び上がり、空中で何度も回転してから俺のそばに降りてきた。


いちいち行動がカッコいいなオイ。


「ナイスファイトだったぜ、サスケ」


芍薬は爽やかな笑顔でそう言って、優しく俺の肩を叩く。


「そうか。じゃあ後は頼んだわ」


なんて言い返して、俺は照れ隠しのために後ずさる。


「おう。任せろ、サスケ」


芍薬は片手を少し上げて、そう答えた。


やだ……イケメン……!


「ぎゃははははは!やっとお前の番か!女!」


俺たちを待ってくれてたのか、ちょうど良いタイミングで宇宙人が芍薬に話しかけた。


「そうだ。やっぱり楽しみは最後にとっておきたいだろ?」


「ぎゃははははは!!そりゃそうだな!!」


「ああ……あ、そうだ宇宙人、ちょっと質問したいんだけど」


芍薬はふと何か思い出したらしく、改めて宇宙人を呼ぶ。


「あ?」


「お前に攫われた人って、何処に居るの?」


お、いいこと言った。


これで宇宙人が場所をゲロってくれれば、二人が戦闘をしてる間に俺が攫われた人を救えるじゃん。


「攫った人間はその日の中に、無傷で返すのが私の流儀さ。だから今は誰も捕らえてねえ」


活躍できるかなと思ったが、どうやら世の中はそんなに甘くなかった。


まあ、人は居ねえ方が良いんだが。


人質とかにされたら困るしね。


「そうか、なら安心した。情報提供サンキューな。えっと……アンタ名前なんだ?」


「地球では宇治原うじはら そらって名乗ってる。アンタは?」


「私は芍薬牡丹。将来の夢はお嫁さんだ」


俺と芍薬に対しての態度の違いと、芍薬の将来の夢にショックを受けつつ、俺は道路の端に寄る。


……俺には教えてくれなかったよな。


「そうか……なあ、牡丹」


「どうした?ソラ」


──二人の雰囲気が変わる。


対戦相手への疑問がなくなった。


ならば、あとは始めるのみ。


「ケンカ、しようぜ」


「おう!」


──二人は、衝突する。

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