表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファミリアヒーロー  作者: ミシャクジ
未知との遭遇
1/22

〈01〉

平日の午前七時あたりだろうか。


善良な高校二年生、もといこの俺、上下かみもと 左右さすけは今、電車で本を読んでいる。


まあ、本といっても漫画だが。


…ふむ。


……ほう。


漫画を読み終え、学生鞄へしまう。


やっぱり、この作者の漫画は最高だな!


主人公が好意をよせてるあのおしとやかなキャラも可愛いが、ピンク髮でロングヘアーな宇宙人も可愛い。つーかエロい。


……いや、主人公を殺そうとしてる金髪のあの子も最高だ。俺はあの子になら是非殺されたいね。


おい待て、落ち着け俺。主人公の妹のことを忘れるな。なんだあの可愛すぎる生物。七十二時間ほど身体中ペロペロしたい可愛さだ。


「おいっす!」


待てよ、あのツンデレ系風紀委員も可愛いよな……デレた時の破壊力といったら、つい電車内でニヤニヤしちゃった程だ。ハレンチだわ!


「……おい?無視か?」


───そういえば、あのドリルへアーお嬢様キャラが居なかったら、ヒロインたちが温泉でおっぱいを揉み合うシーンがなくなってしまうのか……ありがとうドリルヘアー。マジ感謝。


「…………」


それと、そうそう。新キャラだよ新キャラ。あのピンク髮でロングヘアーな宇宙人の、これまた可愛い妹たち。あの子たちは次巻から活躍するんだよな。


嗚呼、はやく次の話を読みた───お?


突然、何者かに頭部を鷲掴みにされる。


そして、頭部を掴んでる指に力が入れられる。


「えっ、何?……ちょ、痛い!超痛い!頭潰れる!お゛ぉ゛ん゛!」


アイアンクロー。


プロレス技の一つ。


相手の頭部を指の力だけで締め上げる技。


単純、実に単純。


故に、この技の破壊力は使用者の握力に大きく左右され───いだだだ!タンマ!痛い!マジ痛い!痛すぎてモノローグも出来ない!


「にぎゃああああああーーッ!」


「うるせぇな」


アイアンクローさん(仮名)がそう言ったあと、俺はアイアンクローから解放される。


マジに頭が潰れるかと思ったぞ、オイ。


「い、痛え……」


とりあえず、まずはアイアンクローさんのツラを拝んでやろうと思った瞬間。


「オラァ!」


「……ッ!」


アイアンクローさんに腹部を殴られた。もちろんコレも超痛え。


「まったく、挨拶はちゃんとしろよ?」


少し低めな女性の声が聞こえる。


このパンチ……この声……ハッ!


俺はアイアンクローさんの正体に気づく。


「朝から何しやがる、芍薬!」


「何って、挨拶だよ」


いやいやいや、挨拶ってお前……。


お前はアレか?拳でしか語り合えない不器用な人間なのか?いくらなんでも不器用過ぎだろ。ラオウでも挨拶ぐらいできるぞ。


──芍薬しゃくやく 牡丹ぼたん


高校で知り合った俺の友人である。


名前とは裏腹にバイオレンスな性格をしている。


深紅のショートボブとレモン色の瞳がトレードマーク。


スタイルとルックス共に、誰もが羨む程美しい。


正直、スタイルが良過ぎてセーラー服が似合ってないレベル。


……だが、とんでもないレベルの戦闘狂。女子高生が休日にストリートファイトしてるってどうよ。


たしか座右の銘が『私より強い奴に会いに行く』だった気がする。殺意の波動には目覚めないでね?


そんな彼女と電車で遭遇。


……とりあえず挨拶するか。


これ以上痛いのは嫌だし。


「おはよう」


「おう!おいっす!」


ニカッ!っと笑いながら挨拶をし返す芍薬。


戦闘狂じゃなければなあ……こんなにも可愛いのになあ……。


「なあサスケ、今日提出の宿題って無かったよな?」


「無いだろ、多分」


「そっか、なら良かった!」


俺は適当に答える。


普通の時の笑顔は可愛いんだがなあ……。


「あ、そうそう芍薬」


「ん?なんだ?」


「シーチキンとツナの違いって、知ってるか?」


二人でくだらない事を話しながら、学校行きの電車に揺られる。


芍薬は本当にくだらない事でも、全力でリアクションしてくれるから一緒に会話してて楽しい。


マジに戦闘狂じゃなければな……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ