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フィアとライバル

 魔導学院(アカデミア)、それは栄えある魔導士の養成校である。人類において一握りしか発露しない天賦の才を持った者を鍛え上げる誉ある学院だ。


 王国の繁栄は魔導の道と共に――遥か過去より現在まで、魔導の探求は国を挙げて取り組むべき課題であった。


 生命のすべてが大なり小なりの魔力を秘めている。実際に魔法を扱うことの出来る者は半数にも満たず、魔導と呼べる道に開ける者はその中でも僅か一握り。そうであったとしても、国は幾つかの魔導学院を国費で建設し、厚遇する。次代を担う人材の発掘と育成こそが国の方策であった。


「どきなさい」

「……三度は道を譲りましたよ?」


 都からは離れた位置に構えられた魔導学院に、気忙しい声と淡々とした声が響く。地方の学院であれども、魔導研究を担うこの建物は立派な石造りであり、歩く度にコツコツと小気味よい音が立った。


 魔導研究の先端を走る若い才が、二人して立ち止まれば沈黙以上に重たい厳かな空気が廊下を満たしていた。


「どきなさいって言ってるでしょ! あんたは、もう、ほんとに!」


 煩い方の魔導士が、苛立った気持ちをぶつけている。余程腹に据え兼ねたのか、首を振りし切って抗議する――紅の長い髪がばさりとはためき、正対する男の方へと振るわれた。


「ですから、お先にどうぞと言っているのです」


 上体を僅かに反らして、冷静な方の魔導士が言葉を返す。かけられた眼鏡が光を照り返すものだから、彼――アーヴァインの瞳は外からでは見えない。


 佇まいは安穏としているが、「あんまり怒ると小皺が増えますよ」などと告げる辺り、激しいものはないが苛立ちが窺えた。


「皺――、あんたねぇ、あんた――んーー、もぅ、本当に嫌いよ!」


 本人が気にしているところが突かれ、魔導士としては若くとも、人間としては十分に大人となった女――レーラは地団駄を踏む。大成した魔導士にのみ許された藍色のローブを纏っているが、その隙間から細い足を上下させる度に廊下には鉄鎚でも打ちつけたかのような音が鳴った。


 学院には教師も生徒も多くが往来するが、彼女から漏れだす魔力に巻き込まれてはかなわないと足早に去って行く。


「まったく。貴女が行かないのなら、私が先に進みますよ」

「待ちなさい、私を無視するんじゃない!」

「……これでもう、四度は道を譲りましたからね?」


 さっきからこれの繰り返しである。歩く魔導書と西の魔女――学院の二大看板は、見習いの頃から因縁深い二人だ。切磋琢磨のように小競り合いは繰り返されるが、これ程噛み合わせの悪い日は珍しい。


 大方はアーヴァインが研究室に引き籠って諍いは中断されるのだが、今日はその足を魔女に止められている。


「お互い、もう三十を越えているんです。いい加減大人になったらどうですか」


 ふぅ、と息を吐きながら大人の対応を示す魔導士。溜息を吐いたのは、挑発半分、面倒臭さ半分であった。


 この説得が成功したことは一度としてないと、若き天才魔導士はよくわかっている。だが、不必要に足止めをされたアーヴァインとしては嫌味の一つでも言いたくなってしまう。


「歳のことを言うな! あんたの、あんたのその物言いが嫌いなのよ!」

「なら、近づかないでください。私は早く自宅へ帰りたいんですから」

「ちょっと論文が認められたからって、調子に乗ってるんじゃないの? 魔導研究者としてはそれはそれはご立派なことかと思うけど、指導者としては半人前じゃない。あんたんとこの歩く魔力炉、あれがうちのリィーンにいつも難癖つけて、迷惑だわ!」


 赤いヒールが石畳に打ちつけられ、酷い音が鳴った。その音がきっかけか、眼鏡越しにもハッキリとわかる不快感を天才魔導士は露わにした。


「聞き捨てなりませんね――弟子を、私のフィアを悪く言われては、黙ってられませんよ」


 同期のよしみで、ある程度付き合っていたものの、もう限界だ。


 己への罵詈雑言ならば笑って許そう。弟子育成の下手さを笑われたのならば、申し訳なさを前面に示して笑おう――だが、だめだ。愛弟子を笑われて、ヘラヘラするなどは師匠のすべき行動ではない。


「ちょ、何よ急に……」


 長い付き合いの魔導士が、急に知らない顔を浮かべて魔女は困惑してみせた。


「歩く魔力炉、結構。誹りを受けるならば指導の至らない私の不徳の致す限りだ。ただね、ただね、だよ。あの子を嗤うようなことは、許さない。私が、決して許さない」


 黒髪の男は、括られた長髪を戦慄かせながら同級生を見据える。


 感情にコントロールが効いていないと自覚するが、そんなものは知ったことか。長い付き合いなのであれば、何が怒りの引き金であるかを知っておくべきだ。少なくとも、あの愛らしい娘をバカにされては黙っていられない。


「くぉら、お前ら! 何しとるか!」

「痛っ――」


 叫び声が届いて間もなく、レーラは耳を塞いだ。


 あまりに大きな声だった。防御行動の遅れた学びの徒たちは廊下に倒れてしまう。


「ボルドー老、止めてくれないでくださいよ」


 ただ一人、怒りに顔を歪めるアーヴァインは声の主に喰ってかかる。


 剃髪に浅黒い肌、幾らか歯は抜け落ちているがまだまだ健康の色合いが強い老人――それがボルドーである。魔導士でありながら竜を殴り倒したという伝説は、歩く魔導書と西の魔女が魔導の門戸を叩く前から轟いている。


「魔導において研鑽は必須。止めはしないさ……ただね、今回の件は師が出張る話じゃぁないな」


 ふん、と勇むように老人は息を吐く。ついでに白い顎鬚を撫でながら、人を喰ったような笑顔でボルドーは爽やかに笑ってみせる。


「であればな、弟子同士の対決で収めぃ。おヌシらが本気でやり合ったら、国が亡ぶ」


 冗談のような言葉遣いであったが、周囲の人々は真に迫った面持ちで様子を見守っていた。


 実際に全力で魔法を放たれた場合、どのような被害が齎されるかはわかったものではない。


 途中まではお互いの魔法を無力化し合うが、攻めと守りの天秤がどちらかに傾いた瞬間にこの国が焼け野原になることなど魔導の初学者でも予想出来た。


「……わかりました。老に免じて、私は退きます」

「命拾いしたわね?」


 レーラが紅の髪を払いながら言うが、既に相手の魔導士は歩き出している。


「命拾い、したわね……聞いているの!」


 背中に向かって再度言葉を放りかけるが、男は彼女の期待沿うような反応は返さなかった。


「拾おうがなんだろうが、どちらかが命を落とすまで、続けるか?」


 おいおい待てよ、とボルドー老が間に入るもアーヴァインは研究室から鞄を引っ掴んで帰路についた。


 取り付く島もない、そんな言葉はあるが、残された人々は何とも言えない表情で佇んでいる。やれ、喧嘩なら他所でしてくれ。やれ、もういい加減にしてくれ――普段にこやかなアーヴァインであるが、魔導の道においては最高峰の一角である。


「レーラ嬢ちゃんな、たまには退くことを覚えてくれな」

「わ、私は悪くありません!」


 まだまだ西の魔女が言葉を続けていたが、老人は禿げ上がった頭を掻きながら、自身の研究室へと消えて行った。


 魔導学院にて、日頃の延長線上の諍い――ただし制御出来得ぬレベル――が、過ぎ去り、残った灯は弟子へと投げかけられることとなった。






「お、御師様ーーっ!」


 よく晴れた日に、魔導学院の落ちこぼれは師の胸へと飛び込んだ。


 いつものように泣き出すものだから、この日もアーヴァインの紺色のローブは涙を沁み込ませて黒になる。


「はいはい、どうしましたか」


 弟子の挙動はいつも通りであれば、師は落ち着き払った様子で彼女の頭を撫でる。草の生い茂る広場に、多くの人が集まっているが、娘とも思しきフィアへ困ったような笑みを向けている。


「無理、無理! 無理ですよー!」


 えぐえぐと泣くのは、よくも分からぬ内に魔導勝負を仕掛けられたからだ。


 魔導は親から受け継いだ才覚を磨いた者にのみ与えられるもの――親なしのフィアでは永らく続く魔導の嫡子であるリィーンに対抗出来たものではない。


 三番勝負の内、既に二本の敗北を喫している。


「わたしゃもう、くやしゅうてくやしゅうて!」


 涙で目を腫らしながら、少女は師のローブへ顔を埋める。


 魔法の精緻さ、持続力――先に示されたものをフィアはとことん不得意としていた。学院でもトップの成績を保つリィーンを相手にすれば、結果は火を見るよりも明らかだ。


 そんなことは誰よりも師が一番よく知っているだろうにと、少女は涙を流し続ける。


「それじゃあ、辞めますか?」

「う、うぅぅ!」


 どこまでも優しい声音に、フィアは一層の涙を流す。


 悔しかったのだ。


 自身が落ちこぼれであることなど、とうに理解している。だが、それと同時に師であるアーヴァインが誰よりも凄い魔導士であることを彼女は理解している。


 だから悔しい。


 一番弟子でありながら、負けてしまうこと――自分ではなく、師がバカにされてしまうことを彼女は涙を流して悔しがる。


「負けることなんて、この世界ではザラですよ。ですから、恥じることではない。フィア、もう一度問います――もう、辞めますか?」


 頭の上から降ってくる声。それは優しく、いつでも辞めていいのではないかと思えた。


「辞めない。絶対に、辞めない」


 負けん気の強い少女は、涙を呑み込んで顔を上げた。


「どうしてですか? これは半ば師匠同士の争いです。貴女が泣く程頑張らなくていいんですよ?」

「違う。これは、私の勝負だ。負けようが何をしようが、逃げたらいけない。逃げたら、人類最強の師匠の看板に、泥を塗る」


 ぐっと奥歯を噛みしめ、フィアは師のローブから顔を離した。


「……なるほど。悔いの残らぬよう、全力でやっておいで」


 弟子の成長を目にして、アーヴァインはにこやかに笑って送り出した。


 魔導の道は狭き門だ。門弟になった瞬間から、そうなれなかった者に対しての優越すら生まれる。だが、この小さな魔導士はそうしたものに執着せず、ただただ魔導の道を教える師がバカにされることを嘆いていた。


「何ですの、まだ来ますの?」


 三番勝負の二本の決着がついている。これからすることは、どう足掻いても優劣に影響を与えない。


 それがわかるリィーンは、師である西の魔女に視線を送って試合終了を待った。


「おいおい、逃げるなよ。あれの弟子を完膚なきまで叩き潰してくれんだろ?」


 赤髪の魔女が嗤えば、その弟子は眉間に皺を作ったとしても文句は言わない。


 完膚なきまでと言われたのであれば、そうすべきだ。敬愛すべき西の魔女、その教えを受けて更なる魔導の道を追求する――リィーンは最後の勝負まで全力を尽くすことを師に誓った。


 師同士の仲の悪さは、学院内では有名だ。


 フィアとリィーンの仲がどうとはおいて、激突は免れない。原っぱには遠巻きながら、学友や学院の関係者が彼女らを囲うようにして陣取っている。


「やい、最後まで勝負するんだな!」

「既に私の勝ちですが、よくぞ逃げずに来ましたこと」


 動と静。弟子の性格はそれぞれの師匠と正反対のようである。


 犬歯を剥きながら吠えるフィアと、広い額にかかる金髪を涼やかに払うリィーン。対照的な二人が、拳を握りながら互いに睨み合った。


「のぅ、歩く魔導書よ」

「老がこんなところまで出向くとは……」


 ざわつく外野のなか、アーヴァインへとボルドー老は語りかけていた。


「お前さんが育てるお嬢ちゃんの姿が見たくてな。どうだ、あれから制御の方は?」

「いえいえ、まだまだですよ。内包する魔力量が抜群でも、フィアはまだまだ制御が足りません」

「あー、だからこの結果か」


 遅れてやってきた老人は、三番勝負の経緯を何とはなしに理解した。


 態々、歩く魔導書が弟子に取る少女とあり、保有する力は大変素晴らしいものだ。だが、どれだけ足が早かろうとも、暴れ馬であれば勝負には向かない。


「それでは、最終決戦です」


 蝶ネクタイを締めた、おかっぱ頭の少女が場を取り仕切っている。これまた別の魔導士に師事する学院の子どもだ。


「最終決戦の内容ですが――」


 語りながら、おかっぱ頭は四角い箱の中に腕を突っ込む。


 乱数(ランダム)箱は、魔導士が諍いを起こす度に活用されてきた魔道具だ。魔導士には得手不得手があるので、どうしても公平な勝負というものは成立し得ない。


 本気で争ってしまえば、国をひっくり返すことになり兼ねない。力比べをする際には、こうした箱の中からランダムに表示されるお題を元に競い合うことが魔導士たちの間での規則だ。


「出ました、最後の勝負は、全力勝負です!」


 おぉーっと、群衆からどよめきが漏れる。


 数多く札が仕舞われており、重複すること――敢えて重複させられている札もある。茶目っ気のように残されたこの“全力勝負”は、たった一枚しかなく、見学者もまた魔導士が全力を見せる場面を楽しまずにはいられない。


「先生、いいんですの?」

「ええ、あのバカとその弟子に引導を渡しておやりなさい」


 師の許可を得たリィーンは不敵にも笑いながら、原っぱの草を踏みしめる。


 得意の攻撃魔法は、人間相手では日頃使用することも出来ない。だが、今この時であれば存分に披露出来ると理解していた。


「御師様、いいですか!」

「いいでしょう。この場にはたくさんの魔導士と私がいます。ええ、何とかしましょうよ」


 よっしゃよっしゃと応えながら、フィアも前へ出る。


 何がお題に選ばれるかわからないが、事ここに来て犬歯を剥く少女に優勢の風が吹いていた。


火球ー(ファイアボール)!」


 構える前に、リィーンから火の球が一直線に吐き出された。


 西の魔女が一番弟子となれば流石だ。体内の魔力を集め、淀みなく火の魔法へと昇華されていた。


 空気を焼き尽くしながら進む魔法の炎は、黒髪の魔導士見習いを正確に捉えている。


火―(ファイァ)


 突き立つ筈の炎であったが、正対するフィアの手元に吸い込まれるようにして消えた。


「え、えぇ――」


 言葉を失うリィーン。早さ、正確さでは確実に彼女に軍配が上がる。付け加えて言うならば、フィアが魔法を成立させている場面を彼女は見たことすらなかった。


火ーーーー(アアアアア)


 金髪の少女が出した火球、それは黒髪の少女が用意したものに呑み込まれてしまう。


 フィアが翳した手の平、その先に生まれた魔法の炎は、火種と呼ぶにはでか過ぎた。リィーンが放ったものを呑み込んで尚、まだ魔法として成立もしていない。


「フィア? そろそろその辺に……」


 慌てて師が言葉を溢すが、そんなことは少女には届かない。


 ただひたすらに、師をバカにされないようにと真っ直ぐに魔力が練り上げられる。この勝負は全力勝負であれば、歩く魔力炉と呼ばれるフィアはとことんに魔力を注ぎ込んだ。


「え、あ、ああ! 皆さん、逃げてーー!」


 フィアの手に呼び起されたもの、それは最早成人男性が縦に三人程並ぶサイズにも膨らんでいた。


 それでも、歩く魔導書の弟子は手を緩めない。何故なら、この勝負は“全力”を求められているからだ。


 普段はカラス色のローブの下に隠れた、左手の腕輪がカチリと音を鳴らす。それは師から与えられた魔力制御装置であるブレスレットだ。大きすぎる魔力を抑え込むために、段階的に威力を解放してみせた。


「ほんとに、逃げてーーー!」

球ーーーー(ボーーール)!」


 足元の草すら焼き払う、そのような大きさにまで育った火球が手から放たれた。


「せ、先生ーーっ!!」


 人間など容易く呑み込める程の炎の塊が迫り、リィーンが絶叫を上げる。


「むうぅぅうん!」


 直撃の瞬間、少女らの合間を割ったのは健康的に日に焼けた拳であった。魔法を散らすだけでは収まらず、地面に到達してはクレーターを作っていた。


「た、助かりましたの?」


 金髪の少女は目をぱちくりとしながら、煙立つ地面を漫然と見つめる。


「やー、流石はボルドー老。竜を殴り倒しただけはある」

「お前さんね。儂がいなかったら――その場合はどうにかしておったか……いや、なんじゃ、いいように使われてしまったな」


 カッカッカと老人は呆気に取られる観衆をよそに、笑いながら去って行った。


「御師様、結果どうだ!」


 自信満々で薄い胸を張るフィア。


「どう、と言われましても。これは、引き分けですね」

「何と! 私はリィーンと引き分けたのか?」


 ははは、と高々に笑う少女であるが、その一瞬後には顔を曇らせた。


「この勝負が、ですよ。三戦二敗一分け。立派な負けですよ?」


 爽やかな表情で師匠は告げる。


「お、おぉぉぉん!!」


 途端、顔を伏せてフィアは涙を流した。結局のところ、リィーンに対しては完敗であった。そのままの姿勢で地面を拳で、どんどんと叩いてみせる。


「悔しいですね……私もです。フィア、もっともっと強くなりましょう」

「お、ぉぉ、御師様(オヂザバ)――」


 一瞬ばかり顔を上げたが、少女は涙が零れるので再び顔を地面に据えて隠してしまった。


「アーヴァイン、私もリィーンも、まだまだ強くなるんだからね!」

「あー、はいはい。適当にどうぞー」


 弟子以外に興味のない魔導士は、ライバルが出した言葉もさらりといなしてみせる。


 後ろでは先程の極大火球を叩き潰した老人が、何か言いた気にしていたようだが、それも天才魔導士は無視をしてやり過ごしていた。


「フィア、決着は次に預けましてよ!」


 泣き伏せる少女には届くことはなかったが、リィーンはズビシと人差し指を突き立てて、背を向けた西の魔女を追って行った。


「お、おぉぉ――」

「頑張りましたね、帰りますよ」


 不甲斐ないと泣き続ける少女を拾い上げ、師である魔導士は笑う。


 西の魔女が言うとおり、十分にはフィアを育て切れずにいる。だが、魔力制御装置であるブレスレットを、自らの魔力で一段階緩めてみせたことに、師はただただ感激していた。


 いずれは己を殺せる程に弟子が成長する――そんなことを期待しながら、稀代の天才魔導士は、未だ幼き彼女を抱き上げては家路へと向かった。




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