表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なかむらけ外伝  作者: 椿姫
香織の孤独宗論
13/19

第一幕 病、騎士、不信感

徳光の件から一週間ほどして、なかむらけは家族一丸となって試練の対策を練っていた。


「俺、徳光の件でわかったことは、戦って解決はできないってことだ。それぞれが心に秘めた何か、それをどうしようもなく突きつけてくるからな。」


楓の言葉に皆がうなずく。


「俺の場合は心。徳光は友情、といった具合に、自身のみにしか解決できない何かであること。そして、それに関して俺たち家族は干渉できないこと。」


楓は続ける。試練を一番に受け、何も情報がない状態で達成したものとして。


「最後に、身近にいる友のみが、試練に干渉できるということ。今のところわかっているのはこれくらいか。」


「一つ、気になったんだけどさ」


楓の話が終わったのを確認し。晧子が手を挙げる。


「試練の主。騎士だっけ?あれは何か関係あるの?」


憐命の女神・ローエングリン。それと、宿怨の騎士・アーヴェイン。


「関係があるかはわからんが、どちらもケルト神話のアーサー物語の登場人物。円卓の騎士の名だ。物語の中ではあんな特異な力を使うわけではないんだが・・・当の本人はそのへん教えてはくれないんでな。」


楓の返答に、少し離れたところで優雅に紅茶を飲んでいるロリンは


「私の試練は終わっているから私のことは話せる。でも私は本来ここには存在していないはずだから、それがどんな影響を及ぼすかはわからないんだ。だから、私は何も話さない。デス」


「とってつけたようにカタコト付け足すんじゃない。・・・まぁ、現状ロリンのいうことは正しいから、どうしようもないがな」


「・・・と、かたっ苦しい話はここまでにして、とりあえずご飯を食べよう。」


時刻は午後7時、夕飯時の会話である。











それから三日後。



「だから!!私は関係ないじゃない!!」


「んなこと言ってもどうにもならんだろうが!!」


珍しく、楓と晧子がけんかをしていた。


「第一、私は従姉妹なんだし、楓達みたいな化け物じみた力も持ってない!!なのになんで巻きこまれなきゃいけないのよ!!」


「だからそれを俺に言ってどうなるんだよ!!」


「何とかしなさいよ!!」


「無理に決まってんだろうが!!いい加減にしろ!!」


喧嘩の発端は些細な一言だった。


『巻きこまれた』。晧子が口にしたその言葉。


普段なら何気なくスルーされるはずの言葉に、怒りをあらわにしたのは楓だった。


そして、そんな状況を異常と見れたのは、香織のみだった。


「やめてよ・・・」


香織の声は届かず、二人の怒号にかき消される。


嫌だ。


見たくない。


こんな争い。


兄と、大好きな義姉の喧嘩なんて見たくない。


争いの発端は何??


義姉の言葉。


なら・・・


義姉を黙らせれば、この争いは終わる・・・


「・・・!!晧子!!」


晧子の喉を貫かんとした貫手は、寸前で気づいた楓の左胸を貫き、その手を赤く染める。


「・・・楓!!」


晧子の声に、我に返る。


自分は今何をした??


私はただ、争いを止めたかっただけ。


「・・・香織・・・さすがにそれはやりすぎだ・・・」


今なお心臓を貫かれながら、それでも香織を咎める楓。


どうして私が怒られるの??


私が、楓を貫いたから。


どうして。なんで。どうして・・・


「・・・!!ロリン!!」


「私を頼ってくれるのはうれしいけどね、あまり頼らないでほしいな。どんな影響があるかわからないんだか・・・」


もう片方の手で、うるさい銀髪を薙ぐ。あまりにも簡単に、それは両断され、血をまき散らしながら崩れ落ちる。


「人間の体は、こんなに簡単に壊れてしまう。」


香織の口が勝手に動き、誰に話しかけるでもなく独り言をつぶやく。


「香織・・・?」


晧子は見ていた。楓を貫く瞬間、ロリンを両断した瞬間。





香織が、笑っていたのを。

突如楓とロリンを襲った香織。


逃げるように外へ出た香織の前に現れる第三の騎士。


とめどない後悔の念が、香織に襲い掛かる。


狂気、それは誰しもが持つ物。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ