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Ties Survive  作者: 修二
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第2話 家族


目を覚ますと、そこは見覚えのある風景。

窓の外を見ると、懐かしい顔があった。

しばらく遠のいていた父の思い詰めた表情が、そこにはあった。


「父さん!俺達を置いて何処行くんだよ!」


「…。元気でな。」


「待て!待ってくれ!父、さん、、、!」


「ハッ…!」

(嫌な夢だった…。あんな何十年も前の夢。)

ルイは、不愉快な夢の後、現実に連れ戻された。

度々こうゆう風な夢を見てしまうのが厄介なところだ。

誰にでもあるような、トラウマでもあった。


ふと、窓の外を見ると、透き通るような海が広がっている。

西の都マティス。通称水の都、港町だ。


「結構うなされてたなー。大丈夫か?」


「そうか。ジャンさんの家に来たんだった。」


「ははは。とりあえず、魔術の修行だろ?

 今日からビシバシ行くからな。」


こうしてルイは、来る日も来る日も修行を重ねていった。

もちろん、己のためであり、

離れて行った父へ問いただしたいという気持ちからでもあった。

その一心で、どんな修行にも耐え続けるのだった。



それから5年の歳月が流れた。


「ルイ、お前が来て、どれくらいになった?」


「ちょうど5年ぐらいになります。」


「そうか、お前もついに高位魔術師(テウルギア)だもんな。

 ま、まだまだ俺には及ばんがな。」


この時、ルイには決意したことがあった。

ジャンに禁断魔術について聞く事だ。


「ジャンさん!聞きたい事が。」


「…禁断魔術(マレフィキウム)の事か?」


「…はい。」


「いいだろう。話してやる。

 7つの魂集いし時 王家の墓にて 古の呪文を唱えよ

 さすれば異界への扉 開かれん

 ってことだ。

 多分7つの魂ってのはルフェーブルの神話の7怪物の事だ。

 古の呪文が禁断魔術(マレフィキウム)の事な。

 魔術書は軍に保管されてる。

 俺がわかってるのはこれだけだ。」


「いや、それだけで十分です。

 とりあえずその7怪物の魂を何かに込めればいいわけですね?」


「ああ。魂をこめる魔術は、わかるな?」


「はい。嫌というほど教わりましたから。」


「まぁ、なんだ。お前は俺の弟子なんだから大丈夫だ。

 …男が一回言った事はやり遂げろよ。

 いつ出発するんだ?」


「明日にでも行こうと思っています。」


「そうか。今日はゆっくり休んどけ。」


修行を終え、ルイは部屋に入った。


(いよいよ明日かぁ。5年…。修行は十分した。

 あとは自分の気持ちだけだ。どれだけ自分が頑張れるかだ。

 絶対、聞いてやるんだ。 俺達を置いて行った、あの人に!)


ルイは心の中で強く誓っていた。


 

そして、旅立ちの日が来た。

いつになく太陽が眩しい気がした。


「いよいよだな。」


「…お世話になりました!

 このご恩は一生忘れません!」


「ああ。行ってこい。

 俺に最高の土産話、聞かせてくれ。」


「はい。いってきます!」


ルイは勢いよく飛び出した。

その顔は希望に満ち溢れていた。

そしてこの先起きる様々な困難、様々な期待

全てを予感させるような表情だった。



―10年前、東南地方ジャプールにて


「おい、ルイー!ぼさっとしてると置いてくぞ!

 早く追いついてこい!」


「ちょっとー!待ってよー!」


「全く、ルイに厳しすぎなんじゃないか?クロード。」


「あれぐらいがちょうどいいんだ!

 ホントに出来の悪い弟だからな。」


「男兄弟でうらやましいよ。いいことだ。」


「はぁ、はぁ、クロード!ウィリアム!待ってって言ったじゃん!」


「うるせー!お前が遅いんだろうが!」


「はは、また兄弟喧嘩始まったよ。」


父が出て行った後、ルノワール兄弟は、家族ぐるみで仲の良かった

シャガール家で育てられていた。

シャガール家のウィリアムはクロードと同い年の少年。

いつも3人で行動し、仲が良かった。


「ただいまー!」


「もう!3人とも遅いじゃない!

 どこほっつき歩いてたのよ!」


「サラ、まぁいいじゃない。ご飯にしましょ。」


シャガール家にも父が居ない。

母のエミリア、息子のウィリアム、娘のサラ、

そしてルノワール兄弟の5人で暮らしていた。


ルイ「そういえばさ、ウィリアムの父さんって?」


クロード「馬鹿!今聞く事かよ!」


ウィリアム「ああ、父さんだったら軍の仕事でヴェルダンに

      単身で滞在してるみたい。

      何年も昔の話だよ。大丈夫。」


エミリア「そうなのよ。サラは小さかったから覚えてないかしら。」


サラ「んー、覚えてないかな。でもあたしは

   みんなが居るから寂しくないんだ!」


エミリア「そうね。クロードとルイが来たし、賑やか過ぎるくらいよね。」


クロード「こいつが変なことばっか言ってすみません。」


ルイ「クロードが怒るからだよ。」


クロード「おい!」


ルイ「あっ!叩くなよー。」


サラ「こら!喧嘩しないのー!」


ウィリアム「本当の家族みたいだね。」


エミリア「そうよ。私たちは家族よ。本物の家族以上にね。」


その言葉を聞いたクロードとルイは、揃ってエミリアの方を向き、

嬉しそうな表情を浮かべた。


クロード「親父が出て行ってどうしようかと思ったけど、

     おばさん優しいし、この二人もいる。

     家族だよ。この5人、どう見ても家族だよ!」


ルイ「…たまにはいいこと言うじゃん。」


クロード「うるせー!」


5人の家族の絆が見えたところで、いつものように兄弟喧嘩が始まったのだった。

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