御徒町樹里の西遊記(番外編その伍)
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために旅をしている僧です。
樹里は町を抜け、ある山に近づいています。
すると観音様が現れました。
「御徒町樹里よ、この先に五行山と言う山があり、そこに孫左京と言う猿が封じられている」
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開で応じます。
「その猿をお前の力で解放し、旅の供とするのだ。心強い味方となろう」
「そうなんですか」
観音様は微笑んで、
「頼んだぞ、樹里よ」
と言い、消えました。
「今の方はどなたですか?」
樹里は乗っている馬だけど実は龍の馨に尋ねました。
「観音様ですよ、お師匠様」
馨は項垂れて答えました。
「そうなんですか」
樹里はそれでも笑顔全開です。
馨は項垂れながらも、樹里の太腿を堪能しています。
(お師匠様……)
もはや変態です。
その樹里を遠くから狙っている妖怪がいました。
雑魚なので名前はありません。
「誰が雑魚だ!」
雑魚の癖に地の文に突っ込むという高等技術を使う妖怪です。
「うるせえよ!」
妖怪は更に怒ります。雑魚の癖に偉そうです。
「何だと!?」
妖怪はますます怒ります。
その間に樹里達は見えなくなってしまいました。
「ああ……」
膝を着く妖怪です。
やっぱり雑魚でした。
「ちっくしょー!」
小○太夫でしょうか?
樹里達はいよいよ孫左京と言う猿が封じられている五行山の麓に来ました。
「孫左京という猿は、今から五百年ほど昔天界で暴れ回った者です。敵にすれば恐ろしい相手ですが、味方にすれば百万の兵にも勝ります」
馨が説明しました。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開で応じます。
「あれが五行山です」
前方に大きな尖った山が見えて来ました。ゴツゴツとしている岩山です。
「お猿さん……」
樹里は何故か嬉しそうです。
「アイアイですか?」
「そのお猿さんではありません」
馨はまた項垂れます。
「そうなんですか」
樹里は少しだけ寂しそうです。
そんな話をしていたせいで、五行山を通り過ぎてしまいましたとさ。
めでたし、めでたし。
続きはwebで(嘘です)。
続きは、「御徒町樹里の西遊記(四百文字小説)」で。
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