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東西大陸の話

セレの迷宮探検記、の前日譚

作者: 宇梶あきら
掲載日:2026/10/26

『骨しか見ない令嬢、理想の骨に出会う』(n6984mn)


の後日談になります。

完結まで書く時間がないので、導入部だけ短編投稿。


前作を読んでいないと意味がわからないのでご注意ください。

年明け以降、連載でちゃんと書く予定……

 一週間くらい出かけていたガルドが帰ってきた。

 と思ったら、一緒に西の王に会ってほしいって。

 断る理由もないので、二人で王の居城に行く。


 久しぶりに見ても、西の王は普通の骨。


「わざわざすまない。来てくれてありがとう」

「いいえー、とんでもないー」


 魔族は感覚が違うのか、王様にしては腰が低い。

 でも、魔力感知が苦手なわたしたち人間でもわかるほど、強い力。

 だから、威厳はちゃんと感じる。


「セレさんには、ガルドたちと一緒に、フーファの迷宮に行ってほしいんだ」


 フーファの迷宮というのは、フーファという魔族の縄張りにある迷宮らしい。

 地名の概念が薄いから、便宜上つけたようだ。

 西大陸は魔素が濃い場所が多いせいか、迷宮もたくさんあるとはガルドに聞いた。


「構いませんけど、なにをすればいいんですかー?」


 西の王もガルドも、落ちついた様子だし、わたしが非戦闘員なのは知っている。

 その上で頼んでくるのだから、相応の理由があるのだろう。

 ガルドが一緒なら安全は確保されるし、行くのは平気。


「東大陸との取引に使えそうな品があるか、見てもらいたい」


 なるほど。それならわたしが適任だ。

 ──東西の道を使い、行き来がはじまってしばらくたつ。

 西としては東からほしいものはたくさんあるが、出せるものが少ない。

 王のもとにいる魔族たちが働いて、というのが将来的な目標だけど、まだまだ難しい。

 ルタ地域の迷宮でのモグラ魔族を見ても明らかだ。


「迷宮品なら、枯渇の心配が少ないからな」


 ガルドの言葉にうなずく。

 採掘資源は、なくなってしまう可能性がある。

 それに、今から色々つくろうとしている西大陸にも必要な素材だ。


 でも、迷宮内のものなら、時間経過で復活する。

 資源としては使えなくても、宝石やらが出てくれば、かなりいい取引ができるだろう。


 ただし、鑑定できる存在がいない。


 ガルドにくっついているモグラ魔族の一団から、綺麗な石をもらったことがある。

 その中のひとつふたつにあれ? と思って、実家に送って見てもらったら、宝石の原石だった。

 ちなみにわたしはそっちではなく、ただの石のほうが気にいっている。

 自然にできているのに、見た目が椎骨っぽくて面白いからだ。


「わかりました、喜んでお手伝いしますー」

「ありがとう」


 とんとん拍子に話は進み、十日後に現地集合となった。

 流石にガルド一人だとということで、あと二名ほど加わるらしい。

 即席の攻略班というわけだ。



「ただいまー」

「お帰りなさい、セレさん」


 住んでいる集落にもどると、アメリさんが出迎えてくれた。

 ちょうど、洗濯物を豚系魔族と一緒にとりこんでいるところだったらしい。

 アメリさん夫婦のおかげで、家事ができないわたしでも、ガルドと二人で生活できている。


「十日後くらいに、二人で出かけるので、留守をお願いしますー」


 忘れないうちに言っておこうと声をかける。

 旅支度も手伝ってもらわないとだし、留守の間、空気の入れ換えも頼みたい。

 ……あ、標本は見えないよう、布をかけておこう。


「お二人で? ご旅行ですね?」


 旅行。

 そうか、普通はそう考えるのか。


「いいえー。ちょっと迷宮までー」

「迷宮!?」


 驚いたらしく、声が弾んだ。

 手に持っていた洗濯物を、豚系魔族が背に乗せている籠に急いでしまう。

 それから、わたしのほうに近づいた。


「危険ですよね? 大丈夫なんですか?」


 視界を変えると、心配しているようだ。


「ガルドも一緒だから、問題ないですよー」

「ああ、向かう迷宮の魔物は大して強くないから、セレが怪我をすることはない」


 きっぱりとガルドが断言したら、上がっていたアメリさんの肩の骨が落ちる。

 戦闘に関しては本職のガルドが反対してないのだから、わざわざ確認は不要と思ったんだけど。

 普通は気にするべきだったのかな。


「まだ日はあるので、明日以降にでも、荷造り手伝ってくださいー」


 今からアメリさん夫婦は夕食をつくってくれる。

 だから、わたしの都合を頼むわけにはいかない。急ぐものじゃないし。

 わかりました! と勢いよくうなずいてくれたので、安心する。



「戦うところって、近くで見られるの?」


 自宅でアメリさんのごはんを食べながら、問いかける。

 からん、と軽い骨の音。


「あそこの迷宮は一度に出る数も少ないし、殲滅すると数日は沸かないから、少し後ろからならかまわねぇよ」

「じゃあ、骨が観察できるね」


 どんな魔物がいるんだろう、楽しみだ。

 動く魔物の骨が見られるなら、その分、頑張って素材探しもしなくちゃ。

 ──それになにより。


「ガルドの戦う姿を見るの、楽しみ」


 練習試合じゃない、本気の戦い。

 きっと、とても綺麗な骨の動きなんだろう。

 あらかじめ近づいていい距離を確認して、ぎりぎりで見させてもらおう。


 わくわくしていると、ガルドの骨がぎしっと鳴った。



一応、新婚です

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― 新着の感想 ―
新婚さーん、この2人だと甘くないのねー。でもちょっとガルドさんは照れ? 続きが楽しみでーす!
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