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02-08.リスタート

「魔王様!!」


「うおっ!? 何じゃ急に大声出しおって!?」


 やっぱり! やっぱり魔王様は生きてた!!



 あれ……なん……で……?




----------------------




「……え?」


「なんじゃお主。今度は惚けた顔しおって」


 あれ……? 私今撃たれた? 魔王様に?



「また何ぞ考えておるのじゃな。そんな事より我の問に答えるのじゃ。焼き尽くすぞ」


 ……え?



「魔王……様……?」


「なんじゃ。何をそんなに驚いておる。まさか問いかけの内容を忘れたのか? まったく。仕方のないやつじゃのう」


 あれ……この会話って……それにこの場所は……。



「お主は何故我の名を知っておる。その名は人間どころか魔族にすら知られておらぬのじゃ」


 ……なん……で。



「なんじゃお主。何故泣いておる」


「ま、まおう……さま……」


「わけのわからんやつじゃのう。別に取って食いやせん。我はお主に興味があるのじゃ。我の興味が失われるまでは側に置いてやろう。まあ、その時は始末するがな。我の手で」


「……うっ……うう……うぁぁああああああああ!!!!」


「おい、冗談じゃ。そこまで動転する事もないじゃろうが」


「なんで!? なんでよぉ!! 魔王様忘れないって言ったのに!! 必ず追いかけるって約束してくれたのにぃ!!」


「なんじゃこやつ……」


「なんで忘れちゃってるの!! ねえ! なんでよ! 魔王様はいつまでも私を追いかけてくれる筈でしょ!? 私を逃さないって言ってたじゃない!!! 本当は覚えてるんでしょ!? 忘れたフリしてるだけなんでしょ!? ねえ! 魔王様ぁ! お願いだから嘘だって言ってよぉ! ねえ!!」


「やかましい!!」


「っ!?」


「びーびー! びーびーと!! なんじゃ貴様! いきなり取り乱しおって! わかるように説明しろ!」


 ……違う……この魔王様は私の魔王様じゃない。最初に出会った頃の魔王様だ……ループを抜け出した直後の魔王様だ……。記憶は一切引き継がれなかったんだ……。私の魔王様はもうどこにも……。



「おい! まったく。なんじゃ急に。今度は意識を失いおったぞ。おい。こやつを運んでおけ。場所だとぉ? どこでもよい! 適当に休ませておけ! まったく。どいつもこいつも。とんだ期待外れじゃ」




----------------------




 ……あれ? ここは魔王様の寝室?


 ……そっか。全部悪い夢だったんだ。


 ……そうだよね。魔王様が約束を破る筈ないもんね。


 ……ドレスはどこかしら? あれ? なんで私この部屋着を着ているの? あれから一度だって袖を通した事は無かったのに……え? あれ? うそ……だって……。



「おい。何故こやつがここで寝ておるのじゃ。あのバカ者共め。我の寝室を何だと思っておるのじゃ。まったく」


「……魔王……様」


「なんじゃ。まだメソメソしておったんか」


「……お願いします。話を聞いて下さい」


「その前に我の問に答えるのが先じゃろうが」


「魔王ノクスクレム様。私が何者なのか全てをお話します」


「よいぞ。申してみよ」


 そうだ……ベッドから降りないと……。この魔王様に嫌われてしまったら……私は……。


「おい」


「す、すみません。今」


「無理をするでない。よい。そのまま話せ」


「……ありがとうございます。お優しい魔王様」


「お主の言葉には妙な感情が込められておるな。何故そうまで我を慕うのだ?」


「私は……」


 全てを話した。異世界から来た事も。未来で起こった出来事も。何度もつっかえながら、震える声で話し続けた。魔王様は最後まで耳を傾けてくれていた。




「ふむ。おい。母上の部屋はこやつの話した通りか?」


「……ハイ。間違イアリマセン」


「どうやら全て本当の事のようじゃな。信じ難い事じゃが」


「……誓って本当です」


「疑ってはおらぬ。既にお主が時を遡るのには散々付き合わされたのじゃ。しかし未来の我はしくじったようじゃな。我らしくもない」


「……私のせいです」


「じゃろうな」


「……」


「おい。泣くでない。陰気なやつじゃな。本当に我がお主なんぞと恋仲になっておったのか? 趣味が悪いのう」


「……信じてください」


「言った筈じゃ。疑ってはおらぬ。我に嘘は通用せん。しかしそれも意味はなかろう。お主の求める我はこの我ではないのじゃ」


「……」


「そう暗い顔ばかりするでない」


「はい」


「うわ。急に切り替わるとそれはそれでキモいな」


「……魔王様が言ったのよ。私のこういう所に惚れたって」


「絶対曲解しとるじゃろ。我そんな趣味悪くないぞ」


「魔王様。私を配下にお加えください」


「嫌じゃ」


「なんですって?」


「こんな肉食系を側に置いておけるか」


「あら? 襲ってきたのは魔王様よ?」


「嘘じゃな」


「嘘は見抜けるのでしょう?」


「……どうせお主の方から誘ったんじゃろ」


「ええ、そうね。私の魔王様もそう言っていたわ」


「太々しいやつじゃのう」


「私は決して諦めないわ。私は私の魔王様を取り戻す。あなたを私に夢中にさせて失われた記憶を取り戻させる。あなたにならそれが出来る筈」


「……不可能じゃ。ただ忘れたのではない」


「それでもよ。私の魔王様なら決して諦める筈がないわ。必ず私の下に戻ってくる筈よ」


「我を当て馬と申すか」


「いいえ。私は貴女の全てを愛するわ」


「……ちょっと怖いんじゃけど、こやつ」


「良カッタデスネ魔王サマ。念願ノ恋人デス」


「今度は私が追いかける番よ。決して逃がしはしないわ」


「えぇ……」

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