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【完結済】チュートリアルで負け続けたら魔王様に束縛されました  作者: こみやし
02.勇者と魔王の世界征服

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02-04.技術発展

 魔王様は宣言通りにエルフの国へと乗り込んだ。エルフ達は魔王様の来訪を心の底から喜んでくれた。どうやら随分な上客っぷりだったようだ。それが最近では少々ご無沙汰気味だったので気になっていたそうだ。


 この国とは前魔王様の頃からの付き合いだそうだ。御母上がご存命の頃には頻繁に魔王様をこの国に連れてきていたらしい。たぶんゲームソフトを買う為だろう。



 魔王様はエルフを楽観的と称していたが、単純に平和主義だとかのんびり屋とかって意味ではなさそうだ。おそらくいざとなったらどうにでもなるという自信の現れなのだろう。


 そういう意味でもやはり人間は天敵だ。狡猾な彼らはエルフ達が気付く前に蝕んでしまうのだろうから。



 この世界のエルフはむしろ貪欲だ。貪欲に娯楽を追い求め続けている。長い時を生きる上では必要な事なのだろう。彼らは暇つぶしに飢えているのだ。発明の意欲もその一環だ。


 当然発明には資金も必要だ。魔王様はそういう意味でも人気者だ。そしてどうやらエルフの娯楽は電子機器に限ったものでもないらしい。魔王様のテクニックはエルフ達との交流によって培われたものであったようだ。



「「「「「魔王様~♪」」」」」


「お盛んですこと」


「違うのじゃぁ! 若気の至りというやつなのじゃぁ~! 今はユズキ一筋なのじゃ! 信じてほしいのじゃぁ~!!」


「「「「「あらあら♪ うふふ♪ お幸せに~♪」」」」」


 あっさり引いたわね。魔王様が愛人を連れ歩くのって珍しくもないのかしら。



「ごほん。行くぞ! 既に先方が待っておる!」


 こんな大騒ぎになれば来訪には気付くでしょうね。当然昨日の内に遣いも出してるし。とは言え昨日の今日でよく応じてくれたわね。魔王様はやっぱり人気者だ。


 ……何故私はモヤモヤしているのかしら。




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 エルフの爺様は手強かった。彼らは土地ではなくそこから採れる資源だけを欲した。結局は人間たちを使って魔族が採掘するという内容で纏まった。既にその方針で目録まで準備されていたのだ。昨日の今日で。いや。彼らも魔王様がエルフ達の力を求めに来る事は事前に想定していたのだろう。


 どこが楽観主義なんだか。あの爺様は特別らしいけど、だからってやり手に過ぎるだろう。結局こちらの仕事が増えてしまった。エルフたちに土地を押し付ける作戦は失敗だ。


 それでも魔王様は予定通りと大笑いしていた。実際その言葉にも嘘は無いのだろう。証拠に採掘計画が完璧な形で用意されていた。始めからこうなる事を想定していたのだ。



 実際問題、人間をエルフに任せるのは難しい。このお爺さん個人なら問題もないだろうけど、大半のエルフはやはり人間達との相性が悪いようだ。欲が深く楽観的なエルフ達は人間達の格好の餌食だ。労働の監督役だけであっても、やり遂げる事はまず困難だ。間違いなく人間達の反乱を許す結果になるだろう。そこは適材適所だ。人間を支配するのは魔族の方が向いている。だからこの結果は必然だったのだろう。



「問題はあるまい。いずれにせよ土地も人も遊ばせてはおけんのじゃ」


 それもそうね。彼らに仕事を与えるのも支配する者の務めだ。



「ところで本当にこれだけで使えるの? 通信関連の施設なんてうちの国に無かったでしょ?」


「話を聞く限り問題無いようじゃぞ。そこはほれ。魔術と科学の融合じゃ。念話技術の応用じゃろ」


 まあそうね。そもそも発電機も魔力を電気に変えてるんだもんね。


 この世界は魔力で満ち溢れている。魔王城なんて常時魔王様から漏れ出した莫大な魔力が漂っているくらいだ。



 何故わざわざ変換する必要があるのかとか、その辺の技術的な話は正直わからない。電気の方が性質的に扱いやすいのか、或いは何か骨子となった技術が別で存在しているのか。


 後者の可能性は極めて高いだろう。エルフ達の発明品はどれもこれも私のよく知る世界の物と似通っている。とはいえエルフ達はただ真似をしているわけじゃない。自分達の得意とする魔力も扱ってより良い製品へと昇華させている。


 パソコンのデータ通信もわざわざ大掛かりなネットワーク設備を必要とはしていないようだ。元々この世界には念話と呼ばれる魔術がある。特別な設備や機材を介さずとも、遠く離れた相手に言葉を届けられるのだ。それはパソコンにも流用できるものだったようだ。


 代わりかどうかはわからないけれど、スマホの類はあまり発展していないらしい。ただパソコンの方は随分と成長が早いようだ。いずれは小型化の行き着く先としてスマホに似た機器が登場する可能性は高い。エルフ達がSNSに嵌ったらあっという間だろう。



 今日のところは一先ずノートパソコンを一台用意してもらった。すぐに魔王軍向けのモデルも製造を進めてくれるようだ。幹部一人につきエルフが一人、専属のデータ入力担当及び導入支援役としてついてくれるそうだ。


 これは様子を見ながら人数を増やしていく事になる。機密の問題とかもあるからね。そこら辺はゆっくりだ。なんならメイドゴーレム達が使いこなしてくれれば手っ取り早い。


 文字入力はキーボードだけでなく念話による入力にも対応しているそうだ。そっちの技術がより発展していけば、マウスやキーボードなんかは必要無くなるかもしれない。異世界ならではの発展方法だ。やっぱりスマホの誕生も近そうだ。




「ところで魔王様。さっきの彼女達の下へは寄っていかなくていいの?」


「っ!? ……な、なんじゃ。ユズキは興味があるのか?」


 ビクビクしちゃってまあ。



「折角歓迎してくれたのに碌な挨拶もしなかったじゃない。愛人が出来たからってあんな態度はよくないと思うの」


「い、いや……それはだな……」


「私嫌だわ。魔王様が器の小さい人だなんて思われるの」


「うぐ……」


「ほら。行きましょう。たしかこっちよね」


「まっ! 待て!」


「なに? 何かマズい事でもあるの?」


「いやマズいだろ! 彼女連れでその手の店行く奴おらんじゃろ!?」


「彼女? 何を勘違いしているのかしら。私は魔王様の恋人になったつもりなんてないわよ?」


「なっ!?」


「私達はあくまで愛人。協力関係を結ぶ代わりに身体を差し出しただけだもの。どうぞ構わず遊んできてくださいな」


「違う! 違うのじゃ! ユズキ! 我は本当にお主が!」


「一緒に行くのが気まずいなら私は他の店を覗いてみるわ」


「なんじゃとぉ!?」


「私も技術を磨いておかないといけないものね。魔王様に飽きられないよう」


「待て待て待て!! 許さんぞ! 絶対に許さんぞぉ!!」


「そう。なら適当に待っているわ」


「ダメじゃ! 帰るぞ!」


「あら。本当に帰ってしまうの?」


「くどい!」


 ふふ♪ お可愛い魔王様。

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